要介護認定には有効期間があり、満了日の60日前から更新申請ができます。更新の場合の有効期間は原則12か月(3〜48か月)で、切らすと介護サービスが原則いったん全額自己負担になります。更新と区分変更の違い、海外・遠距離の家族が代理でできることまで整理しました。
更新のタイミング
満了日60日前から始まる更新申請
要介護認定には有効期間が定められていて、期限が近づくと市区町村から更新の案内(お知らせ)が郵送されます。更新申請は、現在の有効期間の満了日から数えて60日前から満了日までの間に行うことができます。多くの自治体では、この60日前のタイミングに合わせて更新申請書を本人宛てに送付しており、案内が届いたら早めに動くことが遠回りを避ける近道になります。手続きの窓口となる地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しながら進めるとスムーズです。
更新の審査結果が出るまでには申請からおおむね30日程度かかるとされていますが、自治体の混雑状況によって前後します。案内を受け取ってから動き出すのではなく、案内が届く前後の時期を見越して準備しておくと安心です。
有効期間の長さは申請の種類で変わる
有効期間の長さは、申請の種類によって基準が異なります。新規申請の場合は原則6か月で、心身の状態に応じて3〜12か月の範囲で調整されることがあります。更新申請の場合は原則12か月で、こちらも状態に応じて3〜48か月の範囲で設定されます。2021年(令和3年)4月の制度改正により、直前の要介護度から変化がないと介護認定審査会が判断した場合の有効期間の上限が36か月から48か月に延長されました。つまり、状態が安定している方ほど、更新の手間そのものは少なくなる仕組みになっています。区分の重さと有効期間の関係、要介護度という区分自体の考え方は要介護度の考え方で扱っています。
更新案内が届く時期は自治体によって幅がある
更新のお知らせを送るタイミングや様式は、法令で全国一律に細かく定められているわけではなく、実際の運用は市区町村ごとにやや幅があります。満了日のちょうど60日前に届く自治体もあれば、もう少し早い段階でまとめて案内が発送される自治体もあります。転居して介護保険の担当窓口が変わった直後は、案内の送付先が旧住所のままになっていたり、案内自体が届くタイミングがずれたりすることもあるため、「そろそろ満了日のはずだが案内が来ない」と感じたら、待たずに窓口へ問い合わせるのが安全です。とくに親と離れて暮らす家族の場合、案内のはがきを本人が見落としたまま放置してしまう例も珍しくないため、満了日そのものをカレンダーなどに控えておく方法が有効です。案内の文面には次回申請できる期間の始期・終期が明記されているので、届いたその場で予定表に転記しておくと、あとで見返す手間を省けます。
認定調査と意見書
更新でも省略されない認定調査員の訪問
「一度認定を受けているのだから、更新は書類だけで済むのでは」と思われがちですが、実際には更新申請でも新規申請と同じように、認定調査員が自宅や入院・入所先を訪問して聞き取り調査を行います。調査項目は全国共通の基本調査(74項目)にもとづき、日常生活動作・認知機能・行動面など幅広い項目を確認します。基本調査だけで拾いきれない事情は「特記事項」として追記され、前回の認定時から状態がどう変わったかを伝える大事な材料になります。調査当日は家族が立ち会い、普段の様子や困りごとを具体的に伝えることが、実態に近い認定につながります。
主治医意見書は主治医が変わっていても依頼できる
認定調査と並行して、市区町村が主治医に依頼し、心身の状況についての意見書(主治医意見書)を作成してもらいます。前回と同じ医師にかかっていれば手続きは滞りなく進みますが、転院・転居などで主治医が変わっている場合は、新しい主治医に依頼先を切り替える必要があります。依頼は本人や家族からではなく市区町村から医療機関に対して行われる仕組みなので、更新申請の書類に現在かかりつけの医療機関名を正確に記入しておくことが欠かせません。認定調査の結果と主治医意見書を突き合わせて、介護認定審査会が最終的な要介護度を判定します。
調査当日に家族が立ち会えないときの対応
海外在住や遠距離で暮らしている家族は、認定調査の当日に自宅へ立ち会うことが難しい場合があります。この場合、施設に入所していれば施設の職員が、在宅であればケアマネジャーや訪問介護のスタッフが同席し、普段の様子を伝えてくれることが一般的です。事前に「最近こういう変化があった」「こういう場面で困っている」というメモを、電話やメール、担当者への手紙などの形で伝えておくと、当日その場にいなくても実態に近い調査結果につながりやすくなります。特記事項として記録に残るのは、その場でのやり取りだけでなく、事前に共有した情報も含まれることがあるため、伝え方を工夫する価値があります。
一次判定と二次判定の関係
認定調査の結果はコンピュータによる一次判定にかけられ、そのうえで主治医意見書の内容を踏まえた介護認定審査会の二次判定で正式な要介護度が決まります。一次判定と二次判定で区分が変わることもあるため、「前回と同じ生活状況のはずなのに区分が変わった」という結果になる場合もあります。納得できない結果が出た場合は、不服申立て(審査請求)や、区分変更申請で再度の判定を求める道があります。
