川崎市の認知症カフェは7区それぞれに一覧表があり、開催場所や頻度は年々変わります。区の窓口・コールセンター・ピアサポートセンターという3つの問い合わせ先を押さえておけば、今の情報にたどり着けます。
制度の背景
オレンジプラン由来の全国設置方針
認知症カフェは、2012年(平成24年)の認知症施策推進5か年計画、通称オレンジプランで初めて明記された取り組みです。その後、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で全市町村への設置を目指す方針が示され、認知症施策推進大綱でも設置状況が達成度をはかる指標の一つとして位置づけられました。国が音頭を取って各自治体に設置を促してきた経緯があるため、規模の大小はあっても、多くの市町村で何らかの形の認知症カフェが運営されています。厚生労働省は認知症カフェを、認知症の人やその家族が地域の人や専門職と自然に交流し、お互いを理解し合う場として位置づけています。
川崎市が呼ぶ名前は認知症のひととみんながつながるカフェ
川崎市では、認知症カフェを「認知症のひととみんながつながるカフェ(認知症カフェ・地域カフェ)」という名称で案内しています。市の説明では、認知症の人やその家族、地域の大人も子どもも若者も海外の方も、いろいろな人が自然につながる場所とされていて、専門職の講話やボランティアによる音楽演奏など、内容は開催場所ごとに異なります。認知症の診断を受けているかどうかを問わず、誰でも立ち寄れる場として運営されているのが特徴です。在宅での介護に限界を感じ始めたときの相談先や見極め方は認知症の在宅介護ガイドで扱っていますが、日々の介護に疲れる前の「つながりの場」としてカフェを知っておく意味は大きいといえます。
名称に「認知症カフェ」だけでなく「地域カフェ」も併記されている点も川崎市らしい特徴です。認知症の診断を受けた人専用の場に限定せず、地域の高齢者サロンや多世代交流の場としての性格も持たせることで、参加のハードルを下げる狙いがあると考えられます。親がまだ診断を受けていない段階でも、地域とのつながりを保つ場として活用できる余地があるということです。
認知症カフェと一般の高齢者サロン・体操教室との違い
川崎市内には、認知症カフェのほかにも、介護予防を目的とした体操教室や、単純に高齢者が集まって過ごす地域サロンなど、似たような雰囲気の場が複数存在します。両者の違いは、認知症であることを前提に企画されているかどうかという点です。認知症カフェは、認知症特有の困りごと(同じ話を繰り返してしまう、外出への不安が強い等)があっても居心地が悪くならないよう、スタッフや参加者があらかじめ理解を持って運営されています。一般の高齢者サロンにも認知症の人が参加すること自体は珍しくありませんが、周囲の理解を前提にした場という保証はありません。どちらが合うかは本人の状態や好みによるため、迷ったときは地域みまもり支援センターに相談し、両方を試してみるという進め方も現実的です。
役割ごとの使い分け
本人が過ごす場としての認知症カフェ
認知症カフェは、まず本人が安心して過ごせる場として設計されています。診断を受けたばかりで気持ちの整理がつかない、家に閉じこもりがちになっている、といった段階の本人にとって、地域の人と自然に言葉を交わせる場は、孤立を防ぐ意味を持ちます。一人暮らしの親が地域とのつながりを保てているかという視点は高齢の親の孤立を防ぐ工夫にも通じます。カフェは治療や訓練の場ではないため、専門的な支援が必要な段階では、後述する専門職への相談を並行して進める必要があります。
本人にとってのカフェの効果は、参加の頻度や相性によっても変わります。一度行って合わないと感じたら、無理に通い続けさせるより、別の場所を試す方が長続きしやすいものです。区内に複数のカフェがある場合は、雰囲気や参加者の年齢層が異なることもあるため、家族が付き添って何か所か見比べてみるのも一つの方法です。
家族が同じ立場の人と話す場としての家族会
家族会は、認知症カフェとは別に設けられていることが多い場で、介護を担う家族どうしが悩みを共有し合う目的に特化しています。川崎市内では区ごとの家族会が活動しており、例えば宮前区の認知症家族会「宮前すみれの会」のように、地域単位で運営されている団体もあります。家族会は「同じ立場の人にしか分からない疲労感を言葉にできる場」として機能する一方、開催頻度や参加のしやすさは団体によって差があるため、まずは後述する窓口に問い合わせて今つながれる家族会を確認するのが現実的です。介護と仕事や生活の両立に悩んだときの土台となる考え方は認知症の在宅介護ガイドも参考になります。
