制度ガイド

川崎市の紙おむつ支給事業|対象要件と申請の流れ

川崎市の紙おむつ支給事業は65歳以上・要介護3〜5・在宅が対象で、月6,000円(令和8年4月から)を上限に介護用品をカタログから注文できます。介護保険の福祉用具とは別枠の市独自制度で、窓口は各区役所高齢・障害課です。

公開日
2026-07-11
最終更新日
2026-07-11
情報確認日
2026-07-11
出典
4件の一次情報・公的情報

川崎市の紙おむつ支給事業は65歳以上・要介護3〜5・在宅が対象で、月6,000円(令和8年4月から)を上限に介護用品をカタログから注文できます。介護保険の福祉用具とは別枠の市独自制度で、窓口は各区役所高齢・障害課です。

在宅介護の見えない出費

家計を圧迫する毎月の紙おむつ代

在宅で要介護度の高い親を介護していると、紙おむつ代は毎月確実に発生する出費になります。使用量は本人の状態によって差がありますが、1日に何枚も使う状態が続けば、月々の負担は決して小さくありません。介護費用の全体像ガイドでは在宅介護の月額の目安を扱っていますが、紙おむつ代のように介護保険の対象外になりやすい消耗品費は、見積もりから漏れがちな項目です。

親の年金と貯蓄で介護費用をまかなう家庭が多い中、紙おむつ代のような毎月固定でかかる出費は、長く続くほど積み重なっていきます。数年単位で在宅介護が続く前提に立てば、月あたり数千円の差でも年間では無視できない額になります。だからこそ、公的な支給制度を知っているかどうかで、家計の見通しは変わってきます。

「知らないまま自費で買い続けている」というもったいなさ

紙おむつ代を助成する仕組みがあることを知らず、全額を自費でドラッグストアなどで購入し続けている家庭は少なくありません。市販の大人用紙おむつは1パックあたり数千円で、使用量が多い状態が続けば月に複数パックが必要になることも珍しくなく、他の介護用品費と合わせると家計への影響は積み重なっていきます。川崎市に住む要介護3〜5の在宅高齢者であれば、市の給付事業を使うことで、毎月の紙おむつ購入費の一部を公的にまかなえる可能性があります。

まず確認したい対象要件の3条件

この制度を使えるかどうかは、要介護度・年齢・在宅かどうかという3つの条件で決まります。介護保険のサービスをすでに利用している家庭でも、この給付事業の存在自体を知らないケースは多く、ケアマネジャーから案内されるまで気づかない例も見られます。逆に言えば、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに一声かけるだけで、対象かどうかがすぐに分かる制度でもあります。次の章では、対象要件と支給の中身を具体的に整理します。

制度の中身

事業の名称と対象になる人

川崎市がこの制度を実施している正式名称は「ねたきり高齢者等紙おむつ及び日常生活用具給付事業」です。対象になるのは、65歳以上で介護保険法に基づく要介護認定が要介護3〜5と認定され、紙おむつを必要としている在宅生活者です。40〜64歳の場合は、要介護3〜5の認定に加えて特定疾病の「初老期における認知症」に該当する方が対象になります。いずれの場合も在宅生活が前提で、特別養護老人ホームなどの施設に入所している方や、1か月以上入院している方は対象になりません。要介護度の考え方ガイドで扱っているとおり、要介護3以上は日常生活の広い範囲で介助が必要な段階にあたり、この事業もその実態に合わせて対象を絞っています。

要介護1・2の段階では、この給付事業の対象にはなりません。認定調査の結果によって要介護度が上下することもあるため、今は対象外でも、更新のたびに改めて要件を満たすかどうかを確認しておくと申請のタイミングを逃しにくくなります。要介護認定の更新ガイドで扱っている更新の仕組みとあわせて、家族のカレンダーに更新時期を控えておくとよいでしょう。

事業の目的そのものは、寝たきりの高齢者やひとり暮らしの高齢者、中度以上の認知症がある方などの日常生活を支え、家族の介護負担を軽くすることに置かれています。実際に申請できるかどうかを決める線引きは要介護3〜5という認定区分ですが、背景にあるのは「排せつの介助に多くの手間がかかる段階の在宅生活者を支える」という発想だと理解しておくと、制度の位置づけがつかみやすくなります。

要介護度が変わったときの扱い

いったん対象として認定されたあとも、要介護度は認定の更新や区分変更で上下することがあります。要介護3以上を維持していれば利用を続けられますが、更新の結果、要介護2以下に下がった場合は、この給付事業の対象から外れる可能性があります。逆に、これまで要介護2だった親が要介護3に上がったタイミングで、初めて対象になることもあります。認定結果が届いたら、介護保険サービスの見直しとあわせて、この給付事業の対象になるかどうかも確認しておくとよいでしょう。

