要介護度は、介護がどのくらい必要かを表す7段階の区分です。軽い順に要支援1・2、要介護1〜5があり、この区分によって使えるサービスの種類と月々の上限額が決まります。このガイドでは、各区分のおおよその目安、認定調査で見られるポイント、そして「調査の日だけ親がしっかりしてしまう」問題への備えまでを整理しました。
区分の全体像と決まり方
要支援と要介護、7段階のおおまかな目安
正式な判定は調査と審査で行われますが、家族が見当をつけるための、ごく大まかなイメージは次のとおりです。
- 要支援1・2:基本的には一人で生活できるが、家事や買い物などに部分的な支えがあれば、状態の悪化を防げる段階
- 要介護1・2:食事・入浴・排せつなどの一部に介助が必要。もの忘れの影響が出始めることも
- 要介護3:日常生活の多くで介助が必要。特別養護老人ホームへの新規入所は原則この区分から
- 要介護4・5:介助なしでは日常生活が難しい〜ほぼ全面的な介護が必要な段階
要介護認定区分の早わかり表
上の大まかな目安を、区分ごとの状態の目安・要介護認定等基準時間・月々の支給限度額で1枚に並べました。基準時間と支給限度額は厚生労働省が定める全国共通の値です。支給限度額の単位数は2019年10月の改定以降、2026年10月時点まで変わっていません。
状態の目安は、自治体の案内で使われている表現をもとにした大まかなものです。同じ区分でも、体は動くがもの忘れが強い人、頭ははっきりしているが歩くのが難しい人など、暮らしぶりはかなり違います。認定結果の通知が届いたときに「この区分はどのあたりの状態か」をつかむ物差しとして使ってください。
基準時間は、厚生労働省の説明でも実際に家庭で行われる介護時間とは異なるとされています。訪問介護などで受けられるサービスの合計時間とも連動しません。支給限度額を円に換算した額と、1〜3割負担での自己負担の目安は、後半の上限額の節で一覧にしています。
| 区分 | 状態の目安 | 要介護認定等基準時間 | 支給限度額(月) |
|---|---|---|---|
| 非該当(自立) | 介助なしで生活できる。介護保険の介護・予防サービスは使えず、市区町村の一般介護予防事業などが対象 | 要支援1の基準に当たらない(25分未満が目安) | なし |
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自分でできるが、介護予防のために一部の支えが必要 | 25分以上32分未満 | 5,032単位 |
| 要支援2 | 日常生活に支えが必要だが、介護予防で状態の維持・改善が見込める | 32分以上50分未満 | 10,531単位 |
| 要介護1 | 歩行などに不安定さがあり、日常生活の一部に介助が必要 | 32分以上50分未満 | 16,765単位 |
| 要介護2 | 歩行などが不安定で、排せつや入浴の一部または全部に介助が必要 | 50分以上70分未満 | 19,705単位 |
| 要介護3 | 歩行・排せつ・入浴・着替えなどに、ほぼ全面的な介助が必要 | 70分以上90分未満 | 27,048単位 |
| 要介護4 | 日常生活全般で動作の力が落ち、介助なしの生活は難しい | 90分以上110分未満 | 30,938単位 |
| 要介護5 | 生活全般に介助が必要で、介助なしの日常生活はほぼできない | 110分以上 | 36,217単位 |
区分はどう決まる?「介護の手間」を時間に置き換える
区分の入り口は、認定調査の結果をコンピュータが判定する一次判定です。ここで使われるのが「要介護認定等基準時間」という考え方で、その人にかかる介護の手間を、統計データから1日あたりの分数に推計します。
この時間は、実際に介護に使う時間そのものではなく、手間の相対的な大きさを示す目安です。要支援2と要介護1は同じ時間帯にあたり、最終的には心身の状態が改善する見込みなどを踏まえて、介護認定審査会(二次判定)が振り分けます。だからこそ、調査でその人の手間が正しく伝わるかどうかが、区分を左右します。
厚生労働省の基準では、各区分は「基準時間が◯分以上◯分未満、またはこれに相当すると認められる状態」と定められています。一次判定は、推計した基準時間に認知症の加算を合わせて行われるため、時間の帯だけで区分が決まるわけでもありません。審査会が一次判定の結果をどう見直すかは、一次判定と二次判定の仕組みで詳しく説明しています。
- 要支援1:25分以上32分未満
- 要支援2・要介護1:32分以上50分未満
- 要介護2:50分以上70分未満
- 要介護3:70分以上90分未満
- 要介護4:90分以上110分未満
- 要介護5:110分以上
区分で変わるのは、サービスの幅と月々の上限
区分が上がるほど、利用できるサービスの幅と支給限度額(月々の上限額)が大きくなります。限度内の利用は1〜3割の自己負担、超えた分は全額自己負担です。
