制度ガイド

要介護認定の進み方

申請から結果通知までの5つの段階を、誰が動くか・どのくらいかかるかで整理。法律上の「原則30日以内」と、厚生労働省が公表した実際の日数の差も、一次データで示します。

公開日
2026-08-22
最終更新日
2026-08-22
情報確認日
2026-08-22
出典
4件の一次情報・公的情報

要介護認定は、介護保険のサービスを使うために最初に通る手続きです。申請すると市区町村が調査と審査を行い、要支援1・2から要介護1〜5までの区分が決まります。このガイドは、その全体像を5つの段階に分けて示し、それぞれの段階で誰が動くのか、どのくらい日数がかかるのかを、厚生労働省が公表した実測データとあわせて整理したものです。各段階の細かい進め方は、それぞれの詳しい記事へ降りられるようにしています。

要介護認定の全体像

要介護認定は5つの段階で進む

手続きは、申請・認定調査・主治医意見書・判定・結果通知という順で進みます。動くのが家族なのか市区町村なのかを、段階ごとに分けて把握しておくと、待つべき時間と催促すべき時間を取り違えずに済みます。

この5段階のうち、家族が実際に手を動かすのは1と2、そして5です。3と4は市区町村の内部で進むため、家族が書類を取りに走る必要は基本的にありません。主治医意見書は市区町村が主治医へ直接依頼する仕組みになっています。

要介護認定の段階と、それぞれで動く人
段階主に動く人家族がすること詳しい記事
1. 申請本人・家族・代行者市区町村の窓口へ申請書を出す代理申請
2. 認定調査市区町村の調査員日程を調整し、できれば立ち会う認定調査の準備
3. 主治医意見書市区町村と主治医原則なし(市区町村が医師へ依頼する)主治医意見書
4. 一次判定・二次判定コンピュータと介護認定審査会原則なし(結果を待つ)一次判定と二次判定
5. 結果通知市区町村区分を確認し、ケアマネジャーを決める要介護度の考え方

「原則30日以内」と実際の日数の差

介護保険法では、申請から認定の通知までは原則30日以内とされています。ただし、厚生労働省が公表した実測データを見ると、この原則どおりに終わっている自治体は多数派ではありません。

厚生労働省は令和7年2月の社会保障審議会介護保険部会に、全国1,559保険者の認定審査期間を集計した資料を提出しています。令和5年4月から令和6年3月までの申請分を、介護保険総合データベースから分析したものです。それによると、申請から二次判定までの期間は各保険者の平均値の中央値で39.3日でした。

さらに踏み込んだ数字もあります。申請から30日以内に認定された割合は、各保険者の平均値の中央値で21.4%です。つまり中央的な自治体では、およそ8割の申請が30日を超えています。「1か月で結果が出る」という前提で介護休暇や一時帰国の日程を組むと、多くの場合は足りません。

認定手続きの実測日数(令和5年度・各保険者の平均値の分布/厚生労働省)
区間最小値第1四分位中央値第3四分位最大値
申請から二次判定まで20.3日35.1日39.3日43.5日80.6日
認定調査の依頼から実施まで0.0日7.6日10.3日13.5日229.7日
主治医意見書の依頼から入手まで0.0日15.7日17.9日20.3日51.6日
審査会などの事務処理3.6日13.7日16.3日19.6日43.0日
30日以内に認定された割合0.0%9.7%21.4%37.3%100.0%

遅れの多くは調査日程と意見書の待ち時間

内訳を見ると、時間を使っているのは審査そのものより、外部とのやり取りの部分です。

主治医意見書の依頼から入手までが中央値17.9日、認定調査の依頼から実施までが中央値10.3日です。この2つで1か月近くを占めます。厚生労働省の同じ資料では、平均が30日以内に収まっている自治体の取組例として、申請から10日以内に認定調査を行うと申請者にあらかじめ周知して日程調整を円滑にしている例が挙げられています。

家族の側でできることは限られますが、意味はあります。認定調査の日程を打診されたら早い候補日で確定させること、かかりつけの医師が決まっていない場合は申請の前に受診して主治医を作っておくことです。医師が本人の状態を把握していないと、意見書の作成そのものに時間がかかります。

