見学の前の机上調査
見学前に分かること
海外から親の入居先を探していると、手元に集まるのはパンフレットと紹介サイトの施設ページばかりになりがちです。写真はどこも明るく、「手厚い介護」「医療との連携」と同じ言葉が並びます。比べようがない、という相談をよく受けます。
比べる材料は、実は公的な場所にあります。介護保険の指定を受けた施設は、職員の人数や夜勤の体制、利用料、苦情の窓口などを毎年都道府県に報告し、その内容は誰でもインターネットで読めます。指定の取消しや改善命令といった行政処分も、都道府県や市が公表しています。東京都などでは、外部の評価機関が施設を調べた第三者評価の結果も検索できます。
現地で何を見るか(におい、職員の声かけ、食事の時間帯の様子)は、在宅介護と施設介護の比較の「見学で必ず見るポイント」にまとめてあります。帰国のついでに見学できる施設は、多くても3〜4か所です。その枠を、公表データで落とせる候補に使わないための下ごしらえが、見学の前の机上調査です。
親が日本に住む予定の市区町村がまだ決まっていない、要介護認定もこれからという段階でも、この調査は進められます。認定の流れは要介護認定の進み方を先に読んでおくと、施設の種類ごとの入居条件と照らし合わせやすくなります。
公表は点数ではない
最初に押さえておきたいのは、どの公的な情報も施設に点数や星を付ける仕組みにはなっていない点です。
介護サービス情報の公表は、介護保険法第115条の35に基づく制度です。前年1年間に受け取った介護報酬が100万円を超える事業所は、基本情報と運営情報を都道府県知事に報告し、知事はそれを公表しなければなりません。厚生労働省の通知では、事業所の財務状況が分かる書類(財務諸表など)も報告の対象になっています。報告と公表は毎年の計画に沿って行われます。
公表の目的は、利用者が事業所を比べて選べるようにすることです。画面には「良い」「悪い」の判定は出てきません。載っているのは、施設が自分で記入した人数と、運営の仕組みが「ある」か「ない」かの記録です。都道府県は報告内容について必要に応じて調査を行えますが、すべての数字を毎年確かめているわけではありません。
ですから、公表データで分かるのは、施設がどんな体制だと自分で申告しているかと、前年度の採用・退職や退所の数に表れた1年間の動きです。そこから先の、実際に夜中に何が起きているかは、行政処分の記録や第三者評価、そして電話での質問で埋めていきます。
情報公表システムの読み方
施設を特定する手順
介護サービス情報公表システム(介護事業所検索)では、まず都道府県を選び、次にサービスの種類と市区町村、または施設名で探します。
サービスの種類は、制度上の名前で選ぶ必要があります。特別養護老人ホームは「介護老人福祉施設」、介護付き有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」、認知症のグループホームは「認知症対応型共同生活介護」です。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、介護保険の事業所ではないため、同じシステムの中の別の区分(有料老人ホームやサ高住の情報)で探します。
海外から調べるときにつまずくのが、施設名の表記ゆれです。パンフレットでは愛称を大きく書き、正式名称は小さく添えている施設が少なくありません。法人名が頭に付く、「ホーム」と「ほーむ」が違う、特養と短期入所で名前が分かれている、といった具合です。名前で見つからないときは、所在地の市区町村とサービスの種類で一覧を出し、住所と電話番号で照合してください。
見つかったら、画面に出ている介護保険事業所番号を控えておきます。同じ法人が近くに似た名前の施設を持っていても、番号で区別できます。施設に電話するときや、日本にいる兄弟姉妹に調べてもらうときも、名前より番号を伝えるほうが取り違えが起きません。
もうひとつ、各画面の記入年月日を必ず見てください。基本情報は記入した日の時点の内容です。1年近く前の数字を見ている可能性があり、職員の入れ替わりが激しい施設ほど、画面と現場の差は大きくなります。
職員の数と常勤換算
事業所の詳細の中の従業者の欄には、職種ごとの人数が常勤と非常勤、専従と兼務に分けて載っています。家族が見落としやすいのは、その横にある常勤換算の数字です。
