制度ガイド

セルフケアプランの作り方と注意点

セルフケアプランとは、ケアマネジャーに頼らず本人・家族が居宅サービス計画を自分で作り市区町村に届け出る、法的に認められた選択肢です。毎月の給付管理事務が自分の負担になるため、実際に選ぶ家族はごく少数です。

公開日
2026-07-11
最終更新日
2026-07-11
情報確認日
2026-07-11
出典
6件の一次情報・公的情報

セルフケアプランとは、ケアマネジャーに頼らず本人・家族が居宅サービス計画を自分で作り市区町村に届け出る、法的に認められた選択肢です。毎月の給付管理事務が自分の負担になるため、実際に選ぶ家族はごく少数です。

制度の位置づけ

ケアマネジャーを介さないという選択肢

要介護1〜5の認定を受けた人が在宅で介護保険サービスを使う場合、通常は居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーへ依頼し、ケアプランの作成から事業者との調整、月1回の訪問まで任せる形が一般的です。しかし介護保険法上、この依頼は義務ではありません。要介護認定を受けた本人が、自分で居宅サービス計画を作成し、市区町村へ届け出て受理されれば、ケアマネジャーを介さずに現物給付(自己負担分だけを事業者に払い、残りは保険から直接支払われる仕組み)でサービスを使うことができます。これがセルフケアプラン、または自己作成プランと呼ばれる制度です。

法的な位置づけは、介護保険法第41条第6項の「その他の厚生労働省令で定める場合」を受けた介護保険法施行規則の規定にあります。現物給付でサービスを利用するには、指定居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼するか、本人が作成した居宅サービス計画を市町村に届け出て受理されるかのいずれかが要件になっており、後者がセルフケアプランの根拠です。制度としての仕組みは介護保険の基本ガイドで扱う保険給付の枠組みの一部であり、特別な例外制度というより、最初から用意されている選択肢の一つだと理解しておくと全体像がつかみやすくなります。

要介護1〜5の人だけでなく、要支援1・2と認定された人にも同じ考え方が適用されます。通常、要支援の人の介護予防サービス・支援計画は地域包括支援センターが作成しますが、この場合も本人が自分で計画を作成し、区市町村へ届け出て受理されれば、地域包括支援センターに依頼せず利用を始めることができます。窓口や届出様式の名称は自治体によって「介護予防サービス計画作成依頼(変更)届出書」など多少異なりますが、本人が事業者に依頼するかどうかを選び、その旨を届け出るという基本の骨格は、要介護・要支援いずれの認定を受けた場合でも共通しています。

届出から利用開始までの流れ

セルフケアプランを始める手順は、多くの自治体で共通しています。まず市区町村の介護保険担当窓口に、居宅介護支援事業所に依頼せず自分で計画を作成する旨を相談し、「居宅介護サービス計画作成依頼(変更)届出書」など所定の届出書と、計画書の様式一式を受け取ります。次に、利用したいサービスの種類・回数を決め、各サービス事業者と個別に連絡を取って利用可能かどうかを確認し、居宅サービス計画書の原案(第1表・第2表に相当する内容)と週間スケジュール、サービス利用票・別表を自分で作成します。作成した計画は市区町村に提出し、内容の確認を受けたうえで各事業者に予約を確定し、サービス開始となります。ここまでの一連の作業を、ケアマネジャーではなく本人または家族が担うのがセルフケアプランの実務です。

サービス利用が始まったあとも、毎月、その月に実際に利用したサービスの実績をまとめたサービス利用票・別表を作成し、期限までに市区町村へ提出する作業が続きます。市区町村はこの提出を受けて給付管理を行い、国民健康保険団体連合会(国保連)に給付管理票を送る仕組みになっているため、提出が遅れたり内容に不備があったりすると、その月の給付そのものが止まってしまうことがあります。この提出は最初の届出だけで完結するものではなく、利用を続ける限り毎月繰り返される事務だという点が、次のパートで扱う負担の実態につながります。

役割の対比

ケアマネジャーに委託した場合の分担

ケアマネジャーに依頼する通常のルートでは、サービスの組み立てから毎月の実務まで、次のような役割分担になります。ケアマネジャーが本人・家族の希望を聞き取って居宅サービス計画の原案を作り、サービス担当者会議を開いて事業者間の調整を行い、月1回の訪問(モニタリング)で状況を確認し、毎月の利用実績を集計してサービス利用票・別表を作成し、市区町村への提出まで一貫して担います。家族がすることは、本人の状態や希望を伝え、プラン内容に納得できないときに見直しを相談することが中心で、給付管理という事務作業そのものからは切り離されています。この一連の業務は居宅介護支援費として全額が介護保険から事業所に支払われ、本人・家族の自己負担はありません。

自己作成にした場合の分担

セルフケアプランでは、ケアマネジャーが担っていた業務のうち、事業者選定の相談やサービス担当者会議の開催、月々の利用実績の集計と提出という給付管理の実務が、丸ごと本人・家族の役割に移ります。具体的には、サービス事業者ごとに空き状況や条件を個別に確認する連絡調整、利用した日・時間・内容を記録して単位数を計算する作業、計算結果を所定の様式にまとめて期限内に市区町村へ提出する作業を、専門職の手を借りずに自分たちで行うことになります。費用の面では自己負担割合そのものは変わりませんが、これまで無償で専門職が担っていた事務作業を、家族が自分の時間を使って肩代わりする形になる点が本質的な違いです。

