制度ガイド

入院中の介護保険サービス|続くもの・止まるもの

入院すると原則、訪問介護やデイサービスなど在宅の介護保険サービスは止まり医療保険に切り替わります。福祉用具レンタルは自費で継続可能、特養入所者は月6日を目安に外泊時費用でベッドを確保できます。

公開日
2026-07-11
最終更新日
2026-07-11
情報確認日
2026-07-11
出典
6件の一次情報・公的情報

入院すると原則、訪問介護やデイサービスなど在宅の介護保険サービスは止まり医療保険に切り替わります。福祉用具レンタルは自費で継続可能、特養入所者は月6日を目安に外泊時費用でベッドを確保できます。

制度の原則

入院で介護保険サービスが止まる理由

入院中に訪問介護・通所介護(デイサービス)・訪問リハビリなど、それまで使っていた在宅の介護保険サービスが急に使えなくなり、戸惑う家族は少なくありません。これは制度上の位置づけによるもので、事業所側の都合によるものではありません。介護保険の給付調整の原則(介護保険法第20条)では、要介護認定を受けている人が医療保険と介護保険の両方で対応できるサービスを利用する場合、介護保険が優先されます。ただし入院中は、病院という医療保険の枠組みの中で治療とケアが完結するため、そもそも訪問介護や通所介護のような「居宅サービス」自体が成立しません。結果として、入院した日から在宅の介護保険サービスは一時停止し、入院医療の範囲でケアが行われる形になります。

要介護認定を受けているかどうかにかかわらず、入院中は医療保険が中心になる点は共通です。訪問リハビリや通所リハビリ(デイケア)も同様に、入院中は介護保険の対象外になり、リハビリは入院先の病院内で医療保険の枠組みで行われます。要介護認定の申請中・区分変更検討中の家族は、要介護認定の区分の意味を確認しつつ、入院という状況下では認定区分そのものよりも、退院後にどのサービスを再開するかの見通しを立てておくことが実務上は重要になります。

家族の間で誤解が起きやすいのは、「介護保険に入っているのに、入院中は何のサービスも受けられないのか」という点です。実際には、入院中のケアは医療保険側で病院のスタッフが担うため、給付が消えるわけではなく、担当する保険の窓口が切り替わっているにすぎません。この整理を理解しておくと、入院連絡を受けた家族が「介護保険料を払っているのに損をした」と感じずに済み、退院後の再開に気持ちを向けやすくなります。

なお、住宅改修費の支給や福祉用具の購入(入浴・排泄関連用具)のように、レンタルとは別枠で都度給付される介護保険サービスは、入院中に申請すること自体は妨げられません。退院後の生活環境を整える目的で、入院中に見積もりを取り、退院に合わせて工事や購入の手配を進める家族も少なくありません。

給付調整の例外になる場面

原則として介護保険サービスは入院中に使えませんが、いくつかの例外があります。代表的なのが「一時的な外泊」の間の訪問看護です。退院に向けて自宅での生活を試す目的などで、主治医が一時的な外泊を認め、訪問看護指示書を交付した場合には、外泊中に1回(厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合は2回まで)、医療保険の訪問看護基本療養費として訪問看護を利用できます。一方で、外泊中に訪問介護(ホームヘルパー)などの介護保険サービスを使うことは原則としてできません。医療系の訪問看護は例外的に動く場面があるが、介護系のサービスは基本的に止まったままという非対称性を覚えておくと、家族の判断がぶれにくくなります。

施設入所者のベッド確保と外泊時費用

特別養護老人ホームなどの施設に入所している親が入院した場合、家族がまず心配するのは「入院している間に部屋を空けられてしまうのではないか」という点です。実務上は、入院や居宅への外泊で施設に戻らない日について、施設が「外泊時費用」という枠組みで一定額(施設種別により1日あたり数百単位程度、1か月に6日を限度とする運用が一般的)を算定し、居室を確保しておくことができます。外泊初日と最終日は算定対象に含まれないなど細かい取り扱いがあるため、正確な日数の数え方や自己負担額は施設ごとの契約書と請求内容で確認するのが確実です。入院が長引く見込みが立った時点で、退所・再入所の扱いに切り替わるかどうかも施設の運用によって差があるため、早めに施設の相談窓口に確認しておくと安心です。