常勤換算は、職員全員の1週間の勤務時間を合計し、その施設の常勤職員が働くべき時間で割った数です。週40時間が常勤の施設で、40時間・20時間・40時間・15時間働く介護職員が4人いれば、実人数は4人でも常勤換算は2.8人になります。実人数だけを見ると手厚く見え、常勤換算で見ると半分ほどになる施設もあります。
特別養護老人ホームの人員の基準は、看護職員と介護職員を合わせて、入所者3人に対して常勤換算で1人以上です。いわゆる3対1です。この数字は最低限の線で、手厚さの目安にはなりません。しかも24時間、週7日を職員が交代で回すので、3対1の施設で日中に入居者3人を職員1人が見ているわけではありません。
基本情報には「看護職員及び介護職員1人当たりの入所者数」という欄があり、施設が計算した値が載っています。2.0前後なら基準より厚め、3に近ければ基準ぎりぎりと読めます。ただし非常勤が多い施設では、時間帯によって人の厚さが大きく変わります。数字が良くても、朝食や入浴の時間に何人いるかは電話で聞く価値があります。
認知症のグループホームでは、日中は利用者3人に対して常勤換算で1人以上、夜間はユニット(共同生活住居)ごとに1人以上の夜勤が原則です。1ユニットは9人までですので、夜中は9人をひとりで見る時間帯がある、と最初から想定しておいてください。
夜勤と看護の体制
夜の体制はパンフレットからは読めませんが、公表データには人数として出てきます。
特養や介護付き有料老人ホームの基本情報には、「夜勤(宿直を除く)を行う看護職員及び介護職員の人数」が、最少時の人数と平均の人数の2つで載っています。見るべきは最少時です。入所定員が80人で最少時が4人なら、夜中のある時間帯に1人で20人を見ている計算になります。宿直は除かれているので、仮眠をとる当直者はこの数に入っていません。
看護の体制は、加算の欄から読み取ります。特養なら看護体制加算、夜勤職員配置加算、配置医師緊急時対応加算、介護付き有料老人ホームなら夜間看護体制加算が「あり」かどうかです。加算は、基準より多い人を置いたり、医師や看護師との連携の仕組みを整えたりした施設が介護報酬に上乗せして受け取るもので、欄に出るのは前月から過去1年間に実際に算定した実績です。「あり」なら、その体制を1年の中で実際に組んでいたことになります。
協力医療機関の欄も見ておきます。急変時に相談に乗る体制、診療の求めに応じる体制、入院を原則受け入れる体制のそれぞれについて、確保しているかどうかが分かれて載っています。持病のある親なら、協力病院の名前を地図で調べて、施設からの距離と診療科を確かめておくと、電話で聞く質問が具体的になります。
採用と退職の人数
職員が定着しているかどうかは、介護の質と直結するのに、見学ではほとんど分かりません。公表データでは、職種ごとに前年度の採用者数と退職者数が常勤・非常勤別に載っています。
介護職員の常勤が20人の施設で、前年度に8人退職し10人採用していれば、1年で4割が入れ替わった計算です。入居者からすると、顔なじみの職員が毎月のように替わる状態になります。認知症の親にとって、これは小さな話ではありません。
同じ欄の下に、経験年数別の人数(1年未満、1〜3年未満、3〜5年未満、5〜10年未満、10年以上)があります。他の事業所での経験も含んだ年数です。1年未満が多いのに退職者も多い施設は、採ってはやめる循環に入っていることがあります。反対に、開設して間もない施設は採用が多く出るのが普通なので、開設年月日と合わせて読みます。
研修の欄には、認知症介護実践者研修や実践リーダー研修を修了した職員の人数も出ます。認知症の親の入居先を探しているなら、ここが0人の施設は電話で理由を聞いてよい項目です。離職率や賃金といった項目は、都道府県が独自に報告を求めている場合だけ載る任意の情報で、地域によって欄がないこともあります。
加算と運営の記録
加算の欄は数十項目並んでいて読むのが大変ですが、家族の判断に関係するものは限られます。
運営情報の画面には、レーダーチャートが出ます。利用者の権利擁護、サービスの質の確保への取組、相談・苦情等への対応、外部機関等との連携、事業運営・管理、安全・衛生管理等、従業者の研修等の7つの分野ごとに、決められた確認事項のうち「あり」となっている項目の割合を示したものです。