手続きの使い分け
状態悪化は更新を待たず区分変更で対応する
更新申請は、あくまで現在の有効期間の満了に合わせて行う手続きです。これに対して、有効期間の途中で急に心身の状態が悪化した場合(骨折や病気の進行、認知症の進行など)は、更新時期を待たずに区分変更申請という別の手続きを使うことができます。区分変更申請は新規申請と同じく原則6か月(3〜12か月の範囲)の有効期間で判定され、現在の要介護度のままではサービス量が足りない状況を早く解消するための仕組みです。逆に、更新時期でもないのに軽い体調変化のたびに区分変更を申請する必要はなく、日々の変化はまずケアマネジャーに相談し、区分変更が必要な段階かどうかを一緒に見極めてもらうのが現実的です。
同時併用できない3つの申請
新規申請・更新申請・区分変更申請は、それぞれ役割が違う手続きですが、同じ時期に重ねて申請することはできません。すでに更新申請の手続き中に状態が悪化した場合は、区分変更申請に切り替える形で対応してもらうことになります。どの手続きに当たるか判断に迷うときは、自己判断で書類を出す前に、担当のケアマネジャーか市区町村の窓口に電話で確認しておくと手戻りを防げます。制度全体の枠組みは日本の介護保険の基本にまとめています。
区分変更を申請すると次の更新時期はどうなるか
区分変更申請が認められると、そこで新しい有効期間がスタートするため、もともと予定していた更新の満了日は前倒しで書き換わります。たとえば更新まであと半年ある時点で区分変更が認められると、次の更新案内が届くタイミングも、その新しい有効期間の満了日に合わせてずれ込みます。区分変更のあとに届く案内の満了日を見落として、以前のカレンダーのまま次の更新時期を覚えていると、実際の満了日とずれてしまうことがあります。区分変更が認められたら、次の満了日を必ず確認し直す習慣をつけておくと安心です。
期限切れのリカバリー
有効期間切れで生じる原則全額自己負担
更新の案内を見落とす、あるいは体調不良などで手続きが後回しになり、有効期間が切れてしまうケースは実際にあります。有効期間が切れた状態で介護サービスを利用し続けると、その間の利用料は原則いったん全額(10割)自己負担になります。あとから改めて認定を受け直すことはできますが、切れていた期間の費用が自動的にさかのぼって保険給付の対象になるとは限らず、自治体の判断や個別の事情によって扱いが変わります。「まだ大丈夫だろう」と先延ばしにせず、案内が届いた時点、あるいは満了日が近いと気づいた時点で早めに市区町村かケアマネジャーへ連絡することが、費用面での不利益を避ける最も確実な方法です。
新規申請と異なる更新申請の効力開始日
新規申請の場合、認定の効力は申請日にさかのぼって発生します。これに対して更新申請の場合は、原則として前回の有効期間の満了日の翌日から新しい認定の効力が始まり、申請日にはさかのぼりません。この違いを知らないまま「申請さえすれば空白期間の費用も後で戻ってくる」と思い込んでいると、実際の請求内容とのずれに直面しやすくなります。不安なときは、申請前に窓口で効力の開始日を確認しておくと安心です。
入院・入所中に有効期間が切れかけている場合
親が病院に入院していたり、施設に入所していたりする間も、要介護認定の有効期間は動き続けます。「入院中は介護サービスを使っていないから更新しなくても大丈夫」と考えて手続きを後回しにしてしまうと、退院・退所後にあらためて在宅サービスや施設サービスを使おうとした時点で有効期間がすでに切れている、という事態になりかねません。入院・入所中であっても更新申請自体は行うことができるため、退院・退所の見込み時期にかかわらず、満了日が近づいたら通常どおり手続きを進めておくのが安全です。病院や施設のソーシャルワーカーが更新手続きの相談に乗ってくれることも多いので、担当者に一声かけておくとよいでしょう。とくに長期入院や施設への長期入所が見込まれる場合は、退院・退所後の生活を家族だけで見通そうとせず、早い段階からソーシャルワーカーやケアマネジャーと更新のスケジュールを共有しておくことが、あとになって慌てないための備えになります。
海外・遠距離からの関わり方
代理申請・郵送・電子申請という選択肢
要介護認定の更新申請は、本人が窓口に出向かなくても、家族による代理申請や、郵送による申請が可能です。自治体によってはマイナンバーカードを使った電子申請にも対応しています。海外に住んでいて日本に一時帰国できない期間があっても、国内に住む家族やケアマネジャーが窓口とやり取りしながら手続きを進められる場合が多く、更新のたびに必ず現地へ帰国する必要があるとは限りません。ただし申請書への記名・押印や必要書類の準備は自治体ごとにルールが異なるため、事前に窓口へ電話やメールで確認しておくと二度手間を避けられます。海外からの関わり方の基本は遠距離介護の進め方でも扱っています。
ケアマネジャーに更新時期の管理を任せられる
