デイサービス(通所介護)は医師の配置義務がなく生活支援が中心、デイケア(通所リハビリ)は医師の指示のもとリハビリ専門職が関わり、2024年度の基本報酬は要介護1で通所リハビリの方がおよそ100単位高い水準です。両者の違いと選び方を整理しました。
制度の基本
通所介護と通所リハビリは運営主体が違う
「デイサービス」と「デイケア」は日常会話ではしばしば混同されますが、介護保険制度の上では別のサービスとして位置づけられています。デイサービスの正式名称は通所介護で、社会福祉法人や民間法人などが運営する在宅サービスです。日中に施設へ通い、入浴、食事、排せつの介助、生活機能訓練、レクリエーションなどを受けます。
デイケアの正式名称は通所リハビリテーションで、運営主体は介護老人保健施設や病院、診療所といった医療系の施設に限られます。指定居宅サービスの人員基準では、通所リハビリに医師の配置が必要と定められており、この点が通所介護との最も大きな違いです。在宅か施設かという選択そのものの考え方は在宅介護と施設介護の比較でも整理していますが、通所系サービスは在宅生活を続けながら日中だけ専門的な関わりを受けるための選択肢という位置づけです。
利用対象にも違いがあります。通所リハビリは要支援1・2から要介護5まで幅広く利用でき、要支援の人は介護予防を目的とした通所リハビリという枠組みで利用します。通所介護は原則として要介護1〜5の人が対象で、要支援の人は市町村が運営する総合事業の通所型サービスに移っている点も、混同しやすいポイントのひとつです。送迎や入浴設備の有無、利用時間の区分(3時間台から7〜8時間台まで複数の区分がある点)は両者とも共通していますが、時間区分ごとの基本報酬の水準は異なります。
デイサービスにもリハビリはある実態
「通所介護には医師がいないなら、リハビリはまったく受けられないのか」というとそうではありません。通所介護にも機能訓練指導員という役割の職員が配置され、身体機能の低下を防ぐための訓練を行っています。ただし機能訓練指導員という専用の資格があるわけではなく、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師などの資格を持つ人がこの役割を担う仕組みです。
厚生労働省の調査研究では、通所介護の機能訓練指導員が保有する資格の構成は看護職員がおよそ65.6%と最も多く、理学療法士はおよそ11.5%にとどまると報告されています。つまり通所介護の「リハビリ」は看護職員が担う生活機能訓練であることが多く、理学療法士などのリハビリ専門職が必ず関わる通所リハビリとは、体制の厚みが異なります。
体制の違いは、事故が起きたときの対応力にもつながります。通所リハビリは医師が同じ施設内にいるため、リハビリ中に体調の変化があった場合でもその場で医師の判断を仰ぎやすい環境です。通所介護では看護職員が体調を確認しますが、医師の判断が必要な場面では外部の医療機関へ連絡する流れになります。どちらが優れているという話ではなく、本人の身体状況に応じて必要な体制の厚みが変わってくるという理解が実務的です。
退院直後の場合
医療保険のリハビリから通所リハビリへの引き継ぎ
入院中に受けていたリハビリは医療保険が適用されますが、退院して要介護認定を受けている場合、症状が安定した後の維持期・生活期のリハビリは原則として介護保険のサービスに引き継がれます。2019年3月末までに、要介護認定を受けた人の疾患別リハビリテーション(脳血管疾患等・運動器・廃用症候群など)は、医師が医療保険での継続が必要と判断する一部の例外を除き、介護保険の通所リハビリ・訪問リハビリなどへの移行が完了しています。
このため、退院後に本格的なリハビリを続けたい場合は、通所リハビリが選択肢の中心になります。退院前の段階で、入院先の医療機関と担当のケアマネジャーが連携し、リハビリの内容や目標を引き継げるようにしておくことが望ましいとされています。医師が自宅を訪問して行う居宅療養管理指導を組み合わせるケースもあり、退院直後は複数のサービスを短期間で組み立てる必要が出てきます。
通所リハビリには、退院・退所または要介護認定を受けてからおおむね3か月以内に、週2日程度・1日40分以上の個別リハビリを集中的に行う短期集中個別リハビリテーション実施加算という仕組みがあります。制度上、退院直後の一定期間に手厚いリハビリを受けられる体制が想定されているということで、この時期に通所リハビリを選ぶ理由のひとつになっています。起算日は退院日と要介護認定日のうち早い方が基準になるため、認定の申請が遅れると使える期間も短くなる点には注意が必要です。