チャートの形よりも、個別の項目を開いたほうが役に立ちます。たとえば「事業所が退所を求める場合の基準について、利用者又はその家族に説明し、同意を得ている」「やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、利用者又はその家族に説明し、同意を得ている」「利用者の健康状態、生活状況等について、定期的及び変化があった時に、利用者の家族に連絡している」「介護及び看護の記録について、利用者又はその家族に対して開示している」といった項目です。海外に住む家族にとって、連絡と記録開示の仕組みが「ない」施設は、それだけで候補から下げる理由になります。
- 看取り介護加算:最期まで施設で過ごす体制を、実際に組んだ実績があるか
- 認知症専門ケア加算:認知症ケアの専門研修を受けた職員を一定数置いているか
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算:在宅で症状が強く出た人を、医師の判断で緊急に受け入れた実績があるか
- 個別機能訓練加算・ADL維持等加算:歩行などの機能を保つ取り組みを計画に沿って行っているか
- サービス提供体制強化加算:介護福祉士の割合や勤続年数が一定以上か
利用料と退去の条件
利用料の欄には、食費、居住費、日常生活費、理美容代などの額と算定方法が載っています。介護付き有料老人ホームでは、入居時の前払金の有無、初期償却率、償却の年月数、解約時の返還金の計算方法も出ます。
費用の総額の見積もり方は介護付き有料老人ホームの費用で詳しく扱っています。ここで見ておきたいのは、金額そのものより、退去の扱いです。有料老人ホームの欄には契約の解除の内容が書かれていて、どんな場合に施設側から契約を解除できるかが分かります。長期の入院、他の入居者への危害、費用の滞納などがよく並びます。
退所者の人数も手がかりになります。特養なら前年度の退所者が、退所先(自宅等、医療機関、他の介護保険施設、死亡など)と要介護度ごとに載っています。医療機関への退所が多い施設は、体調が崩れると入院を経て戻れなくなる流れがあるかもしれません。死亡による退所が多い施設は、看取りまで施設で行っている可能性が高い、と読めます。平均的な入所日数の欄も、どのくらい長く暮らせる場所なのかの目安になります。
苦情を受け付ける窓口の名称、電話番号、対応時間と、損害賠償保険の加入の有無も同じ画面にあります。事故のときに誰に連絡するかを、入居の前から家族が知っておけます。
行政処分と第三者評価
行政処分の公表ページ
情報公表システムには、行政処分の履歴は載っていません。処分の記録は、施設を指定した自治体が自分のホームページで公表しています。
介護保険法では、特養が人員の基準を満たしていない場合などに、都道府県知事がまず期限を決めて改善を勧告できます(第91条の2)。勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができます。それでも改めなければ措置を命じ、命令をしたときは公示しなければなりません。指定の取消しや効力の停止をしたときも公示が義務です(第92条・第93条)。介護付き有料老人ホームは居宅サービスとして同じ流れ(第76条の2〜第78条)、グループホームは市町村長が勧告や命令を出す流れ(第78条の9以降)です。つまり、勧告を受けて期限内に改善した施設は、法律上は公表されないまま終わることがあります。
どこのページを探すかは、施設の種類と所在地で変わります。特養や介護付き有料老人ホームは原則として都道府県ですが、政令指定都市や中核市では、施設の指定や処分を市が行う場合があります。情報公表の事務も、指定都市では市が担っています。川崎市の場合、平成30年度に県から市へ移りました。グループホームや小規模の地域密着型サービスは市町村が指定するので、処分も市町村が行います。神奈川県の行政処分の公表ページには、国や市町村が行った処分は載せていないと明記されています。県のページで見つからなくても、市のページを見るまでは「処分なし」と判断しないでください。
