お金と手続き

介護保険証とマイナンバーカードの一体化|家族が確認すること

親が引き出しにしまっている紙の介護保険証が、マイナンバーカードによる電子的な資格確認に置き換わっていきます。ただし全国一斉ではなく、2026年4月から標準化の済んだ市町村より順次で、全市町村での活用開始は2028年4月が目標です。つまりこの2年間は、親の住む自治体がどこかによって手続きが変わります。離れて暮らす家族が今のうちに何を押さえておけばよいのかを整理しました。

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公開日
2026-08-19
最終更新日
2026-08-19
情報確認日
2026-08-19
出典
4件の一次情報・公的情報

介護保険証の電子化で変わること

紙の被保険者証から電子的な資格確認へ

介護保険の資格確認が、市町村・介護事業所・医療機関のあいだで電子的に共有される仕組みへ移っていきます。紙の介護保険証を郵送やファクスでやりとりする前提が変わります。

日本で親の介護に関わったことがある方なら、介護保険被保険者証、いわゆる介護保険証をご存じだと思います。65歳以上の方と、40歳から64歳で対象になる方に市町村が交付する紙の証で、被保険者番号と、認定を受けたあとは要介護度が記載されます。ケアマネジャーが確認し、デイサービスの事業所が写しをとり、入院のときには海外にいる家族が写真を撮って共有する、あの紙です。

厚生労働省はいま、介護情報基盤という仕組みを整備しています。市町村・介護事業所・医療機関などが、利用者に関する介護情報を電子的に閲覧できるようにするもので、紙のやりとりを前提にした業務を置き換えることが目的とされています。自治体が接続すると、介護保険被保険者証等の情報(限度額認定証や負担割合証を含みます)、要介護認定の結果、要介護認定申請の進捗状況を、オンラインで電子的に確認できるようになります。主治医意見書についても、医療機関から自治体宛てに電子的に送付することが可能になるとされています。

家族にとっての要点は、仕組みそのものではありません。これまで前提にしてきた「書類」と「待ち時間」の動き方が変わること、しかもその時期が全国で揃わないことです。制度の土台からご確認になりたい場合は、日本の介護保険制度のガイドに加入・保険料・認定の流れをまとめています。この記事では、その上に乗る電子化の部分だけを扱います。

2026年4月と2028年4月という2つの節目

全国一斉の切り替えではありません。自治体ごとに準備が整った順に始まるため、この2年間は住む市町村によって取り扱いが変わります。

厚生労働省の説明によると、令和8年(2026年)4月1日以降、介護保険事務システムの標準化対応が完了した市町村から、順次、介護保険システムから介護情報基盤へのデータ移行と、介護情報基盤経由での情報共有が始まります。ここで大事なのは「順次」という言葉です。ある日を境に全国が一斉に切り替わるのではなく、準備の済んだ自治体から一つずつ動き出します。

そして令和10年(2028年)4月1日までに、全市町村においてデータ移行を含めて完了し、介護情報基盤の活用を開始することを目指す、とされています。つまり2028年4月は「全国で終わっている状態を目指す期限」であって、そこまでは自治体差が残るという読み方になります。

先行して動いていた自治体もあります。令和7年度の先行実施事業では大分市が採択され、令和7年(2025年)6月中旬より先行実証が始まりました。マイナンバーカードを活用した介護保険被保険者証等の電子化について、市町村や事業所の業務フローを実際に検証するものです。すでに一部の事業所で「紙の介護保険証は不要です」と言われた方がいるのは、こうした先行の動きがあるためです。

報道による数字もあります。読売新聞は2026年8月、年度内に408自治体で導入される見通しで、厚生労働省は2028年4月までに全国の約9割の自治体で利用が始まると説明している、と報じています。これは厚生労働省のページで直接確認できた数字ではありません。報道ベースの数字ですので、進み具合の目安として受け取り、親の住む自治体の予定はその自治体にご確認ください。

