制度ガイド

親が認知症かもしれないと思ったら|最初にすべき相談と受診の進め方

親のもの忘れが気になったら、最初の一歩は相談です。診断が付く前でも、かかりつけ医と地域包括支援センターに相談でき、受診を嫌がる親への角の立たない誘導方法もあります。

公開日
2026-07-02
最終更新日
2026-07-02
情報確認日
2026-07-02
出典
4件の一次情報・公的情報

親のもの忘れが気になったら、最初の一歩は相談です。診断が付く前でも、かかりつけ医と地域包括支援センターに相談でき、受診を嫌がる親への角の立たない誘導方法もあります。

気づいた直後の初動

「認知症かも」で足りる 診断がなくても相談していい

もの忘れが気になる段階では、家族はまだ何も確定した情報を持っていません。それでも、地域包括支援センターには「認知症かどうか分からないが心配」という段階のまま相談できます。診断名や要介護認定の結果がそろってから連絡する必要はなく、むしろ様子がおかしいと感じた時点で早めに相談したほうが、本人の受診や生活の備えに使える時間が長く残ります。地域包括支援センターは、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどの専門職が常駐し、認知症に詳しい医療機関や支援チームにつないでくれる窓口で、家族からの電話相談だけでも対応してもらえます。

まず記録する 日付・頻度・具体的なやり取り

相談や受診の前に、気づいた変化を簡単でよいのでメモに残しておくと、その後の相談がスムーズになります。「いつから」「どのくらいの頻度で」「具体的に何を言っていたか」を書き留めておくと、かかりつけ医や地域包括支援センターの職員に状況を正確に伝えやすくなります。電話でのやり取りしかない家族の場合は、通話メモとして残しておくとよいでしょう。

何科を受診するか:もの忘れ外来とかかりつけ医

認知症の診療は、精神科・脳神経内科・老年科などが扱いますが、初めての受診先として分かりやすいのは「もの忘れ外来」です。もの忘れ外来は認知症の診断を専門に行う外来で、地域の病院や認知症の在宅介護ガイドでも紹介している認知症疾患医療センターに設置されていることが多くあります。ただし、本人がいきなり「もの忘れ外来」という名称の科を受診することに抵抗を感じる場合は、まず本人が普段から通っているかかりつけ医に相談し、そこから専門の医療機関へ紹介してもらう流れのほうが本人の心理的な負担が少ないとされています。

受診を嫌がる本人への声かけ

正面から説得しない 角の立たない入口を選ぶ

本人に自覚がない、あるいは認めたくない気持ちがあると、「病院に行こう」という直接的な誘いは強い拒否につながりやすいとされています。効果的とされる誘い方は、「認知症かどうか調べに行こう」ではなく、「最近疲れているみたいだから、一度健康診断を受けよう」「血圧の薬をもらうついでに、もの忘れのことも先生に聞いてみよう」といった、健康診断や体調不良を理由にした声かけです。無理に連れて行こうとすると本人の不安や不信感を強め、その後の受診がさらに難しくなることがあるため、力ずくで連れて行くことは避けたほうがよいとされています。

家族だけで動かない かかりつけ医と地域包括支援センターを味方にする

家族が一人で説得を続けるより、本人が信頼している人を経由したほうがうまくいくことがあります。かかりつけ医から「一度、専門の先生にも診てもらいましょう」と勧めてもらう、あるいは地域包括支援センターに事情を伝え、専門職から本人へ働きかけてもらう方法です。多くの市町村には、医療・介護の専門職が家族の相談を受けて本人を訪問し、受診や必要な支援につなげる仕組みが用意されています。まずはケアマネジャーではなく地域包括支援センターに相談するのが、この段階での正しい入口です(ケアマネジャーは要介護認定を受けた後に契約する専門職のため、認定前のこの段階ではまだ登場しません)。

診断を急かしすぎない 関係を壊さない距離感

受診を勧めても、その日のうちに本人が同意するとは限りません。1回で結論を出そうとせず、時間をかけて何度か話題に触れる、あるいは家族以外の第三者からの働きかけを挟むといった形で、本人との関係を壊さない距離感を保つことも大切です。診断が数週間遅れることよりも、本人が家族への不信感を強めて今後の相談自体を拒むようになることのほうが、長い目で見て解決を遠ざけます。

海外・遠距離から気づく

対面でなくても気づけるサイン

海外在住で親の介護を調整するご家族にとって、日常のもの忘れの変化に気づくのは対面の家族より難しくなります。それでも、電話やビデオ通話で気づけるサインはあります。同じ質問や同じ話を1回の通話の中で何度も繰り返す、電話をかけたこと自体を覚えていない、約束していた通話の時間や日にちを毎回忘れる、家計や振込の話が以前よりかみ合わなくなる、といった変化です。対面でのチェックリストがなくても、通話の違和感の蓄積は十分な気づきのきっかけになります。

一時帰国の数日でできる観察

一時帰国できる機会があるなら、限られた滞在日数でも確認できるポイントを絞っておくと効率的です。冷蔵庫の中身が同じ食品ばかりで賞味期限切れが増えていないか、郵便物や請求書が未開封のまま溜まっていないか、服薬カレンダーや薬の残量が予定通り減っているか、といった生活の痕跡は、本人との会話だけでは分からない変化を教えてくれます。気になる点があれば、帰国中に本人と一緒にかかりつけ医を受診する、あるいは地域包括支援センターに立ち寄って相談しておくと、帰国後も電話で状況を追いやすくなります。