家族会に参加する目的は、情報交換だけではありません。同じ経験をした人の話を聞くことで、自分の対応が的外れではなかったと確認できたり、逆に今まで思いつかなかった工夫を知れたりします。介護を一人で抱え込んでいると感じ始めたときほど、こうした場の存在を思い出す価値があります。参加は義務ではないため、気が向いたときだけ顔を出す、という関わり方でも十分に意味があります。
専門職に相談する場としての初期集中支援チームと地域包括支援センター
カフェや家族会が「つながる場」であるのに対し、症状の進行や今後の医療・介護の方針そのものを相談したい場合は、専門職が対応する窓口が別に用意されています。認知症初期集中支援チームは、医療や介護のサービスにまだつながっていない人や、対応に困っている家族のもとへ専門職チームが関わり、適切な支援につなげる仕組みです。日常的な相談の入口としては地域包括支援センターが窓口になり、そこから初期集中支援チームや医療機関へのつなぎが行われます。診断を受けたばかりで何から手をつければよいか分からない場合の最初の動き方は認知症が疑われたときに最初にすべきことにまとめています。
3つの場は互いに排他的ではなく、並行して使うものと考えるのが実際に近い使い方です。例えば、地域包括支援センターに相談しながら専門職の関与を進めつつ、本人は週に一度カフェに通い、家族は月に一度家族会で他の家族と話す、という組み合わせも珍しくありません。どれか一つに頼り切るのではなく、状況に応じて重ねて使うことが、本人にとっても家族にとっても負担を分散させる助けになります。
なお、カフェや家族会のスタッフ・参加者は、医師や専門職としての診断や治療方針を示す立場ではありません。症状の進行が気になる、薬の調整を相談したい、といった医学的な判断が必要な場面では、必ずかかりつけ医や地域包括支援センター経由で専門職につないでもらう必要があります。この使い分けを誤ると、必要な受診のタイミングが遅れてしまうことがあるため、注意しておきたい点です。
区ごとの導線
区ごとの一覧表は変わるものと考える
川崎市は7つの区それぞれで「認知症のひととみんながつながるカフェ一覧表」を公開しており、川崎区・幸区・中原区・高津区・宮前区・多摩区・麻生区で個別のページが用意されています。ただし、一覧表に載る施設名や開催日は、担い手の都合や地域の事情で入れ替わりが起きやすいものです。この記事でも固有の施設名は挙げません。今の開催状況を正確に知りたい場合は、一覧表を見た上で、必ず掲載先に直接問い合わせることが前提になります。
迷ったときの3つの問い合わせ窓口
区の一覧表の探し方が分からない、載っている情報が古そうだ、そもそも自分の親が住む区にどんな場があるか知りたい、という場合は、次の3つの窓口のどれかに連絡すれば案内を受けられます。1つ目は各区役所の地域みまもり支援センター地域支援課で、区ごとのカフェ情報を管理しています。2つ目は川崎市認知症コールセンター「サポートほっと」(044-932-0341)で、認知症の本人や家族からの総合的な相談を、認知症介護の経験者や社会福祉士、介護支援専門員などが受け付けています。3つ目はNPO法人川崎市認知症ピアサポートセンター(044-932-0301)で、市内の認知症サポート団体や家族会に関する情報の集約役を担っています。どの窓口から入っても、最終的には必要な場所につないでもらえる仕組みになっています。
全体の取りまとめ窓口
区単位の窓口でうまく情報が得られないときは、川崎市健康福祉局地域包括ケア推進室認知症・権利擁護担当(044-200-2470)に問い合わせる方法もあります。ここは市全体の認知症施策を担当する部署で、区ごとの窓口の連絡先が分からなくなったときの最後の頼り先になります。行方不明の不安がある場合の事前登録の仕組みは認知症の行方不明に備えるガイドで扱っているので、あわせて確認しておくと安心材料が増えます。
初めて訪ねる前に確認しておきたいこと