すでにケアプランを組んでいる場合、担当のケアマネジャーが有効期間の満了時期を把握していて、更新申請のタイミングで声をかけてくれることが多くあります。海外在住や遠距離で日々の様子を直接確認しづらい家族にとって、ケアマネジャーが「そろそろ更新の時期です」と教えてくれる関係を築いておくことは、うっかり有効期間を切らしてしまうリスクを大きく下げます。ケアマネジャーの役割や選び方についての詳細は、別ページで扱う予定です。まずは地域包括支援センターに相談し、担当のケアマネジャーとの連携体制を確認しておくとよいでしょう。
更新のたびに費用の見直しも一緒に確認する
要介護度が変わると、利用できるサービスの支給限度額や、月々の自己負担の目安も変わります。海外にいる家族が費用面の全体像を把握しておきたい場合は、更新のタイミングを、費用の見直しをあわせて確認する機会にするとよいでしょう。日本の高齢者介護にかかる費用の目安は介護費用のガイドにまとめています。更新の通知が来るたびに「区分は変わったか」「費用の見込みはどう変わるか」をセットで確認する習慣をつけておくと、海外からでも状況を見失いにくくなります。
自治体窓口とのやり取りを記録に残しておく
海外にいると、更新申請でいつ誰に何を伝えたか、電話で何を確認したかが記憶だけに頼りがちになり、後から振り返りにくくなります。窓口に電話をかけた日付・担当者名・確認した内容を簡単なメモやメッセージアプリの記録として残しておくと、次回の更新時や、きょうだい間で状況を共有するときに役立ちます。とくに更新のたびに担当窓口の職員が変わることもあるため、「前回はこう説明された」という記録があると、同じ説明を一からやり直す手間を減らせます。国内にいる家族と海外にいる家族がこうした記録を共有しておくことは、認定手続きに限らず、日々の介護全体の負担を分け合ううえでも役立ちます。
比較表
違いが出やすいところを、表の形でまとめます。
| 項目 | 新規申請 | 更新申請 | 区分変更申請 |
|---|---|---|---|
| 申請できる時期 | 要介護状態になったとき随時 | 有効期間満了日の60日前〜満了日 | 有効期間中、状態が悪化したときいつでも |
| 認定調査 | あり | あり(もう一度実施) | あり |
| 主治医意見書 | あり | あり(もう一度依頼) | あり |
| 有効期間の原則 | 原則6か月(3〜12か月の範囲) | 原則12か月(3〜48か月の範囲) | 原則6か月(3〜12か月の範囲) |
| 効力の開始日 | 原則、申請日にさかのぼる | 原則、前回の満了日の翌日から | 原則、申請日にさかのぼる |
よくある質問
更新の案内が届いていないのに、有効期間の満了日が近いことに気づいたらどうすればいいですか
案内の到着を待たずに、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口か、担当のケアマネジャーに直接連絡して状況を確認してください。更新申請は満了日の60日前から可能なので、案内が来る前に自分から動いても問題ありません。
海外に住んでいて更新のたびに一時帰国するのは難しいのですが、代理でお願いできますか
多くの自治体で家族による代理申請や郵送申請、電子申請に対応しています。国内にいる家族やケアマネジャーに窓口とのやり取りを任せられる場合が多いため、事前に自治体へ必要書類と手続き方法を確認しておくとよいでしょう。
親が骨折で急に動けなくなったのですが、更新の時期まで待たないといけませんか
待つ必要はありません。有効期間の途中でも心身の状態が明らかに悪化した場合は、区分変更申請という別の手続きを使えます。まずはケアマネジャーに相談し、区分変更が適切かどうかを確認してください。
更新の手続きをうっかり忘れて有効期間が切れてしまいました その間のサービス費用はどうなりますか
有効期間が切れている間に利用した介護サービスの費用は、原則いったん全額自己負担になります。改めて認定を受け直すことはできますが、切れていた期間の費用が自動的にさかのぼって保険給付の対象になるとは限らず、扱いは自治体や個別の事情によって変わります。気づいた時点ですぐに窓口へ相談してください。
更新の結果、前回より軽い区分になってしまいました 納得できない場合はどうすればいいですか
認定結果に納得できない場合は、都道府県の介護保険審査会への不服申立て(審査請求)という方法と、区分変更申請であらためて判定を求める方法があります。まずはケアマネジャーや窓口に相談し、状況に合った対応を確認するとよいでしょう。
更新のたびに主治医意見書を依頼し直す必要がありますか 転院していたら誰に頼めばいいですか
更新申請でも主治医意見書はもう一度作成されます。転院や転居で主治医が変わっている場合は、申請書に現在の主治医の情報を正しく記入すれば、市区町村から新しい主治医へ依頼が行われます。
新規申請と更新申請で、効力が始まる日はどう違いますか
新規申請は原則として申請日にさかのぼって効力が始まります。一方、更新申請は原則として前回の有効期間の満了日の翌日から新しい認定の効力が始まり、申請日にはさかのぼりません。
一次情報・公的情報
本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-05.
この記事について
この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。