似たケースとして、ショートステイ(短期入所)を利用している最中に体調を崩して入院になることもあります。この場合も考え方は同じで、短期入所の利用日数のカウントは入院した日で止まり、退院後に改めて空きを確認して利用を再開する形になります。短期入所は連続利用日数に上限があるため、入院で中断した日数をどう扱うかは事業所ごとの運用差があるため、事業所に個別に確認しておくのが確実です。

ケアマネジャーの役割

訪問介護・デイサービスの一時停止と再開手配

在宅で複数のサービスを組み合わせて使っていた親が入院すると、ケアマネジャーはまず各事業所へ入院の連絡を入れ、ケアプラン上のサービスを一時停止する手続きを進めます。ここで家族が意識しておきたいのは、停止は一時的な「休止」であり、契約そのものの「解約」ではないという点です。多くの事業所は入院期間中の契約自体を維持したまま、退院の見込みが立った段階で再開の調整に入ります。家族から入院の一報を受けたケアマネジャーが早期に動けるよう、入院先の病院名・病棟・主治医の連絡先を早めに共有しておくと、退院時のサービス再開がスムーズになります。

福祉用具レンタルの継続か返却かの判断

特殊寝台や車椅子などの福祉用具貸与は、入院中は「在宅生活に供していない」とみなされ、介護保険からの給付対象外になります。ここで家族が選べる道は主に2つです。1つは入院中いったん返却し、退院時にあらためて手配する方法。もう1つは、退院後すぐに同じ環境で生活を再開できるよう、入院中もレンタル料を全額自己負担で払い続けて借りたままにしておく方法です。後者は費用がかかりますが、退院日にベッドが無い状態を避けられる利点があります。どちらを選ぶかは入院期間の見込みと費用負担のバランスで決まるため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に、想定される入院日数を伝えたうえで相談するのが実務的です。判断に迷う場合は、いったん様子を見て、入院が長引きそうだと分かった時点で返却に切り替えるという段階的な選び方もできます。

入院が数日程度で終わる見込みなら返却の手間を省いて借りたままにする家庭が多く、逆に手術後のリハビリを含めて数週間以上になりそうな場合は、いったん返却して退院前にあらためて手配し直す家庭もあります。どちらが正解というものではなく、家の中で家具の置き場所を空けておけるか、費用をどこまで許容できるかという家庭の事情で判断が分かれる点です。

退院前カンファレンスへの参加と再開準備

入院が長期化しそうな場合や、退院後の生活状況が入院前と大きく変わりそうな場合、病院側が主催する退院前カンファレンス(本人・家族・病棟看護師・医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャーが集まる場)が開かれることがあります。ここでケアマネジャーは、入院前のケアプランをそのまま再開してよいか、状態の変化に応じてサービスの内容や回数を見直す必要があるかを検討します。退院までに要介護認定の区分変更や更新の手続きが間に合わない可能性がある場合は、退院までに介護保険の申請が間に合わないときの対応で暫定的な進め方を確認しておくと、退院日の空白を避けやすくなります。

病院・MSWの役割

医療ソーシャルワーカーへの相談タイミング

入院直後から退院後の生活調整までを橋渡しする役割を担うのが、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)です。入院して数日以内に、病棟の看護師やMSWから「退院後の生活について相談したいことはあるか」と声がかかることも多く、この段階で在宅サービスの利用状況・ケアマネジャーの連絡先・施設入所の有無を伝えておくと、その後の連携が早まります。MSWとケアマネジャーは役割が異なり、MSWは主に病院内の退院支援・地域の医療機関や施設との調整を担い、ケアマネジャーは在宅の介護保険サービス全体の調整を担います。両者の役割分担や初回相談で伝えるべき内容は医療ソーシャルワーカーへの相談方法で詳しく扱っています。