初めてカフェや家族会を訪ねるときは、開催日時・場所に加えて、事前申し込みが必要かどうか、参加費がかかるかどうか、本人だけでの参加を想定しているか家族の同行を前提にしているか、といった点を電話で確認しておくと当日戸惑いません。カフェによっては送迎の相談に応じている場合もあるため、移動手段に不安がある場合は合わせて聞いておくとよいでしょう。一覧表の情報だけでは分からない細かな運営ルールは、掲載先に直接確認するのが一番確実です。
海外・遠距離からのつながり方
一時帰国に合わせてカフェに同行してみる
海外在住の家族にとって、認知症カフェは「親の様子を知る機会」としても使えます。一時帰国のタイミングで親と一緒にカフェへ足を運べば、親がどんな人たちと接し、どんな表情で過ごしているかを直接見ることができます。地域の人やスタッフと顔を合わせておけば、次に何か変化があったときに連絡を取りやすくなるという副次的な効果もあります。海外からの帰省や一時帰国の計画の立て方は海外から親の介護を支える方法にまとめています。
普段は電話やビデオ通話でしか様子が分からない家族にとって、実際にカフェの場に居合わせることで得られる情報量は大きいものです。親がどんな話題で笑うか、誰と親しくしているか、といった細かな様子は、遠隔ではなかなか伝わりません。一時帰国の予定を立てる際は、カフェの開催日を事前に確認し、日程に組み込んでおくと、限られた滞在日数を有効に使えます。
家族会にオンラインで参加できるか問い合わせる
日本国内に住む家族どうしが顔を合わせる場という前提が強い家族会でも、地域によってはオンラインでの参加や個別の電話相談に応じている場合があります。参加できるかどうかは団体ごとに異なるため、まずは前述のピアサポートセンターやコールセンターに、海外在住であることを伝えた上で相談してみるとよいでしょう。全国的な家族会としては、公益社団法人認知症の人と家族の会の神奈川県支部も相談先の一つになります。遠距離での介護体制づくり全般の考え方は遠距離介護の進め方でも扱っています。
オンラインでの参加が難しいと言われた場合でも、電話での個別相談だけは受け付けてもらえることがあります。断られたからといって諦めず、どういう形なら関われるかを窓口側と一緒に探る姿勢が有効です。時差がある地域からの連絡になる場合は、その旨を最初に伝えておくと、折り返しの時間帯を調整してもらいやすくなります。
記録を残しておくと次の相談がしやすくなる
海外にいると、親がどんな支援を受けているか、日ごろの様子はどうかという情報が国内の家族から漏れて伝わってくることがあります。カフェや家族会に一度でも同行・相談した経験があれば、その内容を簡単なメモとして残しておくと、次に地域包括支援センターや専門職に相談するときの材料になります。誰が何を担っているかを家族間で共有しておくことは、離れて暮らす家族どうしのすれ違いを減らす助けにもなります。
電話やメールで相談するときに伝えておきたい情報
海外から窓口に電話やメールで問い合わせる場合、時差の関係でつながりにくい時間帯もあります。最初の連絡では、親の名前・住んでいる区・自分が海外在住であること・希望する連絡手段(国際電話が難しければメールでのやり取りなど)を伝えておくと、以降のやり取りがスムーズになります。国内に他の家族がいる場合は、その家族の連絡先も併せて共有しておくと、緊急時に窓口側が連絡を取りやすくなります。日ごろから地域包括支援センターと海外の家族との連絡線をつくっておくことも、こうした問い合わせを重ねる中で自然に整っていきます。
比較表
項目ごとの違いを、次の表で押さえてください。
| 場 | 主な対象 | 目的 | 川崎市での主な窓口 |
|---|---|---|---|
| 認知症カフェ | 本人・家族・地域住民 | 自然な交流・孤立の予防 | 区役所地域みまもり支援センター地域支援課 |
| 家族会 | 介護を担う家族 | 同じ立場どうしの悩みの共有 | NPO法人川崎市認知症ピアサポートセンター |
| 専門職への相談 | 本人・家族 | 診断後の医療・介護方針の検討 | 地域包括支援センター・認知症初期集中支援チーム |
| コールセンター | 本人・家族(総合相談) | どこに相談すればよいか分からないときの入口 | サポートほっと(044-932-0341) |
よくある質問
川崎市の認知症カフェは誰でも参加できますか?