区分は「使わなければならない量」ではなく「使える上限」です。一方で、実態より低く認定されると、必要な支援がプランに入りきらなくなります。だからこそ、次に説明する認定調査(申請から認定までの流れ)で実態を正しく伝えることが重要になります。
上限額と使い方の変化
区分ごとの「月々の上限額」を一覧で見る
上限額は、正式には区分支給限度基準額といい、「単位」で決められています。円建てではありません。1単位はおおむね10円なので、円に換算するとおおよその天井が見えてきます。下は1か月あたりの目安で、単位数は2019年10月の改定から2026年10月時点まで変わっていません。認定等基準時間は前半の早わかり表に載せています。
要支援2と要介護1は同じ基準時間帯で、最終的に審査会が振り分けます。この上限は「介護保険で使えるサービスの天井」であって、必ず使い切るものではありません。実際の自己負担は使った量に応じて1〜3割で、割合は所得により決まり、多くの方は1割です。1単位の単価は地域やサービスの種類によって10〜11.40円ほどに変わるため、円の額は目安として見てください。上限を超えて使った分は全額自己負担になるので、限度額の近くまで使う場合は費用の全体像もあわせて確認しておくと安心です。ホームヘルパーを使う場合の料金とできることは、訪問介護の料金とサービス内容にまとめています。
2割・3割の欄は、限度額いっぱいまで使った場合の計算上の額です。実際の支払いには高額介護サービス費の上限があり、たとえば世帯に課税所得380万円未満の人がいる一般の世帯では、介護サービスの自己負担は世帯で月44,400円までです。超えた分は後から払い戻されます(初回は申請が必要です)。上限は所得区分で変わるので、高額介護サービス費の上限額と申請と、1〜3割の負担割合の決まり方もあわせて確認してください。
| 区分 | 支給限度額(月) | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位(約5万円) | 約5,000円 | 約1万円 | 約1万5,100円 |
| 要支援2 | 10,531単位(約10.5万円) | 約1万500円 | 約2万1,100円 | 約3万1,600円 |
| 要介護1 | 16,765単位(約16.8万円) | 約1万6,800円 | 約3万3,500円 | 約5万300円 |
| 要介護2 | 19,705単位(約19.7万円) | 約2万円 | 約3万9,400円 | 約5万9,100円 |
| 要介護3 | 27,048単位(約27万円) | 約2万7,000円 | 約5万4,100円 | 約8万1,100円 |
| 要介護4 | 30,938単位(約30.9万円) | 約3万1,000円 | 約6万1,900円 | 約9万2,800円 |
| 要介護5 | 36,217単位(約36.2万円) | 約3万6,000円 | 約7万2,400円 | 約10万8,700円 |
区分別に、使い方はどう変わるか
同じ区分でも組み合わせは人それぞれですが、イメージをつかむための、ごく一般的な例を挙げます。
どの組み合わせが合うかは、本人の状態と家族の事情、そして上限額の範囲で決まります。プランを立てるのはケアマネジャーの仕事で、依頼に費用はかかりません。遠方の家族は、希望や不安を具体的にケアマネジャーへ伝えることが、限られた上限を有効に使うことにつながります。
- 要支援1・2:週1〜2回のデイサービスや、掃除・買い物を手伝う訪問型サービスで、今の生活を保つ段階
- 要介護1・2:週数回のデイサービスに訪問介護を組み合わせ、入浴や服薬の見守りを足していく段階
- 要介護3:デイサービスやショートステイを増やしつつ、在宅か特別養護老人ホームかを検討し始める段階
- 要介護4・5:訪問介護・訪問看護を厚くするか、施設入所を本格的に考える段階
申請から認定までの手続き
要支援と要介護では、相談する窓口が変わる
区分によって、ケアプランの相談先そのものが変わります。最初に連絡する場所を間違えないよう、ここを押さえておきます。
どちらも、相談やケアプラン作成の費用は自己負担なしで、介護保険から全額が給付されます。区分が要支援から要介護へ、またはその逆に変わると、担当する窓口も切り替わることがあります。どこに連絡すればよいか分からないときは、まず親の住む市区町村の地域包括支援センターに電話すれば、今つなぐべき窓口を案内してもらえます。海外や遠方からでも、ここを最初の入り口にすると迷いません。
- 要支援1・2:地域包括支援センターが介護予防のプランを担当します。窓口はおおむね中学校区ごとに置かれています
- 要介護1〜5:居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作ります。事業所は自由に選べ、合わなければあとから変更もできます
認定調査では何を聞かれる?
