制度ガイド

福祉用具のレンタルと購入|13種目と自己負担の計算

介護保険の福祉用具は13種目がレンタル対象、腰掛便座など入浴用品は購入対象と覚えれば迷いません。2024年度からの選択制、要介護度による例外給付の基準、自己負担の計算例、海外から遠隔で手配する手順まで、判断に使える情報を整理しました。

公開日
2026-07-03
最終更新日
2026-07-03
情報確認日
2026-07-03
出典
7件の一次情報・公的情報

介護保険の福祉用具は13種目がレンタル対象、腰掛便座など入浴用品は購入対象と覚えれば迷いません。2024年度からの選択制、要介護度による例外給付の基準、自己負担の計算例、海外から遠隔で手配する手順まで、判断に使える情報を整理しました。

13種目とレンタル・購入の違い

レンタル対象の13種目

介護保険で貸与(レンタル)の対象になる福祉用具は、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、車椅子、車椅子付属品、特殊寝台(介護ベッド)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置の13種目です。このうち手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえの4種目は工事を伴わないものであれば要支援1から対象になり、残る9種目は原則として要介護2以上の人が対象です。要介護度ごとに使える福祉用具が変わる仕組みは要介護度のガイドにまとめているので、認定結果と照らして確認してみてください。

なぜ購入になる品目があるのか

腰掛便座、簡易浴槽、入浴補助用具、自動排泄処理装置の交換可能部品、移動用リフトのつり具部分、排泄予測支援機器の6分類は、レンタルではなく「特定福祉用具販売」として購入費が補助される仕組みです。理由は単純で、他人が使ったものを再利用することへの心理的な抵抗が大きい用具や、使ううちに形が変わって次の人が使えなくなる用具だからです。ポータブルトイレや入浴用の椅子を思い浮かべると、レンタルより購入が向いている理由は想像しやすいはずです。

2024年度から一部品目は選択制に

2024年4月の制度改正で、固定用スロープ、歩行器、単点杖、多点杖の4品目については、レンタルと購入のどちらでも選べる「選択制」が導入されました。長期間の使用が見込める場合は購入のほうが総費用を抑えられることがある一方、体の状態が変わりやすい時期はレンタルのまま様子を見るほうが柔軟です。どちらが向いているかは、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に生活状況を伝えたうえで相談するのが実務上の進め方になります。

要支援の人は「介護予防福祉用具貸与」という名称になる

要介護1〜5の人が使う仕組みは「福祉用具貸与」ですが、要支援1・2の人が同じ福祉用具を借りる場合は「介護予防福祉用具貸与」という名称になります。対象品目や自己負担の考え方はほぼ共通していますが、ケアプランを作る担当が異なります。要介護の人は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、要支援の人は地域包括支援センターが計画を作る点は、介護保険制度のガイドで説明している認定区分ごとの窓口の違いとつながっています。福祉用具だけを単独で申し込むことはできず、必ずケアプランに位置づけたうえでの利用になります。

特定福祉用具販売の6分類をひとつずつ確認する

購入対象の6分類は、それぞれ用途がはっきり分かれています。腰掛便座はポータブルトイレや補高便座のこと、簡易浴槽は空気式や折りたたみ式で工事を伴わない浴槽のこと、入浴補助用具は入浴用いすやすのこ、浴槽内いすなどを指します。自動排泄処理装置の交換可能部品はレンタルしている本体のうち尿や便が触れる部分の消耗品、移動用リフトのつり具の部分はリフト本体はレンタルのままつり具だけを購入する組み合わせ、排泄予測支援機器は膀胱の状態をセンサーで検知してトイレのタイミングを知らせる比較的新しい機器です。どれも「他人と共有しにくい」という共通点があり、購入品として整理されていると考えると理解しやすくなります。

福祉用具を選ぶときに確認しておきたい点

同じ「介護ベッド」「車椅子」という括りでも、実際には自走用・介助用、電動・手動、幅や高さの調整範囲など仕様の幅が広く、本人の体格や住環境によって適した商品は変わります。福祉用具専門相談員は、契約前に個別の福祉用具サービス計画を作り、なぜその商品を選んだのかという理由を説明する義務を負っています。玄関の段差や部屋の広さ、ベッドを置く向きなど、実際の住まいの情報が選定の精度を左右するため、家族が知っている生活環境の情報はできるだけ具体的に伝えておくと、あとから「思っていたのと違う」というずれを防ぎやすくなります。

自己負担の計算方法

レンタルの自己負担は品目ごとの貸与価格で決まる

福祉用具のレンタル価格は、事業者が自由に設定できるわけではなく、品目・商品ごとに厚生労働省が「全国平均貸与価格」と、その上限を公表しています。自己負担は所得に応じて1〜3割で、残りが介護保険から給付される仕組みです。例えば、アルミ製の標準的な自走用車椅子では全国平均貸与価格が月2,000円台に設定されている商品もあり、1割負担であれば月々の実費は数百円程度にとどまります。一方で多機能な電動タイプの介護ベッドは全国平均貸与価格が月8,000円から1万円程度になることもあり、1割負担でも実費は1,000円前後になる計算です。実際の金額は商品ごとに異なるため、契約前に福祉用具専門相談員から渡される重要事項説明書で、その商品の貸与価格を必ず確認してください。

