制度ガイド

マイナンバーカードの手続きを海外在住家族が代理でするには

海外在住の子は住民票がなくマイナンバーカードを持てませんが、親名義のカードの更新・暗証番号の再設定・交付時の代理受取は、委任状と一定の書類があれば代理人として対応できます。できることとできないことの境界を整理しました。

公開日
2026-07-11
最終更新日
2026-07-11
情報確認日
2026-07-11
出典
8件の一次情報・公的情報

海外在住の子は住民票がなくマイナンバーカードを持てませんが、親名義のカードの更新・暗証番号の再設定・交付時の代理受取は、委任状と一定の書類があれば代理人として対応できます。できることとできないことの境界を整理しました。

前提の整理

住民票がない子は交付対象外

マイナンバーカードは、日本国内に住民票がある人を対象に交付される制度です。海外に生活の拠点を移し、日本国内の住民票を抜いて出国した人は、原則としてマイナンバーカード自体を新規に持つことができません。「海外在住の自分が親のカードとは別に、自分用のカードを作って手続きを代行する」という発想は、この前提の時点で成り立たないことを最初に押さえておく必要があります。

行政のオンライン化が進むにつれて、要介護認定の申請や各種給付金の手続きにマイナンバーカードの利用が広がっていますが、これは「本人がカードを使って本人の手続きをする」ことを前提にした設計です。海外にいる子が親の代わりにログインして申請を進める、という使い方は制度上想定されていません。この違いを理解しておかないと、海外からできることの見積もりを最初から誤ってしまいます。

国外転出者向け制度は本人のためのもの

2024年5月27日から、日本国籍の人は国外転出後もマイナンバーカードを継続して利用できる制度が始まりました。これは「日本を出国する本人」が、出国前日までに市区町村へ継続利用の届出をしておくことで、海外に住んだままカードの電子証明書などを使い続けられる制度です。あくまで転出する本人自身のためのしくみであり、すでに海外に住んでいる子が、日本に残る親のカードを自分名義のカードのように扱えるようになる制度ではありません。この違いを混同すると、手続きの入り口を間違えます。

なお、2015年10月5日以降に国外転出をしていて、まだマイナンバーカードを持っていない日本国籍の人は、海外からの新規申請も可能とされています。これは将来日本へ帰国する予定がある海外在住の子自身の話であり、いま日本にいる親のカード手続きを海外から進められるという意味ではない点は、改めて分けて考えておく必要があります。

マイナポータルの代理人設定でできる範囲の限界

マイナポータルには、本人が代理人を登録しておくことで、代理人が本人に代わって一部のサービスを閲覧・利用できる「代理人設定」の機能があります。ただし、代理人が扱えるのは行政機関どうしの情報提供履歴の確認・お知らせの閲覧・医療費通知情報の確認などが中心で、要介護認定の新規申請や住所変更のような手続きそのものの代理提出までは対応していません。海外からオンラインで完結できると期待しすぎず、「見られること」と「手続きできること」を分けて考える必要があります。要介護認定そのものの流れは介護保険の基本ガイドで扱っています。

代理人の設定自体も、委任者本人がマイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインし、代理人の氏名や権限の範囲、有効期間を設定する作業が必要です。認知機能が落ちてきた親がこの初期設定を自力で行うのは負担が大きく、海外から様子を見ているだけでは設定が進まないまま時間が過ぎてしまう例も少なくありません。代理権限の有効期間は設定した日から最長36か月、または電子証明書の有効期限のいずれか短いほうまでとされており、期限が来れば親本人が再びログインして更新する必要がある点も見落としやすい実務です。

代理の実務

暗証番号を忘れたときの代理再設定

親がマイナンバーカードの暗証番号を忘れた、または一定回数間違えてロックされた場合、市区町村の窓口で代理人が再設定の手続きを行える仕組みがあります。実務上は、代理人がまず窓口で申し出て、その後「照会書兼委任状」が本人の自宅宛てに郵送され、本人がそこに暗証番号や署名を記入し、代理人がそれを持って窓口に戻るという2段階の流れになることが多いです。海外にいる子がこの往復をそのまま担うのは難しいため、実際には国内に住む親自身か、国内にいるきょうだい・親族が窓口対応を担い、海外の子は事前の連絡調整や必要書類の準備を手伝う形が現実的です。委任状の様式や必要書類は自治体により異なるため、事前に親の住民票がある市区町村の窓口へ確認しておくと手戻りが減ります。

