2026-06-08
日本では「ダブルケア」という名前があります
幼い子どもと高齢の親のあいだで板挟みになる状態を、英語ではサンドイッチ世代と呼びます。日本にはダブルケアという言葉があり、公的な調査の裏づけのある社会課題として扱われています。
内閣府の調査は、日本でダブルケアを担う人を約25万人(女性約17万人・男性約8万人)と推計し、30〜40代がそのおよそ8割を占めるとしています。背景は構造的です。出産年齢が上がり、親が長生きするようになり、2つの責任が人生の同じ時期に重なりやすくなっています。もしいまこの状況にあるなら、それは段取りの失敗ではなく、よくある、そして増えている形です。名前をつけることが、一人で抱える漠然とした重さを、対処できる段取りの問題に変える第一歩になります。
なぜ、それぞれ単独より重いのか
ダブルケアは、育児と介護を単純に足したものではありません。2つの要求が衝突し、合計が和より重くなります。
限られた同じ時間・お金・注意を奪い合い、感情の向きも逆です。子どもは自立へ向かい、親はそこから遠ざかっていきます。危機は示し合わせて来てくれないので、子どもの発熱と親の転倒が同じ週に重なることもあります。内閣府の調査でも負担は偏っており、女性は男性に比べて配偶者から日常的な手助けを得にくく、労働時間を減らしたり離職したりする割合が高くなっています。日本で暮らす外国籍のご家族の場合は、慣れてきた子育ての側にはもうない言語と制度の壁が、介護の側に加わります。衝突をはっきり見ることの意味は、一人で乗り切ろうとするのではなく、使える仕組みと手をすべて使うべきだと分かることにあります。
2つの公的な仕組みを同時に使う
日本には、ダブルケアの両端に対応する2つの支援の仕組みがあります。板挟みのご家族は、介護を一人で抱える対象とせず、両方に同時に頼ってよいのです。
- 介護の側では、親の要介護認定を受け、デイサービス・訪問介護・ショートステイに負担の一部を担ってもらい、無料のケアマネジャーに計画を任せます
- 子育ての側では、保育園・学童・ファミリー・サポートが、介護にも必要になった時間を空けます
- 親のショートステイと一時保育は、すべてが同時に来る週のためにこそあります。レスパイト(介護者の休息)の発想です
- 私費の支援(訪問ヘルパー、ベビーシッター、両側の配食)は、ぜいたくではなく「乗り切るための買い物」と考えます
真ん中にいる人を守る
ダブルケアでは、中心にいる人が荷重を支える壁です。その人がすべてを吸収する前提の家族計画は、いちばん崩れやすい計画です。
近い人・引き受けやすい人(多くは妻や長女)に流れるのを放っておかず、意図的に分担します。調査が示すのは、まさにその偏りだからです。お金・医療・学校・親のケアの担当を、きょうだい間の介護の役割分担と同じように書き出して決めます。仕事と収入を守ることも大切です。追い込まれての離職は取り返しがつきにくく、介護休業の制度はまさにそれを防ぐためにあります。そして最低限の休息を確保します。親も子も、来年も機能している介護者を必要としているからです。燃え尽きは、あとで管理するリスクではありません。ダブルケアでは中心的なリスクであり、崩れる前に引き継ぐ視点が欠かせません。
離れて暮らしながらのダブルケア
逆の形に直面する家族もいます。海外で子どもを育てながら、日本に高齢の親がいる。板挟みは同じで、時差をまたいで引き伸ばされます。
ここでの現実的な分担は、親については調整役(判断・お金・報告)を海外から担い、手のかかる部分は現地の専門職のケアと日本にいる連絡役に任せることです。こちらの子どもと向こうの親の両方に物理的に居ようとするのが、人を壊す形です。海外から日本の親を支える方法に、遠隔の調整役の進め方をまとめています。幼い子どもがいて、親に割けない「居ること」をその子が求めている場面では、なおさら効いてきます。
よくある質問
ダブルケアとは何ですか?
ダブルケアは、子育てと親の介護を同時に担うことを指す言葉で、英語のサンドイッチ世代にあたります。内閣府の調査は、これを担う人を約25万人(女性約17万人・男性約8万人)と推計し、30〜40代がおよそ8割を占めるとしています。出産年齢の上昇と親の長寿化で、今後も増えると見られています。
子育てと介護の支援は同時に使えますか?
はい、使うべきです。2つは別の仕組みです。親は要介護認定を受ければ、デイサービス・訪問介護・ショートステイが負担の一部を担い、無料のケアマネジャーが計画を立てます。子どもは保育園・学童・ファミリー・サポートでカバーします。ダブルケアのご家族は、両方に同時に頼ってよいのです。
なぜダブルケアは、育児や介護を単独で担うより重いのですか?
2つの要求が同じ時間・お金・注意を奪い合い、感情の向きも逆で、危機も示し合わせては来ません。内閣府の調査では負担が偏り、女性ほど労働時間を減らしたり離職したりする割合が高いことが分かっています。外国籍のご家族では、介護の側の言語と制度の壁がさらに加わります。
ダブルケアを一人に背負わせないには?
近い人・引き受けやすい人に流れるのを放っておかず、意図的に分担します。お金・医療・学校・親のケアの担当を書き出して決め、介護休業の制度で仕事を守り、最低限の休息を確保します。ダブルケアでは介護者の燃え尽きが中心的なリスクなので、崩れる前に引き継ぐ備えをしておきます。
公的な情報源
この記事について
この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。