現金給付ではなくカタログから選ぶ仕組み

この制度は、家族が立て替えた領収書を持って払い戻しを受けるような償還払いではなく、市が指定するカタログから対象品を選んで注文する仕組みです。対象品は紙おむつ類・おむつカバー・防水シーツ・使い捨て手袋・消臭剤・清拭剤・ドライシャンプーなどで、選んだ商品の代金が月額の限度額に応じて管理されます。限度額を超えて注文した分は全額利用者の自己負担になるため、毎月どのくらいの量を使うかをあらかじめ把握しておくと、限度額内でうまく組み合わせやすくなります。

月額の限度額と利用者負担の階層区分

月額の限度額は、令和8年4月から6,000円に引き上げられました(それ以前は5,000円)。生活保護受給世帯などはより低い限度額が設定されており、令和8年4月から月3,000円です(それ以前は2,500円)。この限度額の中で、実際にいくら自己負担になるかは、世帯の所得に応じた階層区分によって決まります。生活保護世帯は自己負担0%、市町村民税が非課税で生活が困窮していると認められる減免対象世帯は5%、市町村民税が本人非課税の世帯は10%、市町村民税が本人課税の世帯は20%という区分です。同じ限度額いっぱいまで注文しても、階層区分によって実際の支払額は変わってきます。

同じ事業に含まれる「日常生活用具給付」

事業名に「及び日常生活用具給付」とあるとおり、この事業は紙おむつ等の消耗品だけでなく、日常生活用具の給付も含んだ枠組みになっています。ただし対象品目は、車椅子や特殊寝台のような大型の福祉用具は含まれず、自動消火器(基準額36,800円)と電磁調理器(基準額33,000円)の2品目に限られます。自己負担率も紙おむつ等給付とは階層区分が異なり、生活保護世帯0%・減免対象世帯5%・その他の世帯10%の3区分で、紙おむつ等給付にある20%負担の区分はありません。給付基準額を超える部分は全額自己負担になる点は紙おむつ等給付と共通です。同じ「給付事業」という名称の中に、消耗品の枠(紙おむつ等)と用具の枠(自動消火器・電磁調理器)という性質の異なる2つの給付が併存しているため、問い合わせる際は「紙おむつ等の給付」と「日常生活用具の給付」を分けて質問すると、担当者からの回答も整理しやすくなります。

介護保険の福祉用具とは別枠の制度

ここで整理しておきたいのが、介護保険制度に基づく福祉用具貸与・購入との違いです。介護保険の福祉用具は、ケアプランに基づいて車椅子や特殊寝台などをレンタルしたり、入浴・排せつに関わる用具(腰掛便座や入浴補助用具など)を年間10万円の枠内で購入したりする、全国共通の制度です。詳しくは福祉用具のレンタルと購入ガイドで扱っています。この特定福祉用具購入の対象品目は原則として腰掛便座・入浴補助用具・簡易浴槽などの「用具」であり、消耗品である紙おむつ本体は通常この枠には含まれません。つまり、介護保険の枠組みだけを見ていると、紙おむつという毎月の消耗品費を軽減する手立てが見つからないままになりやすいのです。

一方、この記事で扱う紙おむつ支給事業は、川崎市が独自に実施している自治体単独の給付事業で、介護保険の枠組みとは別に運営されています。両方を同時に利用できるかどうか(併給可否)について、公式ページに明確な記載は見当たりませんでした。実際に福祉用具のレンタル・購入と紙おむつ支給事業を両方使いたい場合は、担当のケアマネジャーと区役所の両方に確認しておくと安心です。役割の違いをひとことで言えば、福祉用具は「体を支える道具」を全国共通のルールで借りる・買う仕組み、紙おむつ支給事業は「毎月使う消耗品」を川崎市が独自に助成する仕組み、という位置づけになります。この2つは制度の根拠も窓口も別なので、片方だけ知っていても十分ではありません。

申請の実務

申請窓口は区役所の高齢・障害課

この制度の申請窓口は、親が住んでいる区の区役所高齢・障害課です。7つの区それぞれに窓口があり、例えば川崎区役所高齢・障害課高齢者支援担当の電話番号は044-201-3080です。制度全体を所管しているのは川崎市健康福祉局長寿社会部高齢者在宅サービス課(044-200-2677)で、個別の申請そのものは居住地の区役所で受け付ける形になります。どの区の窓口に連絡すればよいか分からないときは、まず親の住民票がある区の区役所高齢・障害課に電話をかけるところから始めてください。川崎市の介護相談窓口ガイドでは、区役所と地域包括支援センターの役割分担も整理しています。

申請に必要な書類

申請には「高齢者在宅サービス利用申出書(共通第1号様式)」を使います。利用中の内容を変更したり、利用をやめたりする場合は「高齢者在宅サービス変更・廃止等申出書(共通第5号様式)」を使う形になっています。様式は区役所の窓口のほか、市の公式サイトからも入手できます。要介護認定の結果が分かる書類の提示を求められる場合があるため、認定結果通知書を手元に用意しておくとやり取りがスムーズです。