なお、同じ疾患を理由とする医療保険のリハビリと介護保険の通所リハビリを、同じ時期に並行して受け続けることは原則としてできません。退院直後に医療機関の外来リハビリを続けたいのか、介護保険の通所リハビリへ切り替えるのかは、医師の判断を踏まえて早めに整理しておく必要があります。判断に迷う場合は、退院支援を担当する医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーに相談すると、選択肢を整理しやすくなります。
リハビリテーション計画書という書類
通所リハビリを利用するときは、医師及び理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの従業者が共同で、利用者の心身の状況や希望を踏まえたリハビリテーション計画書を作成することが基準で定められています。計画に基づくリハビリの提供開始からおおむね2週間以内に最初の評価を行い、その後はおおむね3か月ごとに見直すという運用が一般的です。
退院直後は、入院していた医療機関が作成したリハビリの実施計画に関する情報を、通所リハビリ側が把握したうえで計画書を作ることになっています。この書類のやり取りがスムーズかどうかが、退院直後のリハビリの継続性を左右する実務上のポイントです。
家族としては、退院前カンファレンスなど医療機関側と話す機会があれば、これまでのリハビリで何を目標にしてきたか、退院後も続けたい訓練内容があるかを言葉にして伝えておくと、通所リハビリ側の計画書作成がスムーズになります。海外在住で退院前カンファレンスに同席できない場合は、電話やオンラインでの参加を相談してみる価値があります。
生活維持期の場合
生活機能訓練が中心のデイサービスという選択
退院直後の集中的なリハビリの時期を過ぎ、状態が安定してからは、生活を維持すること自体が目的になる時期に入ります。この段階では、入浴や食事の支援、他の利用者との交流、レクリエーションを通じて生活のリズムを保つ通所介護が向いているケースが多くなります。医師の常駐を前提とした専門的なリハビリよりも、日々の暮らしを穏やかに支える体制の方が本人の負担が小さいこともあります。
通所介護には生活相談員という職員も配置されており、利用開始の手続きや、家庭での様子の変化についての相談窓口になります。リハビリ専門職ほど身体機能の評価に特化しているわけではありませんが、日々の暮らしぶりや気持ちの変化に気づきやすい立場でもあり、生活維持期には心強い存在になります。
認知症のある人の場合は、生活機能の維持に加えて見守りの体制も重要になります。認知症の在宅介護をどこまで続けられるかという判断の目安は認知症の在宅介護と限界の見極めでも扱っています。通所介護の中には認知症の人を主な対象とする類型もあり、少人数で家庭的な雰囲気を大切にする事業所も選択肢に入ってきます。
生活維持期にあっても、リハビリを完全にやめるべきだという意味ではありません。通所リハビリを継続しながら生活のリズムも整えたいという場合は、通所リハビリの利用日数を減らしつつ通所介護を組み合わせるなど、時間の経過とともに配分を見直していく家庭も少なくありません。どちらか一方に固定するのではなく、本人の状態の変化に合わせて調整していく前提で考えておくと、切り替えの判断がしやすくなります。
機能訓練指導員と理学療法士の違い
生活維持期に通所介護を選ぶ場合でも、機能訓練指導員による生活機能訓練は受けられます。ただしPart 1で触れたとおり、機能訓練指導員の多くは看護職員が担っており、理学療法士や作業療法士のような専門的なリハビリの評価・訓練とは内容の厚みが異なります。転倒予防や関節の可動域の維持など、より専門的な訓練が必要だと医師やケアマネジャーが判断した場合は、通所介護と並行して通所リハビリを検討する、あるいは通所リハビリへの切り替えを検討することになります。
どちらを選ぶかの判断は、本人の身体状況、リハビリの必要性、家族の希望を踏まえて、医師やケアマネジャーと相談しながら決めるのが実務的な進め方です。本人が「リハビリ」という言葉に前向きな場合と、「訓練」という響きに抵抗を感じる場合とで、通いやすいサービスの雰囲気も変わってきます。見学の段階で、施設の一日の過ごし方やスタッフの人数、他の利用者の様子を確認しておくと、本人に合うかどうかの判断材料が増えます。
併用とケアプラン
通所介護と通所リハビリは同じ枠を分け合う
通所介護と通所リハビリは、同じ週や同じ月に併用すること自体は制度上可能です。ただし両方とも要介護度ごとに決まる月間の保険給付の枠(区分支給限度基準額)に含まれるサービスのため、片方の利用日数を増やせば、その分だけ他のサービスに使える枠が減ります。訪問介護や短期入所など、他に必要なサービスとのバランスを見ながら組み立てる必要があります。