探し方は、施設の所在地の自治体名に「介護保険 行政処分」や「指定の効力停止」を付けて検索し、自治体のサイトの報道発表や介護保険事業者向けのページをたどります。処分の理由の書き方は自治体ごとに違いますが、人員基準を満たしていなかった、介護報酬を不正に請求した、利用者の尊厳を守る義務に違反した、といった区分は読めばすぐ分かります。何年前の処分か、同じ法人の別の施設にも処分が出ていないかも確かめます。
第三者評価の読み方
第三者評価は、施設が事業者でも利用者でもない外部の評価機関と契約して受ける評価です。受けるかどうかは施設の任意です。
東京都の福祉サービス第三者評価は、利用者へのアンケートによる利用者調査と、評価者が組織運営やサービスの手順を調べる事業評価の2つで構成されています。結果は東京都の福祉サービス総合情報サイトで、サービスの種類や地域、施設名から検索できます。順位付けには使わない前提の公表です。利用者調査は「サービスの提供状況」「安心・快適性」「利用者個人の尊重」「不満・要望への対応」といった観点で、利用者の受け止めをまとめています。
東京都以外の施設では、評価の仕組みや結果の公開先が都道府県によって違います。どこを見ればよいか分からないときは、情報公表システムの基本情報の下のほうにある「第三者による評価の実施状況等」を見てください。記入日前4年間に受けたかどうか、直近の評価結果確定日、評価機関の名称、結果の開示先が書かれています。
認知症のグループホームは、少し事情が違います。国の基準で、外部の者による評価か、運営推進会議による評価のどちらかを定期的に受け、その結果を公表することが義務になっています。運営推進会議は利用者や家族、地域の代表、市町村の職員などで構成され、おおむね2か月に1回以上開かれ、その記録も公表しなければなりません。グループホームを比べるときは、施設に会議の記録を見せてもらえるか聞いてみてください。ためらわずに出してくる施設は、家族への説明にも慣れています。
限界もはっきりしています。評価を受けていないことは悪い施設の印ではありません。毎年受けるとは限らず、評価のあとに管理者が替われば中身も変わります。評価結果は「施設が改善の材料にするもの」として書かれているので、厳しい指摘が控えめな言葉で書かれていることがあります。「課題」「今後の取り組み」の欄から読むと、実態に近い情報が拾えます。
情報源ごとの比較
3つの情報源は、得意な領域がそれぞれ違います。施設の説明を聞く前に、どれで何を確かめるかを決めておくと、調べる時間が短くなります。
表の右から2列目が、電話と見学で聞く質問の元になります。公表データで埋まらなかった空欄が、施設に直接聞くべきことです。
| 情報源 | 分かること | 分からないこと | 更新の頻度 |
|---|---|---|---|
| 介護サービス情報公表システム(基本情報) | 職種別の人数と常勤換算、夜勤の最少・平均人数、前年度の採用・退職者数、加算の実績、利用料、退所者の状況 | 時間帯ごとの実際の人数、派遣職員を含めた現場の厚さ、去年から今年の途中の変化 | 毎年の報告と公表。内容に変更があれば報告に基づき更新 |
| 介護サービス情報公表システム(運営情報) | 退所の基準の説明、身体的拘束の手続き、家族への連絡、記録の開示などの仕組みが「ある」か「ない」か | 仕組みが現場で守られているか、記録の中身 | 毎年の報告と公表 |
| 都道府県・市町村の行政処分の公表 | 指定の取消し・効力停止、命令の内容と理由、処分の時期 | 期限内に改善した勧告や日常の指導の結果、他の自治体が出した処分 | 処分のたびに掲載。掲載期間は自治体ごとに異なる |
| 第三者評価(東京都など) | 利用者アンケートの結果、組織運営やサービス手順についての評価者の所見 | 評価を受けていない施設の状況、評価後の変化 | 施設が受審したときだけ。毎年とは限らない |
| グループホームの外部評価・運営推進会議の記録 | 評価結果、会議での報告内容や家族・地域からの意見 | 会議で話題にならなかった日常の様子 | 会議はおおむね2か月に1回以上 |
候補を絞る判断
候補から外す目安
公表データだけで施設の良し悪しを決めるのは無理があります。ただ、見学の枠を使う前に順位を下げてよい場面はあります。現場の感覚で、目安を挙げます。