申出書を提出したあと、実際にカタログから商品を注文できるようになるまでの具体的な日数や、承認の通知方法については、公式ページに詳しい記載がありませんでした。申請を急ぐ事情がある場合は、提出時に窓口で「いつ頃から注文できるか」を直接確認しておくと見通しが立てやすくなります。

海外在住家族が代理で段取りする方法

海外に住んでいて自分では区役所の窓口に出向けない家族にとって、気になるのは「代理で申請できるか」という点です。この事業固有の代理申請ルールは、公式ページには明記されていません。川崎市の他の制度では、法定代理人以外が手続きを代行する際に委任状を求める運用が一般的で、委任者本人の署名・生年月日・住所・電話番号を記載し、パソコンで作成した委任状でも委任者の氏名部分は手書きで署名する扱いになっています。紙おむつ支給事業についても、同様に委任状を用意したうえで進められる可能性はありますが、実際に必要な書式や本人確認の方法は、事前に区役所高齢・障害課へ電話で確認しておくのが確実です。

現実的な進め方としては、まず海外から電話やメールで区役所高齢・障害課に問い合わせ、必要書類と代理提出の可否を確認したうえで、次の一時帰国のタイミングに申請そのものをまとめて済ませる、という2段構えが現実的です。一時帰国のたびに要介護認定の更新や病院の付き添いなど複数の用事を重ねている家庭も多いはずなので、この給付事業の申請もそのリストに加えておくと、往復のたびに漏れなく手続きを進められます。一時帰国の使い方や優先順位のつけ方は海外から日本の親を支える方法遠距離介護の進め方でも扱っているので、あわせて参考にしてください。

国内の家族との役割分担

海外在住の家族が窓口とのやり取りを担い、国内に住む家族やケアマネジャーが実際のカタログ注文や受け取りを担う、という役割分担にしておくと手続きが滞りにくくなります。要介護認定の更新や区分変更があった際は、この給付事業の対象要件にも影響するため、認定の更新時期を国内の家族と共有しておくことも忘れないようにしてください。国内にきょうだいがいる場合は、どちらが注文の管理をするか、どちらが窓口とのやり取りを担うかを最初に決めておくと、後から「言った・言わない」のすれ違いが起きにくくなります。

なお、紙おむつ代の一部は医療費控除の対象になり得ますが、その場合は医師が発行する「おむつ使用証明書」など別の要件が関わってきます。この点は介護費用は医療費控除できる?対象サービスの線引きで扱っているので、そちらを参照してください。この給付事業と医療費控除は根拠になる制度が異なるため、片方を使っているからもう片方も自動的に対象になる、というものではない点にも注意してください。

比較表

実際に選ぶときに効いてくる違いを表にまとめました。

利用者の階層区分利用者負担割合月額限度額の目安(令和8年4月〜)
生活保護受給世帯0%3,000円
市町村民税非課税かつ生活困窮と認められる世帯(減免対象)5%6,000円
市町村民税が本人非課税の世帯10%6,000円
市町村民税が本人課税の世帯20%6,000円

よくある質問

要介護2でも紙おむつ代の負担が大きいのですが、この制度は使えませんか

この制度の対象は原則として要介護3〜5の認定を受けた方です。要介護1・2の方はこの給付事業の対象にはなりません。まずは[介護費用の全体像ガイド](/ja/guide/costs-of-elderly-care-japan/)で扱っている他の費用軽減策や、担当のケアマネジャーへの相談を検討してください。

現金でまとまった額を受け取れる制度だと思っていたのですが、違いますか

現金給付ではありません。月額の限度額の範囲内で、指定されたカタログから紙おむつなどの介護用品を選んで注文する仕組みです。限度額を超えた分は全額自己負担になります。

施設に入っている親も対象になりますか

なりません。この制度は在宅生活をしている高齢者を対象にしており、特別養護老人ホームなどの施設に入所している場合や、1か月以上入院している場合は対象外です。

介護保険の福祉用具貸与を利用していますが、この紙おむつ支給事業と一緒に使えますか

介護保険の福祉用具貸与・購入は全国共通の制度で、この紙おむつ支給事業は川崎市が独自に実施している別枠の給付です。両方を同時に利用できるかについて公式ページに明確な記載はなく、実際に併用したい場合はケアマネジャーと区役所高齢・障害課の両方に確認しておくことをおすすめします。

海外に住んでいて自分では区役所に行けないのですが、家族が代わりに申請できますか

この制度固有の代理申請の取り扱いは公式ページに明記されていません。他の川崎市の制度では委任状による代行が一般的に認められているため、同様の対応が可能な場合はありますが、必要な書式や条件は区役所高齢・障害課に事前に電話で確認するのが確実です。

支給される金額や対象要件は毎年同じですか

同じとは限りません。実際に令和8年4月には月額の限度額が5,000円から6,000円に引き上げられています。制度の対象要件や金額は年度によって変わり得るため、利用の際は必ず川崎市公式サイトまたは区役所で最新の内容を確認してください。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-07-11.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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