申請する

申請できる人と、代行を頼める相手

申請の窓口は、お住まいの市区町村です。本人が窓口へ行けない場合でも、手続きは止まりません。

家族が代わりに申請できるほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、成年後見人などに代行を頼む方法もあります。海外にいて日本の窓口へ行けない場合は、この代行の仕組みが実質的な入口になります。誰に頼めるか、何を渡せばよいかは要介護認定の代理申請で詳しく整理しています。

申請のタイミングで迷う家族は多いのですが、認定はさかのぼって適用されません。様子がおかしいと感じた時点で申請しておき、結果が出てから使うかどうかを決める、という順番のほうが結果的に早く動けます。認定を受けても、サービスを使う義務はありません。

認定調査で見られること

認定調査は、調査員が本人を訪ねて、日常の動作や認知の状態をひとつずつ確認していく面談です。ここで記録された内容が、そのまま判定の材料になります。

最も多い失敗は、本人が調査員の前でいつもより頑張ってしまうことです。普段はできないことを「できます」と答えてしまうと、実態より軽い区分で決まります。可能なら家族が立ち会い、うまくいかない日の様子を具体的に伝えてください。立ち会えない場合でも、電話での参加や、事前に文書で状況を渡す方法があります。

準備の具体的な手順、当日に伝えるべき項目、立ち会えないときの代替手段は認定調査の事前準備にまとめています。日付入りの困りごとメモを用意しておくと、調査でも主治医意見書でも実態が伝わりやすくなります。

主治医意見書を依頼するのは市区町村

主治医意見書は、判定のもう一方の材料です。家族が病院へ取りに行く必要は、原則としてありません。

申請を受けた市区町村が、本人の主治医へ直接依頼します。家族が関わるとすれば、そもそも主治医がいるかどうかという点です。かかりつけの医師がいない場合は、申請の前に受診しておく必要があります。書き手の医師が本人の状態を知らなければ、内容は薄くなり、判定にも時間にも影響します。詳しくは主治医意見書を参照してください。

判定される

一次判定と二次判定の役割分担

判定は2段階です。機械が下した仮の結論を、人の合議で確認する構造になっています。

一次判定は、認定調査の結果をコンピュータに入力し、全国一律の方法で要介護度を算出します。二次判定は、その結果と主治医意見書、調査員の特記事項を突き合わせて、介護認定審査会が最終的に決めます。一次判定から区分が変わることもあり、その多くは特記事項や意見書に書かれた個別の事情が反映された結果です。仕組みの詳細は一次判定と二次判定で解説しています。

結果の7段階と、有効期間の決まり方

認定結果は、要支援1・2と要介護1〜5の7段階です。非該当となる場合もあります。区分ごとに、1か月に使えるサービスの上限が変わります。

認定には有効期間があります。介護保険法第28条第1項では、新規認定は原則6か月で、市町村が必要と認める場合は3か月から12か月の範囲で定められるとされています。更新認定は原則12か月で、更新の前後で区分が変わらない場合は3か月から48か月、区分が変わる場合は3か月から36か月の範囲です。

区分ごとに使えるサービス量と、区分の意味は要介護度の考え方に整理しています。更新の案内が届く時期や、切らさないための段取りは要介護認定の更新を参照してください。

認定後に動く場面

状態が変わったときの区分変更

認定は一度決まったら次の更新まで動かせない、というものではありません。

有効期間の途中でも、本人の状態が変われば区分変更を申請できます。よくあるきっかけは入院です。退院時には入院前より弱っていることが珍しくなく、それまでの区分では必要なサービス量に足りなくなります。窓口はケアマネジャーか地域包括支援センターです。手順と判断のしかたは区分変更申請にまとめています。

結果に納得できないときの選択肢

出た区分が実態と合っていないと感じたときは、2つの道があります。

ひとつは区分変更申請、もうひとつは介護保険審査会への審査請求(不服申立て)です。実務では、状態が変わったのなら区分変更、判定の手続きや評価そのものに問題があると考えるなら審査請求、という使い分けになります。それぞれの向き不向きは介護保険審査会への不服申立てで比較しています。