実際には、週のうち数日は通所リハビリで専門的な訓練を受け、別の曜日は通所介護で入浴や交流の時間を確保するという組み合わせ方をしている家庭もあります。枠を使い切ってしまうと、超えた分は全額自己負担になるため、組み合わせを検討する段階でケアマネジャーに月間の利用可能日数の目安を確認しておくと安心です。
ケアプランに位置づける
通所介護・通所リハビリのどちらを、どのくらいの頻度で使うかは、最終的にケアマネジャーが作るケアプランに反映されます。本人の希望、家族の状況、医師の意見をケアマネジャーが調整し、生活全体の中でのバランスを見て提案する形になります。「リハビリの専門性を優先したいのか」「生活支援や交流を重視したいのか」という優先順位を家族が言語化できていると、ケアマネジャーとの相談がスムーズに進みやすくなります。
利用を始めた後も、本人の状態は変化していきます。ケアマネジャーは定期的なモニタリングを通じて、通所介護と通所リハビリの配分が今の状態に合っているかを見直します。「思ったより疲れやすくなった」「訓練の内容が物足りなくなってきた」といった変化に気づいたときは、次回のモニタリングを待たずにケアマネジャーへ連絡してよい場面です。
サービスの変更や事業所の切り替えを検討する際は、現在利用している事業所への連絡のタイミングにも配慮が必要です。体験利用や見学を経てから正式に切り替える家庭が多く、一方を急にやめるより、重なる期間を設けながら移行するほうが、本人にとっても環境の変化がゆるやかになります。
海外・遠距離から
通所リハビリの計画書と報告を共有してもらう
海外在住の家族にとって、親が受けているリハビリの内容や進み具合は、直接見る機会が少なく把握しにくいものです。通所リハビリでは、医師とリハビリ専門職が共同で作成するリハビリテーション計画書があり、定期的な評価も行われます。ケアマネジャーを通じてこの計画書の内容や実施状況の報告を共有してもらえるよう、早い段階で依頼しておくと、遠く離れていても状況を追いやすくなります。海外から日本の親を支える体制づくりの基本は海外から日本の親を支える方法でも整理しています。
依頼の方法としては、国内にいる家族を通じて計画書の写しをメールで送ってもらう、ケアマネジャーとの定例の電話・オンライン面談に海外側も同席させてもらう、といったやり方が現実的です。事業所やケアマネジャーによって対応できる範囲は異なるため、「どのような形なら情報共有してもらえるか」を最初の相談時に具体的に聞いておくと、後からのすれ違いを防ぎやすくなります。
一時帰国のタイミングで確認する
一時帰国の機会がある場合は、担当のケアマネジャーやリハビリ専門職と直接話す時間を作っておくと、書面だけでは伝わりにくい本人の様子や、今後の見通しについての情報を得やすくなります。遠距離介護全体の進め方は遠距離介護の進め方にまとめています。訪問の日程が決まったら、事前にケアマネジャーへ連絡し、可能であれば通所リハビリの利用日に合わせて見学させてもらうと、日頃の様子をより具体的に把握できます。
リハビリの効果や今後の見通しは個人差が大きく、断定的な説明は避けるべき領域です。具体的な状態の判断や、リハビリを続けるべきかどうかといった医学的な相談は、家族だけで判断せず、医師やリハビリ専門職に確認することが基本になります。海外にいるからこそ、記録と定期的な確認の積み重ねが、本人の状態を正しく理解する手がかりになります。
比較表
実際に選ぶときに効いてくる違いを表にまとめました。
| 項目 | 通所介護(デイサービス) | 通所リハビリ(デイケア) |
|---|---|---|
| 運営主体 | 社会福祉法人・民間法人などが運営 | 介護老人保健施設・病院・診療所など医療系施設が運営 |
| 医師の配置 | 配置の義務なし | 人員基準で配置が必須 |
| 中心となる専門職 | 機能訓練指導員(資格は看護師・理学療法士等いずれか) | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などリハビリ専門職 |
| 計画書 | 通所介護計画書 | 医師とリハビリ専門職が共同作成するリハビリテーション計画書 |
| 対象者 | 原則として要介護1〜5 | 要支援1・2、要介護1〜5 |
| 基本報酬の目安(要介護1・通常規模型・2024年度) | およそ658単位 | およそ762単位(7時間以上8時間未満) |
| 向いている時期・目的 | 生活を維持する時期の生活支援・交流が中心の場合 | 退院直後などリハビリの専門的な継続が必要な場合 |
よくある質問
デイサービスとデイケアで、要介護1の場合の自己負担はどのくらい違いますか?