この2段階の流れは郵送を挟むため、窓口での申出から実際の再設定完了まで数週間単位の時間がかかることも珍しくありません。急な入院や施設入所で「今すぐマイナ保険証を使いたいのに暗証番号がわからない」という場面に直面してから動き出すと間に合わないことがあるため、暗証番号を忘れている・忘れそうだと分かった時点で早めに国内の家族に相談するよう促しておくことが、海外にいる子にできる予防的な関わり方になります。

電子証明書の更新と代理人の対応範囲

マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書には有効期限があり、発行日から5回目の誕生日までとされています。この更新も、申請者本人が有効期限通知書に同封された「照会書兼回答書」に暗証番号などを記入して封をし、代理人に渡すことで、代理人が市区町村窓口で更新手続きを行えます。マイナ保険証として医療機関を受診している親にとって、電子証明書が切れると保険証利用に支障が出るため、有効期限が近づいたら早めに国内側の家族と共有しておくことが実務上のポイントです。

更新手続きは有効期限満了日の3か月前から始められるため、通知が届いた段階ですぐに窓口へ持ち込めば、期限切れの空白期間を作らずに済みます。反対に、照会書兼回答書に記入した暗証番号に誤りがあると、その場で更新が完了せず再度の手続きが必要になるため、本人が記入する際は事前に暗証番号を落ち着いて確認できる状況を作っておくことも、地味ながら効果のある備えです。

病気・施設入所時の代理受取

マイナンバーカードそのものの新規交付や更新カードの受け取りは、原則として申請者本人が窓口に来る必要があります。ただし、病気や身体の障がいで来庁が難しい人、長期入院中の人、施設に入所している人については、代理人が受け取れる特例があります。この場合、本人の顔写真付きの身分証明書が用意できないことが多いため、病院や施設に「個人番号カード顔写真証明書」を発行してもらい、これを本人確認書類の代わりに使う運用が各自治体で用意されています。施設に入所した親の手続きをまとめて進めたい場合は、親のお金と権限の整理ガイドにある任意代理・法定代理の考え方とあわせて確認しておくと、窓口でどちらの立場で動くべきかが分かりやすくなります。

代理受取の際は、申請者本人と代理人の両方について、本人確認書類が合計2点以上必要になり、そのうち少なくとも1点は顔写真付きのものが求められるのが一般的です。施設発行の顔写真証明書はこの顔写真付き書類の代わりとして扱われますが、施設側の証明の記載事項や押印の要否は自治体ごとに細かな違いがあるため、入所先の施設に「マイナンバーカードの代理受取に対応した証明書の発行実績があるか」を先に確認しておくと当日の手戻りを防げます。

委任状に書くべき具体的な内容

窓口に持参する委任状は、様式が自治体ごとに異なるため、事前にダウンロードするか窓口で受け取るのが基本です。海外から関わる場合に特に確認しておきたいのは、委任状に「誰が」「何の手続きを」「いつまでの期間」代理するのかを具体的に書く必要がある点です。委任状や代理人による銀行手続き全般の考え方は海外在住家族の委任状ガイドにまとめているので、マイナンバーカードの窓口手続きとあわせて読むと、必要書類の重複や漏れを防ぎやすくなります。

海外にいる子自身が委任状の作成に関わる場合、署名を日本国内の様式どおりに整える必要が出てくることがあります。印鑑登録や実印での証明ができない海外在住者は、在外公館で発行してもらえる証明書で代用する方法が案内されていることが多いため、マイナンバーカード以外の相続・不動産関連の委任状で同様の壁に当たったことがある家庭は、その経験をそのまま応用できる場面もあります。