給付管理でつまずきやすい点

給付管理の実務でとくにつまずきやすいのは、単位数の計算間違いと提出期限の管理です。要介護度ごとに定められた支給限度額の範囲内かどうかを自分で確認しないまま複数のサービスを組み合わせると、限度額を超えた分がまるごと自己負担になってしまうことがあります。また、毎月の提出が遅れると、その月の給付管理事務が滞り、事業者への支払いに影響が出て、事業者との間でトラブルに発展する例も指摘されています。ケアマネジャーが日常的にこなしている実務を、初めて担う家族が仕事や家事の合間にミスなくこなし続けるのは、想像以上に負担が大きい作業だと考えておいたほうがよいでしょう。

向き不向きの実際

通常はケアマネジャーへの委託が合理的

ケアマネジャーへの依頼は自己負担なしで受けられる公的なサービスであり、給付管理の実務もすべて任せられます。この事実を踏まえると、多くの家庭にとってはケアマネジャーに依頼するほうが合理的な選択です。無料で受けられる専門的な調整をあえて手放し、自分で事務作業を引き受ける積極的な理由がない限り、セルフケアプランを選ぶ必然性は薄いと言えます。実際、教えて!ケアマネジャーのコラムでは、セルフケアプランを検討する人は同じ市区町村内でも数人いるかいないかという、きわめて稀な状況だと紹介されています。多くの自治体でも、セルフケアプランを選ぶ利用者はごく少数にとどまっているのが実情です。

セルフケアプランが検討される例外的な場面

それでも一定数、セルフケアプランが検討される場面があります。1つ目は、地域でケアマネジャーの担当に空きがなく、すぐに依頼先が見つからない場合です。2つ目は、特定のサービス事業者だけをピンポイントで使いたく、ケアマネジャーを介した通常のプランでは希望通りの組み合わせにしにくいと感じる場合です。3つ目は、本人や家族に医療・介護分野の専門知識や実務経験があり、給付管理の事務作業自体に抵抗が少ない場合です。これらはいずれも例外的な事情であり、「ケアマネジャーとの相性が悪いから」という理由だけであれば、まずはケアマネジャーのガイドにある変更の仕組みを使って担当を変えるほうが、負担が小さく現実的な解決策になることが多いです。相性の問題は担当者を変えることで解決できる場合が大半で、セルフケアプランに切り替えても、給付管理という別の負担が新たに増えるだけで、根本の不満が解消されるとは限りません。

また、以前セルフケアプランを経験していて、その事務作業に一定の理解がある家族が、次の更新のタイミングで再びこの方法を選ぶという例もあります。一度経験している場合は、必要な様式や提出のリズムがすでに分かっているため、初めて挑戦する家族に比べると負担を見積もりやすいという側面はあります。それでも毎月の作業自体が軽くなるとは限らず、続けるかどうかは体力や時間の余裕を都度見直したうえで判断すべき事柄です。

選ぶ前に確認しておきたいこと

セルフケアプランを検討する場合は、選ぶ前に次の点を市区町村の窓口で確認しておくと、後から想定外の負担に直面しにくくなります。届出に必要な様式一式と記入例が用意されているか、毎月の提出方法(窓口持参のみか郵送も可能か)、提出期限と遅れた場合の扱い、分からないことがあったときに相談できる窓口はどこかという4点です。市区町村によって案内の丁寧さや対応の柔軟さに差があるため、実際に電話や窓口で相談してみて、自分たちで最後まで運用しきれそうかを見極めることが、選択を誤らないための現実的な一歩になります。

窓口での相談時には、想定しているサービスの種類と回数を具体的に伝え、その組み合わせで支給限度額に収まるかどうかの目安を教えてもらえないか尋ねるとよいでしょう。担当者によって案内できる範囲は異なりますが、初めから込み入った質問を投げることで、自分たちにとってどこまでが現実的な運用なのかが早い段階で見えてきます。判断に迷う場合は、いったんケアマネジャーへの依頼から始め、実際の介護の様子を数か月見てから改めてセルフケアプランを検討するという順序も、無理のない選び方の一つです。

海外・遠距離から

海外からの毎月の提出実務

海外在住の家族にとって、セルフケアプランの最大のハードルは、毎月のサービス利用票・別表の作成と、期限内の提出という実務そのものです。多くの自治体では窓口への持参が基本とされ、郵送やオンラインでの提出が広く整っているとは限りません。かりに郵送が認められる自治体であっても、時差のある海外から、日本の月次の期限に合わせて正確な単位数計算と提出を続けるのは、日常的な負担として重くのしかかります。国内に同居・近居する家族がいれば分担できますが、本人が単身で暮らし家族全員が海外にいるようなケースでは、給付管理の実務を担う人手そのものが確保しにくい構造になります。