引っ越し・施設入所と保険者の関係

認定を受けたあとに住まいが変わる場合、どの市区町村が保険者になるのかを確認しておく必要があります。

施設入所のために別の市区町村へ住民票を移した場合は、住所地特例により、原則として引っ越し前の市区町村が引き続き保険者になります。一方、通常の転居では保険者が変わり、認定の引き継ぎ手続きが必要です。転居の種類によって扱いが分かれるため、転居と住所地特例で確認してください。

海外にいる家族の視点

海外にいる家族が押さえる4点

日本に住民票のある方であれば、国籍を問わず同じ条件で申請できます。海外にいるご家族が実際につまずくのは、制度そのものより段取りの部分です。

  • 申請は代行できます。渡航を待たずに、地域包括支援センターへ相談して先に申請を出しておくほうが早く進みます
  • 日程が読めるのは認定調査だけです。一時帰国を合わせるなら、認定調査の日を軸に組み立ててください
  • 結果までは中央値で39.3日、30日以内に収まるのは中央的な自治体で21.4%です。1か月で終わる前提の計画は避けてください
  • 認定を待つ間も、保険外の見守りや家事支援は使えます。空白の1〜2か月を誰が埋めるかを先に決めておくと安全です

無料の窓口とJCCの分担

要介護認定の手続きは、市区町村の窓口と地域包括支援センターだけで完結するように制度が作られています。多くのご家族は、まずこの無料の窓口から始めれば足ります。私たちが引き受けるのは、その線の外側に残る部分です。

要介護認定まわりの相談先の分かれ目
やりたいこと無料の公的窓口JCCが入る場面
申請の方法を知る・申請する市区町村の窓口/地域包括支援センター
認定調査に立ち会う家族・親族海外在住などで誰も立ち会えないとき
結果の意味を理解するケアマネジャー英語での確認や、家族間での共有が必要なとき
認定を待つ間の生活を支える保険外サービスの設計と手配
区分変更や不服申立てを検討するケアマネジャー/市区町村判断材料の整理と、家族間の合意形成

よくある質問

要介護認定の結果が出るまで、実際は何日かかりますか?

厚生労働省が令和5年度の介護保険総合データベースを集計した資料では、申請から二次判定までの期間は各保険者の平均値の中央値で39.3日でした。第1四分位が35.1日、第3四分位が43.5日、最大は80.6日です。法律上の原則は30日以内ですが、実際は1か月を超える自治体が多数を占めます。お住まいの市区町村の目安は、窓口で確認してください。

「原則30日以内」と法律にあるのに、なぜそれより遅れるのですか?

内訳を見ると、主治医意見書の依頼から入手までが中央値17.9日、認定調査の依頼から実施までが中央値10.3日で、この2つで1か月近くを占めます。いずれも市区町村と外部(医師・調査員・本人の都合)とのやり取りで、事務処理より日程調整に時間がかかります。厚生労働省も、この部分を短縮するための取組例を自治体向けに示しています。

認定審査にかかる期間は、市区町村によってどのくらい違いますか?

申請から30日以内に認定された割合は、各保険者の平均値で最小0.0%から最大100.0%まで開きがあり、中央値は21.4%です。認定審査期間そのものも最小20.3日から最大80.6日と4倍近い差があります。全国一律ではないため、親御さんの住む市区町村の実情を前提に計画を立ててください。

要介護認定の流れの中で、家族が動く必要があるのはどの場面ですか?

申請、認定調査の日程調整と立ち会い、結果を受け取ってからのケアマネジャー選びの3つです。主治医意見書は市区町村が主治医へ直接依頼し、一次判定と二次判定は市区町村の内部で進むため、家族が書類を取りに行ったり審査に関与したりする必要は原則ありません。

一次情報・公的情報

本文は一次情報・公的情報を優先して確認しています。制度、費用、窓口の扱いは自治体や時期で変わるため、最終判断の前にリンク先の公式情報も確認してください。 最終確認日: 2026-08-22.

この記事について

この記事は一般的な情報の整理であり、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。制度の運用、費用、サービスの有無は自治体や状況によって異なるため、具体的な判断は関係機関や資格を持つ専門職にご確認ください。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

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