マイナ保険証の実務

新規の健康保険証発行の終了

2024年12月2日から、従来の健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」の利用が基本の仕組みに切り替わりました。従来の保険証は記載された有効期限まで、または経過措置として最長2025年12月1日まで使える扱いでしたが、厚生労働省はその後も窓口の混乱を避けるため、期限切れの保険証を持参した場合に2026年7月31日まで受診に使える特例を認めています。親がマイナ保険証への切り替えを済ませているか、まだ従来の保険証のままかは、海外にいる子が把握しておきたい基本情報です。

制度の切り替えは段階的に進められており、対象者によって経過措置の期日が異なります。例えば後期高齢者医療制度に加入する75歳以上の親については、資格確認書が2026年7月末までの暫定措置として交付されており、8月以降の扱いは各広域連合の案内によります。年齢や加入している保険制度によって扱いが変わるため、「うちの親はいつまで今の保険証が使えるのか」は、思い込みで判断せず、加入している市区町村の国民健康保険窓口や後期高齢者医療広域連合に個別に確認するのが確実です。

資格確認書という選択肢

マイナンバーカードを持っていない、マイナ保険証の利用登録をしていない、または登録を解除した人には、申請なしで「資格確認書」が交付され、従来の保険証と同じように医療機関を受診できます。電子証明書の有効期限が切れている人にも資格確認書が届く扱いになっているため、施設入所中でカードの更新手続きが後回しになっている親がいる場合、資格確認書の有無を確認しておくと、いざ通院・入院となったときに慌てずに済みます。資格確認書の有効期限は保険者が5年以内で設定する仕組みで、自治体・加入する保険の種類により運用が異なります。

資格確認書は申請しなくても対象者に自動的に送られてくる建て付けのため、海外にいる子が「マイナ保険証への切り替えを手伝えていないから親は病院に行けないのでは」と心配しすぎる必要はありません。ただし、資格確認書は実家の郵便物として届くため、施設入所や入院で自宅を長期間空けている場合は郵便物の受け取り・転送の仕組みを整えておかないと、届いたこと自体に気づけないまま有効期限を迎えるおそれがあります。郵便物の管理は、実家を長期間空ける場合の家事全般の整理とあわせて考えておくとよい論点です。

海外からのマイナ保険証利用登録の限界

マイナ保険証の利用登録自体は、本人がマイナンバーカードを使って医療機関の窓口やマイナポータルで行う手続きで、海外にいる子が代わりにオンラインで登録することはできません。親がすでに認知症などでこの手続きを自分で行うのが難しい場合は、国内にいる家族が付き添って手続きするか、資格確認書のままで受診を続ける選択肢を残しておくのが現実的です。通院時の付き添いを国内で頼める窓口の探し方は病院・通院の付き添い代行でも扱っています。

無理にマイナ保険証への切り替えを急がせる必要はなく、資格確認書のままでも医療機関の受診自体に支障はありません。海外にいる子としては「切り替えるかどうか」より「今どちらの状態にあるかを把握しておく」ことを優先したほうが、限られた一時帰国の時間や連絡の機会を有効に使えます。

海外家族の備え

電子証明書の有効期限の確認

海外にいる子がまずできることは、親のマイナンバーカードに搭載された電子証明書の有効期限を確認しておくことです。有効期限の3か月前から更新手続きができるため、期限が近いことが分かれば、国内の親やきょうだいに早めに動いてもらうよう声をかけられます。マイナ保険証として日常的に使っている親であれば、期限切れは通院に直結する問題になるため、優先度の高い確認事項です。

有効期限はカード自体の券面にも記載されていますが、電子証明書の有効期限はカードの有効期限と別に管理されており、券面だけを見ても分からないことがあります。一時帰国した際にカードを実際に確認する、または国内の家族に電話で券面の記載を読み上げてもらうといった一手間をかけておくと、思わぬ期限切れを未然に防げます。

施設入所決定時の代理受取準備

親の施設入所が決まったタイミングで、マイナンバーカードの更新時期が重なる場合は、施設に「個人番号カード顔写真証明書」を発行してもらえるか、早めに相談しておくとスムーズです。施設によって対応の慣れが異なるため、入所前の説明の場でケアマネジャーや施設の相談員に確認しておくと、後になって書類が足りず出直しになる事態を避けられます。施設選びの段階での費用や制度の全体像は老人ホームの種類と費用も参考にしてください。