認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態や日常生活の様子を全国共通の項目で聞き取ります。あわせて主治医の意見書が作成され、両方をもとに審査会が判定します。
- 体の動き:立ち上がり、歩行、入浴、トイレ、食事
- 認知面:もの忘れ、日付や場所の理解、意思疎通
- 行動面:徘徊や昼夜逆転など、生活に影響する行動
- 生活管理:薬の管理、金銭管理、買い物、調理
- 医療面:通院、医療処置の有無
申請から認定までの流れと、かかる期間
認定は、申請してすぐ出るものではありません。おおまかな流れと必要な日数を知っておくと、サービスを始められる時期を逆算できます。
有効期間は、新規認定で原則6か月、更新認定で原則12か月です(状態が安定していれば、最長48か月まで延びることがあります)。期間が切れる前に更新の手続きが必要で、通常は市区町村から案内が届きます。なお、結果を待つあいだも、申請日にさかのぼって暫定的にサービスを使い始められる場合があります。急ぐときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに暫定ケアプランを相談してください。
- 市区町村の窓口(または地域包括支援センター)で要介護認定を申請します
- 認定調査員の訪問調査と、主治医意見書の作成が並行して進みます
- 調査結果をコンピュータで判定する一次判定のあと、介護認定審査会が二次判定を行います
- 結果は原則として、申請から30日以内に郵送で通知されます
正しい認定への備えと見直し
「調査の日だけしっかりする」問題への備え
多くの家族がつまずくのがここです。普段は立ち上がりも危うい親が、調査員の前では背筋を伸ばして「自分でできます」と答えてしまう。珍しい話ではなく、調査員もよく知っている現象ですが、それでも実態が伝わらなければ判定は軽くなります。
備えは2つです。①日付つきの具体的なメモを作っておく:「◯月◯日に廊下で転倒」「薬の飲み忘れが週3回」のような記録は、本人の自己申告よりも強い材料になります。②家族が立ち会う:その場で「普段はこうです」と補足できます。遠方で立ち会えない場合は、電話での同席ができないか調査の日程調整時に相談するか、メモをケアマネジャーや地域包括支援センター経由で調査員に届けてもらいましょう。主治医にも、日ごろの様子を事前に伝えておくと意見書が実態に近づきます。
認定結果に納得できないとき・状態が変わったとき
認定には有効期間があり、期限ごとに更新されます。また、状態が大きく変わったときは、期限を待たずに区分変更申請ができます。
入院や転倒のあとに介護の手間が明らかに増えたのに、区分が軽いままになっている。そんなときは、ケアマネジャーに区分変更申請を相談してください。結果そのものに疑問がある場合の不服申立ての仕組みもありますが、実務上は区分変更申請で対応するケースが多いです。逆に状態が安定して区分が下がることもありますが、それは支援がうまくいっている証拠でもあります。
区分変更を申請するときも、効くのは日付つきの記録です。「いつ・何が・どのくらい変わったか」が具体的に書かれていれば、再判定でも実態が伝わりやすくなります。退院直後など状態が動きやすい時期は、しばらく様子を記録してから申請のタイミングを計ると、その時点の手間を正しく反映できます。
遠方の家族とJCCの支え
遠方の家族がやるべきことは、結局一つ
要介護度の仕組みで遠方の家族にできる最大の貢献は、「日々の実態を記録して、調査と主治医に届くようにすること」です。
電話やビデオ通話で気づいた変化、帰省時に見た様子、近所の方から聞いた話を、日付つきで1枚のメモに積み重ねていく。それが認定調査の精度を上げ、結果としてケアプランの質を決めます。記録の型がほしい方は、遠方家族向けページで紹介している状況整理メモをご活用ください。
区分の手続きで無料窓口が足りる範囲と、JCCが補う周辺
区分のしくみを理解すること、認定調査を受けること、状態が変わったときの区分変更を申請することは、地域包括支援センターやケアマネジャーに頼めば費用なしで進められます。JCCがお役に立てるのは、調査で実態をどう伝えるかを一緒に整理する準備の壁打ちや、認定された区分と使えるサービスを海外のご家族へ英語で共有する場面です。どこまでを無料窓口に任せ、どこからJCCに相談するとよいかは、次の一覧で見比べてみてください。
手続きそのものは無料で完結しますが、伝え方や海外との共有でつまずきそうなときに、JCCを脇に置いていただければと思います。
| ケアマネ・公的窓口(無料)で進められること | JCCに相談したほうがよいこと |
|---|---|
| 要支援・要介護の区分の意味や、使えるサービスの幅を知る | 認定された区分を英語に整理し、海外のご家族へ分かりやすく共有する |
| 要介護認定の申請と、認定調査員の訪問を受ける | 調査で生活の困りごとをどう伝えるか、当日までに言葉を一緒に整理する |
| 状態が変わったときの区分変更を申請する | 区分が実態に合っているか迷うとき、変更を申請すべきかを一緒に見極める |
| 日付つきの記録メモを作り、調査員や主治医に届ける | 離れて暮らす家族が記録を持ち寄りにくいとき、整理と橋渡しを代わりに引き受ける |
よくある質問
要支援と要介護はどう違うのですか?
