「親の介護って、だいたい何歳から始まるんだろう」──ふと気になって検索する方は多いはずです。結論から言うと、データ上の目安は「75歳前後から増え始め、80代で本格化」。ただし個人差が非常に大きく、年齢そのものより「サインに気づけるか」と「その前にどれだけ備えたか」で、介護の大変さは大きく変わります。このガイドでは、公的データに基づく目安、見逃したくないサイン、親の年代別にやっておくことをまとめました。
データで見る「介護が始まる年齢」
目安になる公的データは2つあります。ひとつは健康寿命。日常生活に制限なく暮らせる期間の平均で、男性はおよそ72歳、女性はおよそ75歳です。平均寿命との差し引きで、人生の最後に男性で約9年、女性で約12年、何らかの支援や介護が必要になりやすい期間があることになります。
もうひとつは要介護認定率です。65〜74歳で要介護(要支援含む)と認定されている人は数%にとどまりますが、75歳を過ぎると割合がはっきり上がり、85歳以上ではおよそ6割が認定を受けています。つまり「65歳になったから介護」ではなく、75歳前後が統計的な分かれ目、80代後半では「介護があるのが普通」というのが実態です。
年齢より確かな「始めどき」のサイン
平均はあくまで平均です。実際の始めどきを教えてくれるのは、年齢ではなく日常の変化のサインです。次のような変化が重なってきたら、年齢にかかわらず準備を始める合図と考えてください。
- 転倒した、またはつまずくことが増えた(介護が始まる最大のきっかけのひとつ)
- 薬の飲み忘れ・飲み間違いが出てきた
- 冷蔵庫に同じものが大量にある、賞味期限切れが増えた
- 家や庭の手入れが行き届かなくなってきた
- 外出や付き合いが減り、閉じこもりがちになった
- もの忘れが「あれ?」と思うレベルを超えてきた
- 車の運転に不安が出てきた(こすり傷が増えた、ヒヤリとした話を聞いた)
- 電話の内容が繰り返しになる、お金の管理ミスが出てきた
親が60代のうちに:話して、把握する
60代の親はまだ「介護される側」という自覚がなく、だからこそ話しやすい時期です。この時期にやるべきは介護の手配ではなく、情報の把握と会話の土台づくりです。
- 持病・かかりつけ医・飲んでいる薬をなんとなくでも把握しておく
- 年金や保険、通帳の「ありか」だけでも知っておく(管理する必要はありません)
- 「将来どこでどう暮らしたいか」を雑談として聞いておく
- 実家の住所地の自治体名を確認しておく(将来の手続き窓口になります)
- 帰省時に家の中の段差・手すり・浴室を何気なく見ておく
親が70代になったら:見守りと相談先の確保
75歳前後からは、統計的にも介護が現実味を帯びる時期です。本格的な介護がまだ必要なくても、「変化に気づける体制」と「いざという時の相談先」を作っておくと、その後の展開がまったく違います。
- 連絡の頻度と形を決める(週1回の電話、ビデオ通話など、続けられるリズムで)
- 親の住所地の地域包括支援センターの連絡先を調べておく。気になることがあれば家族として相談(無料)
- 近所や親戚など、現地で異変に気づいてくれる人と連絡先を交換
- 免許返納後の移動手段を一緒に考えておく
- 介護保険のしくみをざっくり理解しておく(いざという時の初動が早くなります)
サインが出てきたら:年齢を待たず認定申請を
転倒や物忘れなどのサインが重なってきたら、「まだ75歳だから」「まだ介護というほどでは」と待つ必要はありません。要介護認定の申請は、介護が深刻になる前にこそ価値があります。
認定には申請からおおむね1か月かかり、遡って使えるのは申請日までです。「要支援1」のような軽い認定でも、手すりの設置補助や週1回のヘルパーなど、転倒や閉じこもりを防ぐサービスにつながり、結果的に重い介護を遅らせることができます。申請して認定されても、サービスを使う義務はありません。迷ったら、親の住所地の地域包括支援センターに相談を。進め方の全体像は「親の介護は何から始める?」のガイドにまとめています。
遠方・海外在住なら、目安年齢を少し前倒しに
離れて暮らしていると、日常の小さなサインに気づくのがどうしても遅れます。同居家族なら「最近ちょっと変だな」で済む変化が、遠方からは入院の連絡で初めて分かる、ということが起きがちです。
だからこそ、遠方・海外在住の方は、上の年代別の目安を1段階ずつ前倒しで考えてください。親が70代に入ったら、サインが出てからではなく出る前に、見守りの仕組みと現地の連絡網を作っておく。詳しい体制づくりは遠距離介護のガイドを参照してください。私たちJapan Care Conciergeも、遠方・海外のご家族に代わって状況の把握と現地との調整をお手伝いしています。
よくある質問
親の介護は平均で何歳から始まりますか?
統計的には75歳前後から要介護認定率が上がり始め、85歳以上ではおよそ6割が認定を受けています。ただし個人差が大きく、転倒や物忘れなどのサインが出たら年齢を待たずに動くのが実際的です。
何歳から介護の準備を始めるべきですか?
親が60代のうちに情報の把握と会話の土台づくりを、70代に入ったら見守りの体制と相談先の確保を始めるのが目安です。遠方・海外在住の場合は1段階前倒しをおすすめします。
まだ元気なのに要介護認定を申請してもいいのですか?
サインが出ているなら申請して構いません。軽い認定(要支援)でも転倒予防や生活支援のサービスにつながり、重い介護を遅らせる効果が期待できます。認定されてもサービスを使う義務はありません。
親が80代ですが、まだ何も準備していません。遅すぎますか?
遅すぎることはありません。今日できる最初の一歩は、親の状況を1枚のメモにまとめ、親の住所地の地域包括支援センターに家族として連絡することです。そこから1〜2か月で基本的な体制は作れます。