さらに、サービス事業者との個別の連絡調整も、日本国内にいることを前提にした電話でのやり取りが中心になりがちです。平日の日中に事業者へ連絡し、空き状況を確認し、条件をすり合わせるという作業を、時差のある海外から日本の営業時間に合わせて行うのは、単発の作業であればともかく、毎月欠かさず続けるとなると、時差と距離を抱えたままでは現実的な負担になります。

通常はケアマネジャーへの委託を選ぶのが現実的

このため、海外在住家族が中心になって親のケアプランを考える場合は、セルフケアプランではなくケアマネジャーへの委託を選ぶのが現実的な判断になります。ケアマネジャーは月1回の訪問で本人の様子を確認してくれる、遠方の家族にとって数少ない「現地の目」でもあります。海外在住家族向けの介護コーディネートガイド遠距離介護の進め方でも扱っているとおり、給付管理という事務作業を自分たちで抱え込むより、その労力を、ケアマネジャーとの連絡ルールづくりや、保険外で補うべき部分の手配に振り向けたほうが、限られた時間と体力を有効に使えます。

例外的にセルフケアプランを検討する場合の備え

それでも海外在住の家族が事情によりセルフケアプランを検討せざるを得ない場合は、日本国内に実務を担える親族や信頼できる代理人を確保できるかを、最初の判断材料にしてください。国内の親族が窓口とのやり取りや月次の提出を担い、海外の家族は費用負担や事業者選定の相談で分担するなど、役割を明確に分けておくことが実務を破綻させないための前提になります。国内に頼れる人がいない場合は、無理にセルフケアプランを選ばず、地域包括支援センターに相談してケアマネジャーを探すところから始めるほうが、結果的に親の生活の安定につながりやすいというのが、この記事で整理した内容からの率直な評価です。

親がまだ元気なうちから将来の介護を話し合っている段階であれば、セルフケアプランという選択肢の存在自体は知っておいて損はありません。ただし、実際に要介護状態になり、体調の変化や入退院への対応が重なってくると、毎月の給付管理という定型の事務作業に手を割く余裕はどうしても後回しになりがちです。海外在住の家族が親の介護に関わる際は、限られた時間と気力は、事務作業よりも本人の状態把握やケアマネジャーとの関係づくりに割くほうが、長い目で見て親にとっても家族にとっても負担の少ない選び方になります。

比較表

両者の違いは、次の表のとおりです。

項目ケアマネジャーに依頼セルフケアプラン(自己作成)
費用自己負担なし(居宅介護支援費として保険から全額支払い)自己負担割合は同じだが、事務作業の対価は発生しない(自分の労力で肩代わり)
手間プラン作成・調整・毎月の実績集計を専門職が担うサービス選定の連絡調整・単位数計算・毎月の提出を本人・家族が担う
給付管理の責任ケアマネジャーが提出まで一貫して担当本人・家族が毎月の提出期限と正確性に責任を持つ
事業者調整のしやすさ事業者間の日程・条件調整をケアマネジャーが代行事業者ごとに本人・家族が個別に連絡・調整する必要がある

よくある質問

ケアマネジャーに依頼している途中でも、セルフケアプランに切り替えられますか?

制度上は切り替え自体は可能ですが、市区町村への届出をやり直し、毎月の給付管理を自分で担う体制を新たに整える必要があります。切り替えの前に、現在のケアマネジャーとの関係で何が不満なのかを整理し、担当変更で解決できないかをまず検討することをおすすめします。

特定のサービス事業者だけを使いたい場合、セルフケアプランのほうが自由度は高いですか?

ケアマネジャーを介した通常のプランでも、希望する事業者を具体的に伝えれば多くの場合は反映されます。特定事業所への偏りには一定のルールがあるため、まずはケアマネジャーに率直に希望を伝え、それでも難しい場合にセルフケアプランを検討する順番が現実的です。

毎月の給付管理を自分で行うとき、単位数の計算を間違えるとどうなりますか?

支給限度額を超えた分は全額自己負担になります。計算に不安がある場合は、市区町村の窓口で計算方法の確認や記入例の提供を受けられないか相談してください。

海外在住のため窓口に直接行けない場合、セルフケアプランの届出や毎月の提出はどうすればよいですか?

自治体によって郵送対応の可否が異なるため、まず居住予定地の窓口に確認が必要です。国内に実務を担える親族がいない場合は、ケアマネジャーへの依頼を選ぶほうが、毎月の実務が滞るリスクを避けられます。

ケアマネジャーの担当に空きがなく見つからないとき、セルフケアプランで代用してよいですか?

一時的な選択肢にはなり得ますが、給付管理の実務負担が大きいため、まずは地域包括支援センターに相談し、空きのある事業所を紹介してもらう方法を優先的に検討することをおすすめします。

セルフケアプランを選ぶと、ケアマネジャーに相当する専門的なアドバイスは受けられなくなりますか?

サービス事業者から個々の説明は受けられますが、複数のサービスを組み合わせて本人に最適なプラン全体を専門的に設計する役割は担う人がいなくなります。専門的な視点でのプラン設計を重視する場合は、ケアマネジャーへの依頼が向いています。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-11.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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