ひとつ当てはまったから外す、という使い方はしないでください。古い処分のあとに法人が替わり、体制を立て直した施設もあります。開設直後なら退職者の数字は小さく、経験年数は短く出ます。2つ以上が重なった施設は順位を下げ、1つだけの施設は電話でその点を聞く。この程度の重みづけで十分です。
反対に、加算の欄がにぎやかで、夜勤の最少人数にも余裕がある施設は、費用が高めに出る傾向があります。加算は介護報酬への上乗せなので、自己負担にも跳ね返ります。手厚さと費用の釣り合いは、親の年金と貯蓄で何年払えるかと合わせて考えます。
- 直近数年に指定の効力停止や取消しを受け、理由が人員不足や虐待、尊厳の侵害に関わるもの
- 夜勤の最少時に、職員1人で見る入居者が他の候補より明らかに多い
- 前年度の介護職員の退職者が常勤の3割を超え、1年未満の職員が過半を占める
- 運営情報で、家族への定期連絡や記録の開示の仕組みが「ない」
- 認知症の親なのに、認知症介護の研修修了者が0人で、認知症関係の加算も一つもない
- 記入年月日が古く、今年度の報告が反映されていない
電話と見学で聞く質問
公表データで分かったことを手元に置いて電話をすると、施設側の答え方が変わります。「夜勤は何人ですか」ではなく、数字を示して確かめる聞き方ができるからです。
行動症状の質問は、とくに具体的に聞いてください。認知症のグループホームを考えているなら、認知症グループホームの費用と入居条件で入居条件と退去の典型を先に確かめておくと、施設の答えが基準どおりなのか、その施設独自の線引きなのかが判断できます。前頭側頭型認知症のように行動の変化が前に出る場合の聞き方は、前頭側頭型認知症の施設選びに質問リストをまとめています。
屋外活動と歩行の質問は、公表データにはほとんど出てこない部分です。個別機能訓練加算やADL維持等加算が「あり」でも、それは訓練の記録があるという意味で、毎日散歩に出ているという意味ではありません。晴れた日の午後に何人が外にいるかは、見学の日に自分の目で確かめる項目として残しておきます。
電話の答えと公表データが食い違ったら、どの時点の話かを確認します。記入年月日のあとに職員が増えた、減ったという説明なら筋は通ります。説明があいまいなまま数字だけが違う場合は、その食い違い自体を記録しておいてください。
- 人員配置:公表では看護・介護職員1人当たりの入所者数が○人でしたが、今月も同じ体制ですか。派遣職員は何人いますか
- 夜間:夜勤の最少時が○人とありました。その時間帯に、フロアごとに何人で何人を見ていますか。夜中に看護師へ連絡がつく仕組みはどうなっていますか
- 医療連携:協力病院へは誰が付き添いますか。夜間の急変時、救急車に職員は同乗しますか
- 行動症状への対応経験:歩き回る、大声を出す、介護を拒むといった症状のある方を、今どのくらい受け入れていますか。症状が強くなったとき、退去を求めることはありますか
- 屋外活動:散歩や買い物など、建物の外に出る機会は週に何回ありますか。歩ける人が歩き続けられるように何をしていますか
- 介護度が上がったとき:要介護度が重くなったり、医療処置が必要になったりした場合、住み続けられる範囲はどこまでですか
海外から調べる実務
海外から調べる段取り
情報公表システムは日本語だけで作られていますが、項目の並びは施設の種類ごとに決まっていて、どの施設でも同じ位置に同じ欄があります。最初の1か所を丁寧に読めば、2か所目からは数分で拾えます。
おすすめは、候補ごとに1行の比較表を作ることです。列は、施設名と事業所番号、記入年月日、看護・介護職員1人当たりの入所者数、夜勤の最少人数と入所定員、前年度の介護職員の採用者数と退職者数、認知症関係の研修修了者数、主な加算の有無、退所の基準の説明の有無、行政処分の有無と年、第三者評価の有無、の11列程度で足ります。日本にいる兄弟姉妹と同じ表を共有すれば、誰がどの施設に電話するかも決めやすくなります。
画面は時間がたつと更新されるので、見た日の内容を印刷して保存しておきます。電話で食い違いを確かめるとき、あとから「前はこう書いてあった」と言える材料になります。時差のある国からだと、施設に電話できる時間が限られます。日本の平日の昼に当たる時間帯を先に押さえ、聞く項目を表の空欄から5つ程度に絞ってからかけてください。