現地の連絡網と司令塔を先に決めておく

海外にいる家族が毎回状況を把握しに動くのは負担が大きいため、近所に住む親族や知人など、現地で異変に気づいたときに連絡をくれる人を1人でも確保しておくと安心です。かかりつけ医の連絡先、親の住所地を担当する地域包括支援センターの連絡先は、もの忘れが気になり始めた段階でメモにまとめ、現地の協力者と共有しておきましょう。この段階でのつながりづくりは、後に要介護認定の申請やケアプラン作成が必要になったときの土台にもなります。より広い体制づくりは遠距離介護のガイドにまとめています。

この先の見通し

診断が付いたら何が変わるか

もの忘れ外来やかかりつけ医の診断で認知症の診断が付いた場合、次の段階では要介護認定の申請を検討することになります。親の介護をどこから始めるかを扱うガイドに申請の流れをまとめていますが、認定を受けると、介護保険サービスを使った訪問介護やデイサービスなどの利用を検討できるようになります。診断がまだの段階でこの先の流れを知っておくと、受診への心理的なハードルが下がることもあります。

「まだ何も決まっていない」段階は、実は動きやすい

診断も認定申請もしていない段階は、情報が少なく不安になりがちですが、逆に言えば本人にまだ判断力や意思がしっかり残っている可能性が高い時期でもあります。お金の管理の希望や、将来どこでどう暮らしたいかといった話を、本人の言葉で聞いておけるのはこの時期ならではです。親の介護が何歳から始まるかのガイドでも触れているとおり、年齢を待たずサインが出た時点で動き始めることが、その後の選択肢の広さにつながります。

公的窓口で足りること、JCCに相談したほうがよいこと

もの忘れの相談から受診の誘導、地域包括支援センターへのつなぎまでは、公的窓口とかかりつけ医で無料・保険内で進められます。私たちがお手伝いするのは、海外在住で日常の様子が見えないご家族に代わって、電話やビデオ通話での違和感を整理する壁打ち相手になることや、一時帰国のタイミングに合わせた観察ポイントの整理、現地の相談窓口とのやり取りの調整です。まずは家族サポートの窓口からご相談ください。

チェックリスト:電話・帰国時に確認したいサイン

同じ質問や同じ話を1回の通話の中で複数回繰り返す

電話をかけたこと自体を覚えていない、内容がかみ合わない

通話の約束や日時を毎回忘れる

家計・振込・請求の話のつじつまが以前より合わなくなった

冷蔵庫に同じ食品が大量にある、賞味期限切れが増えた

郵便物や請求書が未開封のまま溜まっている

服薬カレンダーや薬の残量が予定通りに減っていない

得意だった趣味・家事・身なりへの関心が急に薄れた

このうち複数が重なって見えてきたら、診断を待たずに地域包括支援センターかかかりつけ医への相談を始めてよい段階です。一つだけの変化で判断を急ぐ必要はありませんが、放置して悪化するのを待つ理由にもなりません。

よくある質問

電話で話しているだけで、親が認知症かもしれないと気づくことはありますか

あります。同じ質問や同じ話を1回の通話の中で繰り返す、通話の約束や日時を毎回忘れる、家計や振込の話のつじつまが合わなくなる、といった変化は電話越しでも気づけるサインとされています。対面での観察ができない分、通話の違和感の積み重ねを記録しておくと相談のときに役立ちます。

親が「年のせいだから」と言い張って受診を拒みます どう声をかければよいですか

「認知症かどうか調べに行こう」という直接的な誘いよりも、健康診断や体調不良を理由にした声かけのほうが本人の抵抗が少ないとされています。かかりつけ医から一言勧めてもらう、地域包括支援センターに事情を伝えて専門職から働きかけてもらう方法もあります。無理に連れて行くことは、その後の受診をさらに難しくすることがあるため避けたほうがよいとされています。

認知症かどうかまだ分からない段階で、地域包括支援センターに相談してよいのですか

相談してよい段階です。地域包括支援センターは、診断名や要介護認定の結果がそろっていなくても、家族からの「もの忘れが心配」という相談に対応しています。保健師や社会福祉士などの専門職が常駐し、必要に応じて認知症に詳しい医療機関や支援の仕組みにつないでくれます。

もの忘れ外来とかかりつけ医、最初に相談するのはどちらがよいですか

本人が抵抗なく応じられそうなら、普段から通っているかかりつけ医への相談が現実的な入口です。かかりつけ医から専門のもの忘れ外来や医療機関へ紹介してもらう流れのほうが、本人の心理的な負担が少ないとされています。かかりつけ医がいない場合は、地域包括支援センターに相談すると近隣の相談先を案内してもらえます。

一時帰国できるのが数日しかありません その間に何を確認すればよいですか

冷蔵庫の中身が同じ食品ばかりで賞味期限切れが増えていないか、郵便物や請求書が未開封のまま溜まっていないか、服薬カレンダーや薬の残量が予定通り減っているかを確認するとよいでしょう。気になる点があれば、滞在中にかかりつけ医への受診や地域包括支援センターへの相談を済ませておくと、帰国後も電話で状況を追いやすくなります。

地域包括支援センターに相談すると、本人に内緒で話が進んでしまいませんか

相談内容は対応に必要な範囲で扱われ、本人にまだ伝えていない段階であることも含めて事情を説明すれば、伝え方やタイミングについても一緒に考えてもらえます。まずは「本人にはまだ話していないが心配だ」という状況ごと率直に伝えて相談してください。

きょうだいや親族が日本にいない場合、最初の受診に付き添う人がいません どうすればよいですか

近所に住む知人や親族に付き添いを頼めないか、まず地域包括支援センターに相談してみてください。付き添いが難しい事情も含めて伝えることで、訪問支援の仕組みや、通院に付き添えるサービスの有無を案内してもらえることがあります。海外在住で調整自体が難しい場合は、私たちのようなサービスに相談する方法もあります。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-02.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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