2024年度の介護報酬改定後、通常規模型の基本報酬は通所リハビリ(デイケア)がおよそ762単位、通所介護(デイサービス)がおよそ658単位とされ、通所リハビリの方が高い水準です。自己負担は所得に応じて1割から3割のため、実際の差額は選ぶ時間帯やサービス内容によっても変わります。正確な金額はケアマネジャーや利用先の事業所に確認してください。
通所リハビリを利用するのに医師の指示は必ず必要ですか?
はい。通所リハビリは人員基準で医師の配置が定められており、医師及び理学療法士・作業療法士などの従業者が共同でリハビリテーション計画書を作成する仕組みです。通所介護には同様の医師配置の義務はありません。
デイサービスの機能訓練指導員と、デイケアの理学療法士は資格が違いますか?
機能訓練指導員という専用の資格はなく、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師などの資格を持つ人が担います。厚生労働省の調査研究では、通所介護の機能訓練指導員の資格構成は看護職員がおよそ6割超、理学療法士はおよそ1割程度と報告されており、必ずしもリハビリの専門職が常駐しているとは限りません。
退院直後に医療保険のリハビリから通所リハビリへ切り替える目安はいつですか?
症状や医師の判断によって異なりますが、要介護認定を受けている人の維持期・生活期のリハビリは、2019年3月末までに原則として医療保険から介護保険のサービスへの移行が完了しています。退院前の段階で、医療機関とケアマネジャーに切り替えのタイミングを相談しておくと引き継ぎがスムーズです。
通所介護と通所リハビリを同じ週に併用できますか?
制度上は併用が可能です。ただしどちらも要介護度ごとに決まる月間の保険給付の枠に含まれるため、片方の利用日数を増やすと他のサービスに使える枠が減ります。組み合わせ方はケアマネジャーと相談しながらケアプランに位置づけます。
海外在住の家族は、親が受けている通所リハビリの内容をどうやって確認できますか?
通所リハビリでは医師とリハビリ専門職が共同でリハビリテーション計画書を作成し、定期的に評価を行います。ケアマネジャーを通じて計画書の内容や実施状況の報告を共有してもらったり、一時帰国のタイミングで担当者と直接話す機会を作ったりすることで、進み具合を把握しやすくなります。
通所リハビリテーション計画の見直しはどのくらいの頻度で行われますか?
一般的には、サービス開始からおおむね2週間以内に最初の評価が行われ、その後はおおむね3か月ごとに見直されます。見直しの頻度や進め方は事業所によって多少異なるため、気になる場合はケアマネジャーを通じて確認するとよいでしょう。
一次情報・公的情報
本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-11.
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索, curl verified 200)
- 通所リハビリテーションの報酬・基準について(社会保障審議会介護給付費分科会 資料, 厚生労働省, curl verified 200)
- リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究(結果概要, 厚生労働省, curl verified 200)
- 平成30年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準等(維持期リハビリの介護保険移行, 厚生労働省, curl verified 200)
- 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省, curl verified 200)
- 報酬算定構造・サービスコード表等(厚生労働省, curl verified 200)
この記事について
この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。