要支援(1・2)は「悪化を防ぐための部分的な支え」が必要な段階で、介護予防サービスが中心。要介護(1〜5)は日常生活に介助が必要な段階で、より幅広い介護サービスを利用できます。
特別養護老人ホームには要介護いくつから入れますか?
新規入所は原則として要介護3以上です。ただし、やむを得ない事情がある場合の特例入所の仕組みもあります。
認定調査の日、家族は立ち会うべきですか?
できる限り立ち会いをおすすめします。本人が「できます」と答えがちな場面で、普段の様子を補足できるからです。遠方の場合は電話同席の相談や、日付つきメモの事前提出を検討してください。
状態が悪化したら、次の更新まで待つしかありませんか?
待つ必要はありません。区分変更申請をすれば、有効期間の途中でも再判定を受けられます。まずはケアマネジャーに相談を。
区分の上限額にある「単位」は何円ですか?
1単位はおおむね10円です。ただしサービスの種類や地域によって10〜11.40円ほどに変わるため、円の額は目安になります。たとえば要介護3の上限は27,048単位で、円にするとおよそ27万円、1割負担なら自己負担の上限は月およそ2万7,000円です。
支給限度額を超えてサービスを使うとどうなりますか?
限度額の範囲内なら1〜3割の自己負担で済みますが、超えた分は全額(10割)自己負担になります。上限の近くまで使う予定があるときは、ケアマネジャーにプランの調整や、保険外サービスとの組み合わせを相談しておくと安心です。
要支援と要介護で、ケアプランの相談窓口は違いますか?
違います。要支援1・2は地域包括支援センターが介護予防のプランを担当し、要介護1〜5は居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作ります。どちらも費用は自己負担なしです。どこに連絡すべきか迷うときは、まず市区町村の地域包括支援センターに相談すれば案内してもらえます。
早わかり表の区分は、親の要介護度を予想するのに使えますか?
大まかな見当をつける程度には使えますが、予想どおりになるとは限りません。区分は、認定調査の結果から推計した要介護認定等基準時間に認知症の加算を合わせた一次判定と、主治医意見書なども見る介護認定審査会の二次判定で決まります。基準時間は実際の介護時間とも違うため、表に当てはめるより、普段の様子を日付つきで記録して調査に伝えるほうが結果に反映されやすくなります。
3割負担の人が支給限度額いっぱいまで使うと、自己負担はいくらになりますか?
要介護5なら36,217単位の3割で、1単位10円で計算するとおよそ10万8,700円です。ただし高額介護サービス費の上限があり、超えた分は後から払い戻されます。上限は世帯の所得区分で決まり、たとえば課税所得380万円未満の人がいる一般の世帯は月44,400円です。3割負担になる所得の世帯は、これより高い上限の区分にあたることもあるため、市区町村の介護保険の窓口で確認してください。
ご家族からの相談
市区町村の窓口への問い合わせ、事業者の比較、受診の準備、離れて暮らすご家族への報告まで、日本側の段取りを引き受けます。状況がまとまっていない段階でも構いません。原則2営業日以内にお返事します。
一次情報・公的情報
本文は下記の5件の一次情報・公的情報を確認して書いています。制度・費用・窓口の情報は自治体や時期で変わるため、最終判断の前に必ずリンク先の公式情報を確認してください。 最終確認日: 2026-10-17.
この記事について
この記事は一般的な説明で、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。Japan Care Conciergeは、1999年設立の社会福祉法人 伸こう福祉会の介護サービスで培った知見をもとに運営しています。同法人は神奈川県でクロスハートの名称で高齢者向け施設・サービスを展開しています。施設・事業者から紹介料は受け取らず、医療行為・診断・緊急対応・直接介護も行いません。介護保険の保険者は全国に1,559あり、認定にかかる日数も運用も保険者ごとに違うので、個別の可否はお住まいの市区町村の介護保険課か地域包括支援センターでご確認ください。公開日・更新日は実際の日付です。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。