認定と手続きへの影響

要介護認定が早まる可能性

主治医意見書を電子的に提出できるようになると、認定までの期間が短くなることが見込まれています。海外から一時帰国の予定を立てる家族には、良い話であると同時に段取りの見直しが必要な話でもあります。

要介護認定の申請をすると、市町村が主治医に意見書を依頼し、その意見書と認定調査の結果をもとに審査が行われます。これまで意見書は紙で作成し、医療機関から市町村へ郵送するのが一般的でした。介護情報基盤が使えるようになった自治体では、介護WEBサービスで主治医意見書の作成・送信ができるようになるとされています。郵送の往復がなくなる分、認定までの期間が短縮されることが期待されています。介護事業所側もシステム上で必要な情報を確認できるようになるため、ケアプランの作成も早く進められるという説明です。

海外にお住まいのご家族にとって、これは二面性があります。認定が早く出るのはありがたい一方で、「認定結果が出るころに帰国して、そこからサービスを決めよう」という組み立てをしていると、想定より早く結果が届いて判断を求められることがあります。要介護度によって使えるサービスと上限額が変わりますので、要介護度の目安を先に押さえたうえで、結果が出たらどう動くかをケアマネジャーと事前に話しておくと安心です。

なお、この電子化によって認定基準そのものが変わるわけではありません。誰が対象になるか、どの要介護度になるか、自己負担がいくらかという中身は変わらず、変わるのは「その事実がどう伝わるか」の部分です。

家族が写しを持てなくなる場面

離れて暮らす家族は、介護保険証や負担割合証の写しを手元に置いて状況を把握してきました。情報が電子化されると、この写しを起点にした把握の仕方が弱くなります。

海外や遠方にいると、親の状況は書類の写真で確認することが多くなります。介護保険証の要介護度、負担割合証の割合、ケアプランの内容。これらを撮って共有してもらえば、電話で聞くよりも正確に把握できました。ところが情報が自治体と事業所のシステム側に移ると、そもそも新しい紙が発行されない場面が出てきます。海外にいる家族が閲覧できる仕組みは用意されていませんので、写真頼みの方法は続けにくくなります。

代わりになるのは、書面での確認をお願いしておくことです。認定や更新のたびに、要介護度・負担割合・区分支給限度額の3点をメールなどの文字で送ってもらうよう、ケアマネジャーに頼んでおきます。口頭だけだと兄弟姉妹のあいだで認識がずれますし、時差があると聞き直すのにも時間がかかります。ケアマネジャーとの付き合い方はケアマネジャーの役割と選び方にまとめています。

誤解しやすい点

健康保険証の廃止とは別の話

健康保険証と介護保険証は別の書類で、進み方も違います。同じものとして考えると、必要のない手続きに時間を使うことになります。

健康保険証は2024年12月に新規の紙の発行が終わり、有効期限切れの証を受け付ける経過措置も2026年に終了しました。全国一律で、比較的短期間に切り替わり、マイナンバーカードを持たない方には資格確認書という別の書類が用意されました。

一方、ここで扱っている介護保険証の電子化は、自治体ごとに2年かけて順次進むものです。そして読売新聞の報道によれば、マイナンバーカードを持っていない高齢者らに配慮して、従来の介護保険証の交付も継続されるとされています。「介護保険証も健康保険証と同じようになくなる」という前提で動くと、必要のない問い合わせや帰国を増やしてしまいます。

全国目標と自分の自治体の予定は別

2028年4月は全市町村での活用開始を目指す時期であって、どの家庭も同じ日から同じ手続きになるという意味ではありません。

介護情報基盤への接続は、各市町村が介護保険事務システムの標準化対応を終えることが前提になっています。自治体のシステム更改は予定どおりに進まないこともあります。この記事に書いた日付も含めて、読んだ数字は計画として受け取り、親が住民登録している市町村の窓口でその時点の取り扱いを確認するのが確実です。