入所前の面談では、居住費や食費、看取りの方針といった話題が優先されがちで、マイナンバーカードの事務手続きは後回しにされやすい項目です。海外にいる子が事前にチェックリストとして「電子証明書の有効期限」「顔写真証明書の発行可否」「資格確認書の届く住所」の3点を用意し、国内の家族に確認を依頼しておくと、施設側とのやり取りに漏れが出にくくなります。

国内側の家族との役割分担

マイナンバーカードの窓口手続きは、代理人であっても本人の暗証番号記入や委任状への署名など、本人にしかできない部分が必ず残ります。海外にいる子は「窓口に行く担当」にはなれないことが多いため、国内にいる親やきょうだいに窓口対応を任せ、海外側は必要書類のリストアップ、自治体窓口への電話確認、費用の立て替えといった役回りを担う形に早めに整理しておくと、いざというときに動きが速くなります。きょうだいでの役割分担の決め方はきょうだいの介護分担の決め方でも整理しています。

国内にきょうだいがいない、または一人っ子で頼れる親族が近くにいない場合は、行政書士や地域包括支援センターに窓口同行の相談ができないか確認するのも一つの方法です。マイナンバーカードそのものの代理申請までは対応できなくても、必要書類の整理や自治体窓口との事前調整であれば相談に乗ってもらえることがあります。地域包括支援センターの役割は地域包括支援センターとはにまとめています。

比較表

表で並べると、違いは次のようになります。

手続き種別海外在住者本人の場合親名義を子が代理する場合
新規交付住民票がなければ原則不可(国外転出者向け制度は転出前の届出が前提)本人来庁が原則。病気・施設入所等は顔写真証明書で代理受取可
電子証明書の更新国外転出者向け制度の届出済みなら継続利用可照会書兼回答書に本人が記入し代理人が窓口へ持参すれば可
暗証番号の再設定該当なし(カードを持てないため)窓口申出後に郵送される照会書兼委任状で代理設定可
マイナ保険証の利用登録本人がマイナンバーカードで手続き海外から代行不可。国内家族の付き添いか資格確認書で対応

よくある質問

海外に住んでいる自分がマイナンバーカードを新しく作ることはできますか?

日本国内に住民票があることが交付の前提のため、住民票を抜いて海外に出た人は原則として新規に持てません。すでにカードを持っていた人が出国前に国外転出者向けの届出をしていれば、海外でも継続して利用できます。

親が施設に入所していて窓口に行けない場合、マイナンバーカードは誰が受け取れますか?

病気・身体の障がい・長期入院・施設入所などで本人が来庁できない場合は、代理人が受け取れる特例があります。本人の顔写真付き身分証明書がない場合は、施設に発行してもらう「個人番号カード顔写真証明書」を本人確認書類として使えます。

親が暗証番号を忘れてしまったとき、海外にいる自分が代わりに手続きできますか?

手続き自体は国内の窓口で完結する必要があり、代理人が窓口へ出向く必要があります。窓口での申出後、本人宛てに「照会書兼委任状」が郵送され、本人が記入したものを代理人が持参する流れになるため、海外にいる子は事前の書類準備や連絡調整を担う形が現実的です。

マイナポータルで代理人登録をすれば、海外から親の行政手続きを申請できますか?

代理人設定でできるのは、情報提供履歴の確認やお知らせの閲覧など一部のサービスに限られます。要介護認定の申請のような手続きそのものの代理提出は対象外のことが多く、海外からの完結は期待しすぎないほうがよいです。

従来の健康保険証が使えなくなったら、マイナンバーカードを持っていない親はどうなりますか?

マイナンバーカードを持っていない人や利用登録をしていない人には、申請なしで「資格確認書」が交付され、従来の保険証と同じように受診できます。有効期限は保険者が設定するため、手元の資格確認書の期限を確認しておくと安心です。

電子証明書の更新は、海外にいる自分が窓口に行かなくてもできますか?

更新手続き自体は国内の市区町村窓口で行う必要があります。本人が有効期限通知書内の書類に記入して封をし、代理人がそれを持って窓口へ行く方法で代理更新ができるため、国内にいる家族に窓口対応を頼むことになります。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-11.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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