はい。川崎市の認知症カフェ「認知症のひととみんながつながるカフェ」は、認知症の診断の有無にかかわらず、本人・家族・地域の人が自然につながる場として運営されています。専門職の講話やボランティアの演奏など内容はカフェごとに異なるため、参加前に開催場所へ直接問い合わせるとよいでしょう。
認知症カフェと家族会はどう違いますか?
認知症カフェは本人・家族・地域住民が交わる開かれた場である一方、家族会は介護を担う家族どうしが悩みを共有し合うことに特化した場です。川崎市内には区単位で活動する家族会があり、NPO法人川崎市認知症ピアサポートセンター経由で紹介を受けられます。
区のカフェ一覧表に載っている場所は今も開催されていますか?
一覧表の情報は入れ替わりが起きやすいため、掲載時点の情報がそのまま今も正しいとは限りません。参加を検討する場合は、一覧表を確認した上で、掲載されている連絡先か区役所地域みまもり支援センター地域支援課に直接問い合わせて最新の開催状況を確認してください。
どこに聞けばよいか分からないとき、最初にかける窓口はどこですか?
川崎市認知症コールセンター「サポートほっと」(044-932-0341)が総合的な相談窓口として機能します。認知症介護の経験者や社会福祉士、介護支援専門員などが対応し、必要に応じて区の窓口や専門職への相談につないでもらえます。
海外在住でも川崎市の家族会とつながる方法はありますか?
団体によってはオンラインでの参加や電話相談に応じている場合があります。海外在住であることを伝えた上で、NPO法人川崎市認知症ピアサポートセンターやコールセンターに相談すると、対応可能な形を案内してもらえることがあります。
一時帰国のときに親と一緒に認知症カフェへ行ってみることはできますか?
多くのカフェは家族の同行を想定して運営されているため、一時帰国のタイミングで親と一緒に訪れることは可能です。事前に開催場所へ連絡し、家族としての参加が可能かを確認しておくと安心です。
認知症カフェで専門的な治療や介護の相談もできますか?
カフェ自体は治療や訓練を行う場ではなく、交流を目的とした場です。診断後の医療や介護方針についての具体的な相談は、地域包括支援センターや認知症初期集中支援チームなど、専門職が対応する窓口を別途利用する必要があります。
一次情報・公的情報
本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-11.
- 川崎市「認知症のひととみんながつながるカフェ(認知症カフェ・地域カフェ)とは」(川崎市公式, curl verified 200)
- 川崎市「【宮前区】認知症のひととみんながつながるカフェ一覧表」(川崎市公式, curl verified 200)
- 川崎市「認知症コールセンター~サポートほっと~」(川崎市公式, curl verified 200)
- 川崎市地域包括ケアシステムポータル「認知症施策に関する最新情報」(川崎市地域包括ケア推進室関連ポータル, curl verified 200)
- 公益社団法人認知症の人と家族の会「神奈川県支部」(curl verified 200)
- 厚生労働省「認知症施策関連ガイドライン(手引き等)、取組事例(認知症カフェ・認とも)」(curl verified 200)
この記事について
この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。