送金や契約書のやり取りまで含めて海外から手配を進める段取りは海外から介護サービスを手配するにまとめています。帰国前にどこまで施設探しを進められるかは帰国前の施設探しで順を追って書いています。候補の絞り込みや見学の準備、契約前の確認を任せたい場合は、施設探しの支援で、ここに書いたような候補の比較表を作るところから始めています。
机上調査の終わり方
公表データを読み終えると、候補は数か所に絞られ、施設ごとに聞きたいことが2つか3つ残るはずです。その状態で見学の予定を組めば、帰国の限られた日数を、確かめるべきことの確認に使えます。
冒頭のパンフレットの話に戻ると、写真や言葉が悪いわけではありません。施設がどんな場所でありたいかは、パンフレットのほうがよく伝わります。公表データは、その願いを支える人と仕組みが本当にあるかを確かめる道具です。両方を並べて、言っていることと記録が合っている施設を残していけば、見学の日に迷う時間はずっと短くなります。
それでも、夜中の廊下の静けさや、親が職員に話しかけたときの返事の温度は、どの記録にも載っていません。そこだけは、見学の日の楽しみとして取っておいてください。
よくある質問
夜勤の最少時が3人で入所定員が90人の特養では、夜中は職員1人で何人を見ていることになりますか?
単純に割ると1人で30人です。公表される夜勤の人数は宿直を除いた人数なので、仮眠をとる当直者は含まれていません。実際にはフロアやユニットごとに配置が分かれ、看護師はオンコールで対応している施設もあります。電話でフロアごとの人数と、夜中に看護師へ連絡がつく方法を確かめてください。
自治体の行政処分のページに名前が出てこない施設でも、勧告を受けていた可能性はありますか?
あります。介護保険法では、改善の勧告に期限内に従った場合は公表の義務がなく、公表が義務になるのは命令や指定の取消し・効力停止です。また、グループホームなど市町村が指定する施設の処分は県のページに載らないことがあります。施設の所在地の市のページまで確かめてから判断してください。
東京都以外にある施設の第三者評価の結果はどうやって見つければよいですか?
介護サービス情報公表システムの基本情報にある「第三者による評価の実施状況等」の欄を見ます。記入日前4年間に受けたかどうか、評価機関の名称、評価結果確定日、結果の開示先が書かれています。そこに名前のある評価機関か、都道府県の第三者評価の推進組織のサイトで結果を探してください。
公表システムに書かれた職員数と施設の電話での説明が違うとき、どう受け止めればよいですか?
まず画面の記入年月日を確かめます。基本情報は記入した日の時点の内容なので、その後に職員が増減していれば数字は違って当然です。いつから何人になったのかを具体的に聞き、説明があいまいなままなら、その食い違い自体を候補の順位を決める材料として記録しておきます。
グループホームの運営推進会議の記録は、入居前の家族でも見せてもらえますか?
グループホームには、運営推進会議の記録を作成して公表する義務が国の基準で定められています。施設のホームページや玄関に掲示している例もありますが、見当たらなければ施設に直接頼んでかまいません。会議はおおむね2か月に1回以上開かれるので、直近数回分を読むと、家族や地域からどんな意見が出ているかが分かります。
一次情報・公的情報
本文は下記の8件の一次情報・公的情報を確認して書いています。制度・費用・窓口の情報は自治体や時期で変わるため、最終判断の前に必ずリンク先の公式情報を確認してください。 最終確認日: 2026-10-04.
この記事について
この記事は一般的な説明で、医療・法律・介護の個別アドバイスではありません。Japan Care Conciergeは、1999年設立の社会福祉法人 伸こう福祉会の介護サービスで培った知見をもとに運営しています。同法人は神奈川県でクロスハートの名称で高齢者向け施設・サービスを展開しています。施設・事業者から紹介料は受け取らず、医療行為・診断・緊急対応・直接介護も行いません。介護保険の保険者は全国に1,559あり、認定にかかる日数も運用も保険者ごとに違うので、個別の可否はお住まいの市区町村の介護保険課か地域包括支援センターでご確認ください。公開日・更新日は実際の日付です。記事の作成・出典・修正の方針は編集方針をご覧ください。