本記事は移行期の制度についての一般的な情報であり、個別のご事情への助言ではありません。実際の手続きは自治体により異なりますので、市区町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センター、担当のケアマネジャーにご確認ください。

いま家族ができる準備

自治体とケアマネジャーに聞いておく6項目

自治体ごとに進み方が違う以上、一般的な情報の価値は高くありません。親の住む市町村と担当ケアマネジャーから直接得る答えが必要になります。

  • この自治体は介護情報基盤に接続済みか、まだなら見込みの時期
  • 紙の介護保険証は引き続き交付・再交付されるのか、更新時に変わるのか
  • マイナンバーカードを紐づけた場合でも紙の証は手元に残るのか
  • 要介護度・負担割合・区分支給限度額を書面でもらうにはどこに頼むのか
  • 次の認定で主治医意見書は電子提出になるのか、かかりつけ医の対応状況
  • 切り替え後、デイサービスや短期入所の初回に親が持参するもの

次の更新までにやっておくこと

書類の写しに頼る方法から、事実を書面で確認してもらう方法へ切り替えておくと、移行期の混乱をほぼ避けられます。

海外に住んでいると、平日の日中に市役所へ行くことも、担当者に電話をかけ直すことも簡単ではありません。確認事項そのものは難しくないのに、時差と平日というだけで数か月止まってしまうことがあります。遠方から支える体制づくりについては遠距離介護の進め方もあわせてご覧ください。ご家族に代わって自治体やケアマネジャーへの確認を行い、結果をまとめてお伝えする介護ナビゲーションもご用意しています。

  • いまある紙の介護保険証を両面撮影し、兄弟姉妹の誰でも見られる場所に保存します
  • 認定の有効期間の満了日を記録し、3か月前に通知が来るよう予定に入れます
  • 更新のたびに要介護度・負担割合・区分支給限度額をメールで送ってもらうよう、ケアマネジャーに依頼します
  • 認定結果に合わせて帰国を計画している場合は、自治体の接続状況を先に確認します
  • 親がマイナンバーカードを希望していてまだ持っていない場合は、退院時などに慌てて進めず、別の用事として時期を決めて手続きします

よくある質問

紙の介護保険証は全国一斉になくなるのですか?

いいえ。厚生労働省の説明では、令和8年4月1日以降、標準化対応が完了した市町村から順次、介護情報基盤への移行と情報共有が始まり、令和10年4月1日までに全市町村での活用開始を目指すとされています。また報道によれば、マイナンバーカードを持たない高齢者らに配慮して従来の介護保険証の交付も継続されます。実際の取り扱いは、親が住民登録している市町村によって異なります。

マイナンバーカードを紐づけると要介護認定は早くなりますか?

接続済みの自治体では早くなる可能性があります。介護情報基盤の目的として、主治医意見書を医療機関から自治体へ電子的に送付できるようになること、介護事業所がシステム上で必要な情報を確認できるようになることが挙げられており、認定期間の短縮とケアプラン作成の迅速化が見込まれています。親の住む市町村がその段階に達しているかは、介護保険担当窓口にご確認ください。

海外に住む家族は親の要介護度を画面で確認できますか?

電子的な閲覧の仕組みは市町村・介護事業所・医療機関・本人などを想定したもので、海外にいる親族が国外からログインして確認することは想定されていません。現実的な代わりは、認定や更新のたびに要介護度・負担割合・区分支給限度額を書面やメールで送ってもらうようケアマネジャーに依頼しておくことと、最後に交付された紙の証の写真を保管しておくことです。

日本に住む外国籍の親も同じ扱いになりますか?

介護保険の加入は国籍ではなく住民登録に基づきますので、市町村に住民登録があり65歳以上であれば第1号被保険者として同じ扱いになり、電子化の時期も同じ自治体の予定に従います。ただしマイナンバーカードの取得状況には個人差がありますので、カードをお持ちでない場合の窓口での取り扱いを、あらかじめ自治体に確認しておくと安心です。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-08-19.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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