購入は年間10万円の枠と償還払い

特定福祉用具の購入費は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で合計10万円までが支給の上限です。手続きは、いったん利用者が全額を支払ったあとに市区町村へ申請し、費用の7〜9割が払い戻される「償還払い」が原則ですが、自治体によっては利用者が自己負担分だけを支払えばよい「受領委任払い」に対応している場合があります。どちらの方式かは自治体ごとに異なるため、購入前に窓口かケアマネジャーに確認しておくと安心です。

区分支給限度基準額との関係

レンタルの費用は、訪問介護やデイサービスと同じく、要介護度ごとに決まっている1か月あたりの支給限度額(区分支給限度基準額)の枠内で計算されます。福祉用具のレンタルだけを多く使いたい場合でも、他のサービスとの合計がこの枠を超えると、超えた分は全額自己負担になります。福祉用具をどれだけ組み込むかは、ケアプラン全体のバランスの中で決める話であり、ケアプランのガイドにある単位数の見方と合わせて読むと、月々の実費がなぜその金額になるのかが分かりやすくなります。

同じ商品でも事業所によって価格が違う

全国平均貸与価格はあくまで目安で、実際の価格は事業所ごとに設定されています。国が定めているのは上限だけなので、同じ商品でも事業所によって数百円単位の差が出ることがあります。福祉用具専門相談員は、契約前に複数の商品案とその価格を示す義務があるため、金額に納得がいかない場合はその場で聞き返して構いません。海外にいる家族は同席できないことが多いですが、提示された重要事項説明書を写真で共有してもらえば、金額の妥当性を一緒に確認できます。

低所得世帯への配慮

住民税非課税世帯など所得の低い世帯では、購入費や利用者負担全体について、自治体独自の減免や貸付の制度が用意されていることがあります。内容や名称は自治体ごとに異なるため、対象になりそうな場合はケアマネジャーか市区町村の窓口に個別に確認するのが確実です。

例外給付という選択肢

原則要介護2以上でも例外的にレンタルできる場合がある

車椅子、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知器、移動用リフト、自動排泄処理装置などの9種目は、原則として要介護2以上の人が対象ですが、要支援1・2や要介護1の人でも、状態によっては例外給付としてレンタルが認められることがあります。判断の材料になるのは、要介護認定の基本調査結果や、主治医の意見、ケアマネジャーが作成する適切なケアマネジメントの記録で、市区町村が個別に確認したうえで可否を決めます。

例外給付が想定される具体的な状態像

例えば、日常的に起き上がりが困難で移乗に介助が必要な人、日中も寝たきりに近い状態にある人、あるいは認知症の症状によって移動時の安全確保が必要な人などは、要介護1であっても例外給付の対象として検討されることがあります。ただし判断はケースごとに異なり、自治体により運用の細部が異なります。該当する可能性があると感じたら、まずケアマネジャーに相談し、必要な書類を市区町村の窓口に確認する流れになります。

ケアマネジャーへの伝え方

例外給付の申請可否は、専門職の判断と市区町村の確認を経て決まる手続きで、家族が自分だけで決められるものではありません。海外にいる家族ができることは、本人の日々の様子(起き上がりにどれくらい介助が必要か、転倒やヒヤリハットがどれくらいの頻度で起きているかなど)を具体的にケアマネジャーへ伝えることです。ケアマネジャーのガイドにも書いていますが、生活の変化を具体的な事実として伝えるほど、専門職側の判断材料が増え、必要な支援につながりやすくなります。

例外給付が認められなかった場合の選択肢

書類を揃えても、状態像や自治体の判断によっては例外給付が認められないことがあります。その場合でも、介護保険を使わない自費レンタルという選択肢は残っています。自費レンタルは全額自己負担にはなりますが、介護保険の枠を使わずに必要な期間だけ借りられる柔軟さがあり、福祉用具専門相談員や地域の福祉用具貸与事業者が自費プランも扱っていることが多いので、介護保険での申請が難しいと分かった時点で相談してみる価値はあります。

状態が変わったときの再申請

一度は要件を満たさず断念しても、その後に転倒や入院などで状態が変化すれば、あらためて例外給付や区分変更の申請を検討できます。介護度は生活の変化に合わせて見直される仕組みなので、「一度断られたから終わり」と考えず、状態の変化に気づいた時点でケアマネジャーに再相談する姿勢が実務上は大切です。

海外から手配する手順

選定の主役はケアマネジャーと福祉用具専門相談員

福祉用具のレンタル・購入は、ケアマネジャーがケアプランに組み込み、福祉用具専門相談員が本人の身体状況に合わせて商品を選び、使い方の説明までを担当する分業体制で進みます。海外在住の家族が直接契約や選定の手続きをする場面はほとんどなく、実務は現地の専門職が進める前提だと理解しておくと、無理に自分で動こうとせずに済みます。