入院した病院にケアマネジャーの連絡先が伝わっていないと、退院支援の準備が病院側だけで進み、在宅側の事情(誰が同居しているか、日中の見守りが可能かなど)が反映されないまま退院日が決まってしまうことがあります。家族が最初にすべきことは、入院時の受付や病棟看護師に「担当のケアマネジャーがいる」と伝え、MSWにつないでもらうよう依頼することです。この一言があるかどうかで、その後の連携の速さが変わります。

認定調査を病院で受ける場合

要介護認定の申請自体は入院中でも行うことができ、市区町村の認定調査員が病院を訪問して調査を実施する運用が一般的です。ただし、入院直後の急性期や、日によって状態が大きく変動する時期に調査を受けると、実際の生活能力より重く、あるいは軽く判定される恐れがあるため、多くの現場では状態がある程度落ち着いてからの申請が勧められています。入院中に調査を受ける場合は、家族が事前に本人の普段の様子(自宅でできていたこと・できていなかったこと)をメモにまとめ、調査員またはMSW経由で病棟看護師に渡しておくと、入院中の一時的な状態だけで判定されるリスクを減らせます。

外泊時に使える訪問看護という例外

Part 1で触れたとおり、退院前の一時的な外泊中は、主治医が交付する訪問看護指示書に基づき、医療保険の訪問看護を利用できる場合があります。これは在宅での生活が実際にどの程度可能かを、退院前に試しておく目的で使われる仕組みです。利用を希望する場合は、退院支援を担当するMSWまたは病棟看護師に、外泊の予定と併せて早めに相談しておくと調整がスムーズです。訪問介護など介護保険のサービスは外泊中も原則利用できないため、外泊時の身の回りの世話は家族が担うか、保険外の付き添いサービスで補う必要がある点も押さえておきたいところです。

一時的な外泊は、本人にとっても家族にとっても「本当に自宅で過ごせるか」を確認できる貴重な機会になります。外泊中に食事・入浴・トイレのどこでつまずいたかを家族がメモしておき、退院前カンファレンスでケアマネジャーやMSWに共有すると、退院後のケアプランをより実態に合わせて組み立てやすくなります。

海外・遠距離から

入院連絡を受けてからの初動

海外に住んでいて親の入院を電話で知らされた場合、まず確認しておきたいのは、入院先の病院名・病棟・主治医とMSWの連絡先、そして現在利用している介護保険サービスの担当ケアマネジャーの連絡先です。この3つの連絡先を最初に押さえておけば、日本国内にいる兄弟姉妹や親族、あるいは遠距離介護のガイドで扱っている専門サービスに、その後の窓口を委ねやすくなります。緊急で一時帰国するかどうかの判断についても、まずは病状の見通しをMSWや主治医から聞いたうえで検討するのが実務的です。命に関わる急変ではなく、入院はしたものの状態が安定している場合は、無理に即日の帰国を決めず、電話やビデオ通話でまず状況を把握してから、必要な滞在期間を見積もって渡航の準備をする方が結果的に落ち着いて動けることが多いです。

遠隔でできる手続きと確認事項

現地に駆けつけられない期間でも、電話やオンライン面談で対応できることは複数あります。ケアマネジャーやMSWとの定期的な電話連絡、福祉用具のレンタルを継続するか返却するかの判断への同意、退院前カンファレンスへの電話・ビデオ通話での同席などです。地域包括支援センターは要介護認定や地域の相談窓口の入り口になるため、担当ケアマネジャーが決まっていない場合や、退院後の在宅体制をゼロから組み直す必要がある場合は、まずここに連絡すると次に動くべき窓口を案内してもらえます。