遠隔から関われる3つの場面

海外にいても関われる場面は主に3つあります。1つ目は、選定前の情報共有です。自宅の間取りや本人の体格、日中どこで過ごす時間が長いかといった情報を、電話やメッセージでケアマネジャーに伝えておくと、専門職が商品を選ぶ材料になります。2つ目は、納品後の確認です。福祉用具専門相談員が撮影した設置後の写真や動画を共有してもらえば、実際の生活動線に合っているかを海外からでも確認できます。3つ目は、費用の同意です。購入費は原則いったん全額を立て替える償還払いになるため、支払いのタイミングと方法(誰の口座から立て替えるか)を事前に家族間で決めておくと、帰国できないまま手続きが止まる事態を避けやすくなります。

帰省のタイミングでできること

一時帰国の機会があれば、レンタル中の福祉用具が実際にどう使われているかを自分の目で確認しておくと、次回以降のやり取りが具体的になります。在宅での介護を続けるか、施設への入所を検討するかによっても必要な福祉用具の種類は変わってくるため、生活の場が変わりそうなタイミングでは、早めにケアマネジャーへ相談しておくと福祉用具の見直しも同時に進めやすくなります。

支払いの立て替えと委任状の準備

特定福祉用具の購入は償還払いが原則のため、いったん本人か家族が全額を立て替える必要があります。本人名義の口座から支払える場合は問題になりにくいですが、本人の判断力に不安がある、あるいは口座管理が難しい場合は、誰が立て替えて誰が申請書を提出するのかを、国内にいる親族とあらかじめ決めておくと手続きが滞りにくくなります。委任状や代理受領の可否は自治体によって扱いが異なるため、必要になりそうな段階で早めに市区町村の窓口へ確認しておくと安心です。

言葉の壁への備え

福祉用具専門相談員やケアマネジャーとのやり取りは日本語が基本になります。海外在住の家族が直接説明を聞けない場合は、国内の親族に同席してもらう、あるいは説明内容を書面やメッセージアプリで残してもらうよう頼んでおくと、あとから内容を読み返せます。専門用語が分からないまま流してしまうと、あとで「何のための用具か分からない」という状態になりやすいため、分からない略語や品名はその場で聞き返す前提でお願いしておくとよいでしょう。

やり取りの記録を残しておく

福祉用具のレンタル開始日、商品名、月額の自己負担、次回のモニタリング予定日といった基本情報は、家族間で共有できるメモやメッセージのスレッドにまとめておくと、担当者が変わったときや、本人の状態が急に変化したときにも状況を把握しやすくなります。海外にいる家族が唯一の連絡窓口になっているケースでは、こうした記録の有無が、いざというときの対応の速さに直結します。

比較表

違いを一目で見比べられるよう、表にしています。

区分対象品目の例自己負担の仕組み
レンタル(原則要支援1〜)手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ貸与価格の1〜3割を毎月負担
レンタル(原則要介護2以上、例外給付あり)車椅子、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知器、移動用リフト、自動排泄処理装置貸与価格の1〜3割を毎月負担
購入(特定福祉用具販売)腰掛便座、簡易浴槽、入浴補助用具、排泄予測支援機器など年間10万円まで、費用の7〜9割を償還払いで払い戻し
選択制(2024年度〜)固定用スロープ、歩行器、単点杖、多点杖レンタルか購入かを本人・家族が選べる

よくある質問

車椅子を借りたいのですが、要介護1の認定でも借りられますか?

車椅子は原則要介護2以上が対象ですが、起き上がりや移乗に介助が必要な状態など、状態像によっては例外給付として要介護1でもレンタルが認められることがあります。まずはケアマネジャーに具体的な生活状況を伝えて相談してください。

購入した福祉用具が壊れた場合、もう一度介護保険で買い替えられますか?

年間10万円の枠を使い切っていなければ、破損や消耗による買い替えも申請できる場合があります。自治体により運用が異なるため、事前に市区町村の窓口かケアマネジャーに確認するのが確実です。

福祉用具専門相談員とは誰のことで、どこで会えますか?

福祉用具のレンタル・販売事業者に所属し、身体状況に合わせた商品選定や使用方法の説明を担当する専門職です。ケアプランに福祉用具が組み込まれる際、ケアマネジャーが手配する事業者を通じて紹介されます。

海外在住のため福祉用具の選定に立ち会えません どう進めればよいですか?

自宅の環境や本人の体格などの情報を事前にケアマネジャーへ伝え、納品後は設置状況の写真や動画を共有してもらう方法が現実的です。契約や支払いの同意は国内にいる親族と分担するとスムーズです。

レンタル中の福祉用具が合わなくなったら、返却や交換はできますか?

可能です。状態の変化に応じて別の商品に交換したり、不要になれば返却したりできるのがレンタルの利点です。交換や返却の相談はケアマネジャーを通じて福祉用具専門相談員に伝えます。

購入費の10万円の枠は、レンタルの費用と合算されますか?

合算されません。特定福祉用具購入費の年間10万円の枠と、レンタルにかかる区分支給限度基準額は別の枠として計算されます。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-03.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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