退院日に向けた準備の分担

退院日が近づいたら、海外側の家族は「何を確認すればよいか」を一覧にしておくと安心です。具体的には、福祉用具が退院日までに再設置されているか、訪問介護やデイサービスの再開日が決まっているか、退院直後の数日を自宅で過ごせない場合にショートステイの一時的な受け入れを挟む必要があるか、の3点です。国内にいる家族と役割を分け、海外側は費用の送金や書類の確認、国内側は退院当日の付き添いや事業所とのやり取りを担う、という分担にしておくと、退院前後の混乱を減らせます。

役割分担を口約束だけで終わらせず、簡単なメモやメッセージのやり取りとして残しておくと、後になって「言った・言わない」の行き違いを防げます。特に費用面の分担は、介護保険外の自費レンタル費用や差額ベッド代など想定外の出費が発生しやすい場面でもあるため、誰がどこまで負担するかを早い段階ですり合わせておくと、退院後の在宅生活の立ち上げがスムーズになります。

比較表

違いを一目で見比べられるよう、表にしています。

状況入院で止まるもの続くもの・例外家族がすべきこと
在宅サービス利用中訪問介護・デイサービス・訪問リハビリ(介護保険分)外泊時の訪問看護(医療保険、主治医の指示書があれば)ケアマネジャーへの入院連絡・退院見込みの共有
福祉用具レンタル中介護保険での貸与算定(在宅生活とみなされないため)自費レンタルとして継続は可能継続か返却かを入院期間の見込みで判断
施設入所中通常の介護サービス費(入院日数分)外泊時費用の算定で居室を一定期間確保(月6日目安)施設の相談窓口に確保できる期間・費用を確認

よくある質問

訪問介護を毎週使っていた親が突然入院しました ヘルパーの契約はどうなりますか?

契約が即座に解約されるわけではありません。多くの場合は一時停止という扱いになります。ケアマネジャーが事業所へ入院を連絡し、退院の見込みが立った段階で再開の調整に入ります。入院先の情報を早めにケアマネジャーへ伝えることが再開をスムーズにします。

デイサービスの利用日に入院が決まった場合、その日の分は請求されますか?

利用予定日より前に入院した場合、その日の分のデイサービス費用は発生しないのが通常です。ただし事業所によりキャンセル規定が異なる場合があるため、契約書やケアマネジャー経由での確認が確実です。

特養に入所中の親が骨折で入院しました 部屋はそのまま確保できますか?

外泊時費用という枠組みで、1か月に数日程度を目安に居室を確保できる運用が一般的です。ただし単価や上限日数、入院が長引いた場合の退所扱いへの切り替え基準は施設ごとに異なるため、施設の相談窓口に早めに確認しておくと安心です。

入院中にレンタルしていた電動ベッドは返却しないといけませんか?

介護保険からの給付は入院中対象外になりますが、返却は必須ではありません。退院後すぐに使えるよう、自費で借り続けることも選べます。入院期間の見込みと費用負担を踏まえ、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談して決めるとよいでしょう。

入院した病院で認定調査を受けることはできますか?

可能です。市区町村の認定調査員が病院を訪問して調査を行う運用が一般的です。ただし急性期など状態が変動しやすい時期は避け、状態がある程度落ち着いてからの申請が勧められています。

一時外泊の間だけ訪問看護を頼むことはできますか?

主治医が退院前の一時的な外泊を認め、訪問看護指示書を交付した場合は、外泊中に医療保険の訪問看護を利用できることがあります。一方で訪問介護など介護保険のサービスは外泊中も原則利用できません。

海外に住んでいて、親の入院を電話で知らされました まず誰に連絡すればよいですか?

入院先の病院・主治医・医療ソーシャルワーカーの連絡先と、現在の担当ケアマネジャーの連絡先を最初に確認しておくと、その後の対応を国内の親族や専門サービスに委ねやすくなります。

退院日にケアマネジャーへ何を確認しておくべきですか?

福祉用具が退院日までに再設置されているか、訪問介護やデイサービスの再開日が決まっているかを確認しておくとよいでしょう。自宅での生活再開が難しい場合は、退院直後だけショートステイを挟めるかも合わせて相談しておくと安心です。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-11.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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